第二十八訓
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宇宙旅行から帰ってきた新八は久しぶりに我が家の廊下を歩いていた。
その手には、妙の土産である人形が握られている。
「……なんか、どっかで見たことある人形だな。何だっけ?」
白いペンギンの体にアヒルの顔、胸に『宇宙怪獣 ステファン』の名札の貼られた、正直微妙な人形。
「まァ、いいや。姉上もああ見えて、カワイイもの好きだから、きっと気に入ってくれるさ」
思い切り見覚えのある人形を気にしないことにし、新八は呼びかける。
「姉上~~~。新八が、ただいま宇宙から戻りましたァ」
だが、道場にいるはずの姉からなんの返事もこない。
「姉上?アレ?いないのかな」
疑問符を浮かべて襖を開けた瞬間、妙が鬼のような形相で薙刀を構え、突進してきた。
「うらァァァァァァ!!」
薙刀の切っ先が眼前に迫り、新八は悲鳴をあげて間一髪で避ける。
「ぎゃあああああああ!!」
恐怖で手を離した拍子に、渾身の一突きが人形に突き刺さった。
「なななななな、何をするんですかァ、姉上ェェ!!」
腰を抜かしながら激昂する新八に、妙は冷えた眼差しでステファンを抜く。
「なんだ、新八か」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、ステファンがァァァ!!」
せっかくのお土産にと購入した人形が薙刀の餌食にされ、ショックを隠せない。
しかし、当の彼女は喜ぶ様子もなく、突き放すように言った。
「紛らわしい時に帰ってくんじゃねーよ」
「かっ…帰ってくんじゃねーよって…カワイイ弟になんてこというんですか!!」
「ブラックホールにでも飲みこまれて、しばらくゆっくりしてくればよかったのによ~」
「遠回しに死ねって言ってんですか!!」
「ったく、こちとらお前がいない間に大変だったつーのによォ。ペッ」
いかにも爆発しそうな殺気を振り撒き、唾を吐き捨てる。
楚々とした美貌が、今や夜叉のような形相であった。
「完全にキャラ変わっちゃってるよ。何?何があったんですか、姉上」
新八が不審がっていると、元々険しくなっている顔を怒りでさらに染める。
「あ~~~」
持っていたステファンの両手を掴むと、徐々に力を込めていき、道場中に響き渡る絶叫があがった。
「今、思い出してもムカつくぜェェェェ!!」
「ギャアアアア!ステファンーー!!」
左右に物凄い力で引っ張られ、引き裂かれたステファンから綿が飛び散った。
後日、銀時達は志村姉弟に呼び出され、喫茶店で相談を受ける。
「あ~~?下着泥棒だァ?」
「そーなんスよ、僕が旅行中に二回もやられたらしくて。なんとかならないスかね?」
説明も微妙に歯切れが悪く、顔を強張らせる。
その瞳は、チラチラと横を窺っている。
銀時が目を移した少年の傍らに、情感に乏しい表情をした妙が座っている。
「昔の人はよォ、着物の下はノーパンだったらしいぜ、お姫様も」
腰に巻く布状の下着を腰巻 といい、着物の下の襦袢 と合わせて着用。
現在は完全に廃れている。
清楚な顔立ちで……という姿を想像して、銀時は堪えきれずに笑みを浮かべる。
「お姫様なのに着物の下は、もう暴れん坊将軍だよ、お前。そのギャップがいいんだよ、おしとやかな顔して暴れん坊将軍かい!みたいな…」
下ネタな発言の割に冗談めかした口調のようだが、響古は斬り捨てる。
「それは昔の話でしょう、バカ銀。我々は文明人であって、現代においてノーパン族というのは変態と呼ばれるの」
「おい響古、そういうお前も実は、その変態なんじゃねーの?銀さん知ってんだからな。お前が……」
途端、瞳から炎が噴き出しそうな険しさで睨まれた。
思わず銀時は委縮した。
物凄い迫力だ。
「事実を歪めないでいただきたい。出るとこ出るぞ、この変態」
すると、妙が殺気すらこもった眼差しで睨み、前髪を掴んでぐいっと近づけられる。
「てめーのノーパン談義はどーでもいいんだよ。こちとら、お気に入りの勝負パンツ盗られてんだぞコラ」
「勝負パンツってお姉さん、誰かと決闘でもするのかイ?」
ぐんぐんと増す恐ろしい形相に、銀時は僅かに動じた。
が、すぐに気だるげな声に切り替える。
「大体、何がしたいんだ、お前は。その勝負パンツが戻ってくれば気がすむのか?」
「パンツを取り戻したうえでパンツを盗んだ奴を血祭りにしたい」
きっぱりとした答え。
銀時は戸惑いがちに目を伏せ、響古へと視線を移す。
「……おい響古、もう発言がパンツはく文明人の発言じゃねーよ、裸で槍をもって野を駆ける人の発言だよ」
真摯な銀時の訴えに、響古は微笑んだ。
「女は時に裸で槍を持って野を駆けるんだよ。意気地のない男は黙ってなさい」
それまでほとんど表情を変えなかった美貌が、冷酷ささえ感じさせる。
「妙、あたしも協力するわ。変態は地獄の炎で焼かれると思いなさい」
素晴らしい笑顔を貼りつけ、しかし背後に黒いオーラが滲み出ている美女に、新八は怖くて気絶しそうになった。
「響古さんが黒い……まさか」
「あぁ、響古もやられた…俺に喧嘩売るたァ、いい度胸してるぜ」
おそるおそるといった感じに銀時を見やると、彼は重々しく返答した。
「…って、なんで響古さんの下着盗まれたことにアンタが怒るんですか!」
「そりゃオメー、自分の彼女が下着泥棒に遭ったら、フツー怒るだろ!!」
「思い出すだけでムナクソ悪いわ!」
二人の会話を遮るように、両の拳を勢いよくテーブルに叩きつけた。
鉄球を叩き潰すほどの握力で、メキメキと固められていく。
「旅行中の隙を狙いやがって!犯人とっ捕まえてあたしのパンツ盗んだこと後悔させてから血祭りじゃァァァァ!!」
神楽も同じ女として見逃せないということで眉根を寄せる。
「下着ドロなんて、女の敵アル。姐さん、姉御、私も一肌脱ぎますぜ!」
「よし、よく言った」
「ついて来い、杯 を交わすぞ」
二人は少女と協力することとなり、敵を迎え撃とうと店を出た。
「待て待て待て!死人が出るよ!君ら三人はヤバイって!!」
焦った新八が止めようとするが、彼女達の足は止まることはなかった。
「まずいよ。最凶トリオがユニット組んじゃったよ」
最凶のユニットが組まれてしまったと犯人の心配をする新八だが、銀時は慌てない。
頬杖をつきながら、やる気のない表情で言う。
「ほっとけよ、ホシの目星はもうついてるだろ?」
その一言に、すぐさま駆けつけたのは響古だった。
「ホントなの!?一体誰!?」
「うわっ!」
いきなり戻ってきた響古に、新八は驚く。
視線を下げると、先程まで自分達が座っていたテーブルの下、膝を折り曲げて寝そべっている近藤が目に飛び込んできた。
「なんだァァァァ!!まさか俺を疑っているのか、貴様らァァ!!侍が下着泥棒なんて卑劣なマネするわけないだろーがァ!!」
「いくら妙に振り向いてもらえないからって下着ドロなんて最低ね、腐れゴリラ」
響古は近藤を見下ろすと、容赦のない罵倒を浴びせる。
「毎度毎度、ほんっとキモいわね。妙だけじゃなく、あたしのパンツさえも盗むなんて……とりあえず、死んで詫びなさい」
そして、殺人的な眼差しで右拳を左手で包み、ポキポキと鳴らす。
「響古さん、違いますからね!!俺じゃありませんから!!」
絶体絶命の近藤の前に、しゃがみ込んだ銀時が断言する。
「侍がストーカーなんてするわけねーだろーが」
「ストーカーはしても、下着泥棒なんぞするか!訴えるぞ、貴様!!」
「訴えられるのはテメーだァ!!」
「これで真選組解体か~。いや、めでてーな~」
にやける笑みで追い討ちをかけると、近藤は懐から新聞を取り出す。
「待て待て待て、コレを見ろ、コレを!」
近藤から新聞を受け取り、新八はある記事に目を通す。
「…なんスか、コレ?またも出没、怪盗ふんどし仮面」
「…コイツが犯人なのね」
「最近、巷 を騒がしているコソ泥だ」
ようやく弁解する猶予を与えられた近藤が瞠目して語る。
「その名の通り、風体 も異様な奴でな。まっかな褌を頭にかぶり、ブリーフ一丁で闇を駆け抜け、キレーな娘の下着ばかりをかっさらい、それをモテない男達にバラまくという妙な奴さ」
真っ赤な褌を被って顔を隠し、ブリーフを穿いただけという格好で夜の江戸を駆ける男。
男の手から放たれる色とりどりの下着に、冴えない男達は歓喜する。
「なんですか、ソレ。鼠小僧の変態バージョン?」
「どっちにしろ、変態ということに変わりはないわ」
思わずつっこむ新八とは対照的に、響古の瞳には怒りが灯っている。
「そーか、このパンツには、そーゆう意味が!俺ァてっきり、サンタさんのプレゼントかと…」
そう言って、銀時は神妙な面持ちで女性の下着を両手で広げた。
「アンタ、もらってんのかィィ!!」
「サンタって考えがおかしいし、時期が違うでしょ」
「フハハハハハ!そりゃあ、お前、モテない男と見なされた証拠だよ。哀れだな~」
モテないと認識された銀時を馬鹿にする近藤の懐をよく見れば、下着が顔を出していた。
素知らぬふりで隠していたようだが、モテない男の証を新八は見逃さなかった。
「オーイ、見えてるぞ。モテない男の勲章がこぼれ出てるぞ」
「二人ともバカね。それで、新八はもらった?」
「僕…?もらってませんよ!」
「あら、よかったじゃない」
「チキショー、新八よりモテねーとか思われてんのか、俺は!」
容姿端麗な恋人がいるにもかかわらずにモテない男と判断されてしまった。
屈辱的な気分を味わった銀時は気を取り直し、問題の下着泥棒について告げる。
その手には、妙の土産である人形が握られている。
「……なんか、どっかで見たことある人形だな。何だっけ?」
白いペンギンの体にアヒルの顔、胸に『宇宙怪獣 ステファン』の名札の貼られた、正直微妙な人形。
「まァ、いいや。姉上もああ見えて、カワイイもの好きだから、きっと気に入ってくれるさ」
思い切り見覚えのある人形を気にしないことにし、新八は呼びかける。
「姉上~~~。新八が、ただいま宇宙から戻りましたァ」
だが、道場にいるはずの姉からなんの返事もこない。
「姉上?アレ?いないのかな」
疑問符を浮かべて襖を開けた瞬間、妙が鬼のような形相で薙刀を構え、突進してきた。
「うらァァァァァァ!!」
薙刀の切っ先が眼前に迫り、新八は悲鳴をあげて間一髪で避ける。
「ぎゃあああああああ!!」
恐怖で手を離した拍子に、渾身の一突きが人形に突き刺さった。
「なななななな、何をするんですかァ、姉上ェェ!!」
腰を抜かしながら激昂する新八に、妙は冷えた眼差しでステファンを抜く。
「なんだ、新八か」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、ステファンがァァァ!!」
せっかくのお土産にと購入した人形が薙刀の餌食にされ、ショックを隠せない。
しかし、当の彼女は喜ぶ様子もなく、突き放すように言った。
「紛らわしい時に帰ってくんじゃねーよ」
「かっ…帰ってくんじゃねーよって…カワイイ弟になんてこというんですか!!」
「ブラックホールにでも飲みこまれて、しばらくゆっくりしてくればよかったのによ~」
「遠回しに死ねって言ってんですか!!」
「ったく、こちとらお前がいない間に大変だったつーのによォ。ペッ」
いかにも爆発しそうな殺気を振り撒き、唾を吐き捨てる。
楚々とした美貌が、今や夜叉のような形相であった。
「完全にキャラ変わっちゃってるよ。何?何があったんですか、姉上」
新八が不審がっていると、元々険しくなっている顔を怒りでさらに染める。
「あ~~~」
持っていたステファンの両手を掴むと、徐々に力を込めていき、道場中に響き渡る絶叫があがった。
「今、思い出してもムカつくぜェェェェ!!」
「ギャアアアア!ステファンーー!!」
左右に物凄い力で引っ張られ、引き裂かれたステファンから綿が飛び散った。
後日、銀時達は志村姉弟に呼び出され、喫茶店で相談を受ける。
「あ~~?下着泥棒だァ?」
「そーなんスよ、僕が旅行中に二回もやられたらしくて。なんとかならないスかね?」
説明も微妙に歯切れが悪く、顔を強張らせる。
その瞳は、チラチラと横を窺っている。
銀時が目を移した少年の傍らに、情感に乏しい表情をした妙が座っている。
「昔の人はよォ、着物の下はノーパンだったらしいぜ、お姫様も」
腰に巻く布状の下着を
現在は完全に廃れている。
清楚な顔立ちで……という姿を想像して、銀時は堪えきれずに笑みを浮かべる。
「お姫様なのに着物の下は、もう暴れん坊将軍だよ、お前。そのギャップがいいんだよ、おしとやかな顔して暴れん坊将軍かい!みたいな…」
下ネタな発言の割に冗談めかした口調のようだが、響古は斬り捨てる。
「それは昔の話でしょう、バカ銀。我々は文明人であって、現代においてノーパン族というのは変態と呼ばれるの」
「おい響古、そういうお前も実は、その変態なんじゃねーの?銀さん知ってんだからな。お前が……」
途端、瞳から炎が噴き出しそうな険しさで睨まれた。
思わず銀時は委縮した。
物凄い迫力だ。
「事実を歪めないでいただきたい。出るとこ出るぞ、この変態」
すると、妙が殺気すらこもった眼差しで睨み、前髪を掴んでぐいっと近づけられる。
「てめーのノーパン談義はどーでもいいんだよ。こちとら、お気に入りの勝負パンツ盗られてんだぞコラ」
「勝負パンツってお姉さん、誰かと決闘でもするのかイ?」
ぐんぐんと増す恐ろしい形相に、銀時は僅かに動じた。
が、すぐに気だるげな声に切り替える。
「大体、何がしたいんだ、お前は。その勝負パンツが戻ってくれば気がすむのか?」
「パンツを取り戻したうえでパンツを盗んだ奴を血祭りにしたい」
きっぱりとした答え。
銀時は戸惑いがちに目を伏せ、響古へと視線を移す。
「……おい響古、もう発言がパンツはく文明人の発言じゃねーよ、裸で槍をもって野を駆ける人の発言だよ」
真摯な銀時の訴えに、響古は微笑んだ。
「女は時に裸で槍を持って野を駆けるんだよ。意気地のない男は黙ってなさい」
それまでほとんど表情を変えなかった美貌が、冷酷ささえ感じさせる。
「妙、あたしも協力するわ。変態は地獄の炎で焼かれると思いなさい」
素晴らしい笑顔を貼りつけ、しかし背後に黒いオーラが滲み出ている美女に、新八は怖くて気絶しそうになった。
「響古さんが黒い……まさか」
「あぁ、響古もやられた…俺に喧嘩売るたァ、いい度胸してるぜ」
おそるおそるといった感じに銀時を見やると、彼は重々しく返答した。
「…って、なんで響古さんの下着盗まれたことにアンタが怒るんですか!」
「そりゃオメー、自分の彼女が下着泥棒に遭ったら、フツー怒るだろ!!」
「思い出すだけでムナクソ悪いわ!」
二人の会話を遮るように、両の拳を勢いよくテーブルに叩きつけた。
鉄球を叩き潰すほどの握力で、メキメキと固められていく。
「旅行中の隙を狙いやがって!犯人とっ捕まえてあたしのパンツ盗んだこと後悔させてから血祭りじゃァァァァ!!」
神楽も同じ女として見逃せないということで眉根を寄せる。
「下着ドロなんて、女の敵アル。姐さん、姉御、私も一肌脱ぎますぜ!」
「よし、よく言った」
「ついて来い、
二人は少女と協力することとなり、敵を迎え撃とうと店を出た。
「待て待て待て!死人が出るよ!君ら三人はヤバイって!!」
焦った新八が止めようとするが、彼女達の足は止まることはなかった。
「まずいよ。最凶トリオがユニット組んじゃったよ」
最凶のユニットが組まれてしまったと犯人の心配をする新八だが、銀時は慌てない。
頬杖をつきながら、やる気のない表情で言う。
「ほっとけよ、ホシの目星はもうついてるだろ?」
その一言に、すぐさま駆けつけたのは響古だった。
「ホントなの!?一体誰!?」
「うわっ!」
いきなり戻ってきた響古に、新八は驚く。
視線を下げると、先程まで自分達が座っていたテーブルの下、膝を折り曲げて寝そべっている近藤が目に飛び込んできた。
「なんだァァァァ!!まさか俺を疑っているのか、貴様らァァ!!侍が下着泥棒なんて卑劣なマネするわけないだろーがァ!!」
「いくら妙に振り向いてもらえないからって下着ドロなんて最低ね、腐れゴリラ」
響古は近藤を見下ろすと、容赦のない罵倒を浴びせる。
「毎度毎度、ほんっとキモいわね。妙だけじゃなく、あたしのパンツさえも盗むなんて……とりあえず、死んで詫びなさい」
そして、殺人的な眼差しで右拳を左手で包み、ポキポキと鳴らす。
「響古さん、違いますからね!!俺じゃありませんから!!」
絶体絶命の近藤の前に、しゃがみ込んだ銀時が断言する。
「侍がストーカーなんてするわけねーだろーが」
「ストーカーはしても、下着泥棒なんぞするか!訴えるぞ、貴様!!」
「訴えられるのはテメーだァ!!」
「これで真選組解体か~。いや、めでてーな~」
にやける笑みで追い討ちをかけると、近藤は懐から新聞を取り出す。
「待て待て待て、コレを見ろ、コレを!」
近藤から新聞を受け取り、新八はある記事に目を通す。
「…なんスか、コレ?またも出没、怪盗ふんどし仮面」
「…コイツが犯人なのね」
「最近、
ようやく弁解する猶予を与えられた近藤が瞠目して語る。
「その名の通り、
真っ赤な褌を被って顔を隠し、ブリーフを穿いただけという格好で夜の江戸を駆ける男。
男の手から放たれる色とりどりの下着に、冴えない男達は歓喜する。
「なんですか、ソレ。鼠小僧の変態バージョン?」
「どっちにしろ、変態ということに変わりはないわ」
思わずつっこむ新八とは対照的に、響古の瞳には怒りが灯っている。
「そーか、このパンツには、そーゆう意味が!俺ァてっきり、サンタさんのプレゼントかと…」
そう言って、銀時は神妙な面持ちで女性の下着を両手で広げた。
「アンタ、もらってんのかィィ!!」
「サンタって考えがおかしいし、時期が違うでしょ」
「フハハハハハ!そりゃあ、お前、モテない男と見なされた証拠だよ。哀れだな~」
モテないと認識された銀時を馬鹿にする近藤の懐をよく見れば、下着が顔を出していた。
素知らぬふりで隠していたようだが、モテない男の証を新八は見逃さなかった。
「オーイ、見えてるぞ。モテない男の勲章がこぼれ出てるぞ」
「二人ともバカね。それで、新八はもらった?」
「僕…?もらってませんよ!」
「あら、よかったじゃない」
「チキショー、新八よりモテねーとか思われてんのか、俺は!」
容姿端麗な恋人がいるにもかかわらずにモテない男と判断されてしまった。
屈辱的な気分を味わった銀時は気を取り直し、問題の下着泥棒について告げる。