第二十六訓~二十七訓
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トレイの上にカランと出てきたのは金色の玉。
古式ゆかしい八角形の抽選機 のハンドルを握り、回した神楽は目を丸くする。
「むをっ!!」
『大江戸ストア』の端に臨時設置された、くじ引き会場。
店員はベルを鳴らして豪快に叫んだ。
「うをぉぉぉ!!出たァァァ!!おめでとーございます!!一等ですぅ!!」
第二十六訓
旅にはパンツ忘れてもUNOは忘れるな
「あっ、おかえり、神楽ちゃん」
少女の帰宅に新八は顔を上げるが、疑問符を浮かべた。
買い物から帰ってきた神楽が無言で仁王立ちする。
「………?」
「何やってんだ。オメー」
「どーしたの?」
銀時はジャンプから視線を外し、響古は首を傾げ、新八は疑問符を浮かべる。
三人の視線が集まったのを確認し、ムフフと笑みを漏らした。
「ひざまずくアル、愚民達よ。あっ、響古は違うヨ」
「「あ?」」
突拍子もない発言に銀時と新八は至極冷静でいた。
「頭 が高いって言ってんだヨ、この貧乏侍どもが!!工場長とお呼び!」
買ってきたネギを鞭のようにテーブルに奔らせると、愚民その一が訊ねる。
「女王様の方がいいんじゃねーのか、工場長?」
「女王様なんかより、工場長の方が生産的だから偉いアル!それから、女王様は響古と決まってるネ」
響古は言葉には出さず、ただ満足そうに笑う。
それだけで頬を染める工場長はびしっと指を突きつける。
「私の方はやせこけた工場長とお呼び!」
愚民その二は目先を変えることにした。
おつかいの問題についてだけ話し合おう。
ろくでもない返事を聞きそうな気はしたが、一応訊ねてみる。
「工場長、トイレットペーパー買ってきてくれた?」
「トイレットペーパーは忘れたアルけど」
途端、工場長は気まずそうに目を逸らす。
念のため確認してみたら、やはり。
「オイ、勘弁しろよ、安売り今日までなんだぞ、工場長!」
「ケツ拭く紙は忘れたけど、もっと素敵な紙は手に入れたヨ」
肝心な買い物を忘れてしまった工場長が紙袋の中をあさると、女王様は興味津々に眺める。
「何かしら、工場長?」
そして、得意げに笑う工場長が見せた素敵な紙とは――宇宙旅行の招待券だった。
「宇宙への旅、四名様!?」
「こっ…工場長ォォ!!」
「でかしたわ、工場長!!」
奇跡としか言いようがない。
さすがの三人も初の宇宙とあって浮かれないわけにもいかない。
万事屋、初の宇宙旅行である。
江戸の真ん中にそびえ立つターミナル近くに建てられた空港は、国際どころか宇宙の旅行にまで発展している。
万事屋四人は税関を通るべく厳密な荷物と身体のチェックを受けていた。
新八は眼鏡を外せばその他何も探知機に反応はなかったし、神楽もその類は身に着けていなかったのだが、何かと係員をわずらわせたのは銀時である。
金属探知機を潜った途端、キンコーン、と制止の音がかかった。
「んだよ。金属の類なんて、持ってねーって」
金属で引っかかった銀時は頭を掻く。
恐らくベルトか何かだろうが、例によってボケを言う。
「あ?もしかして、アレか?心のナイフとかにも反応すんのか?」
「んなわけないでしょ。きっと、腰についてるベルトとかじゃないの」
二人の会話に、いかにもプロっぽい冷静沈着な声が割って入った。
「ご迷惑おかけいたします、現在、攘夷派によるテロが多発しておりますので」
清潔そうな制服に身を包んだ客室乗務員の女性が背筋をきれいに伸ばして、すぐ傍に立っている。
見事な営業スマイルで、銀時のボケをスルーした。
「テロね~」
「あ゙っ!!」
物騒な単語に響古は眉を寄せると、銀時が突然声をあげた。
「スイマセン。股に金属二つ、ついてんの忘れました」
「お客様、だまってねーと殴りますよ」
真面目な顔で言い放った下ネタに、女性は完璧な笑顔で斬り捨てた。
「それは問題ない。錆 つきすぎて反応もしないでしょ」
「何言ってやがんだ。俺ァ、まだまだヤレるぞ。待ってろ、今見せてやるから…」
ズボンに手をかけた銀時に危険を感じたのか、響古はギリギリとその首を両腕で締め上げる。
「スイマセン、ご迷惑をおかけしまして」
微笑んだ響古の美貌に、女性は思い切り表情を揺らし、ぼっ、と顔を赤くさせる。
無数に人の行き交うロビーで、新八は残された貴重な時間を使い、ベンチで二人を待っていた。
焦っても早まったりはしない、旅客便出発までの暇つぶしとして、旅行への期待を膨らませる。
「…ハァ~、姉上も連れてきてあげたかったなァ。宇宙から見た地球はキレイなんでしょ?神楽ちゃ…!」
言って、隣で待っているはずの少女へ振り返る。
定春を頭に齧 りつかせた神楽が乗務員の男性スタッフに止められていた。
「お客様、ペットの連れ込みは禁止になっておりまして」
「違うヨ、人形だヨ」
巨大犬を人形だと言い張るが、スタッフは冷静に指摘する。
「人形はハァハァ言いません」
「違うヨ、人形じゃないヨ、加湿器!」
「こんな生ぐせー加湿器あるかァァ!!」
「じゃあ、やっぱりペット!」
あまりにバレる嘘から一転、正直に告げる少女にスタッフは困惑する。
他人のフリをしようとしていた新八だったが、失敗に終わった。
「定春、誰にも迷惑かけないし、人にもかみつかないヨ。私、保証するアル」
「いや、やってるから!言ってるそばからやってるから!」
懸命に説得するも無駄に終わり、飼い主から離れた定春は見境なく一人の乗客に噛みつく。
「お客様ァァァ!!大丈夫ですかァ!?」
スタッフは乗客のもとへ駆け寄る。
「…あ゙~」
先程までぐっすりと眠っていたようで、のっそりとベンチから起き上がる。
「なんじゃ、人が気持ちよく寝ちょったのに。フライトの時間かや~」
黒髪の天然パーマ、黒いサングラスをかけて首元にマフラーをしている。
着物の上に襟つきの羽織を纏って下はズボンという、和と洋を混ぜた格好。
そして、定春に頭を噛みつかれているため、額から血が滴っていた。
「お客様、恐れ入りますが、頭の方がフライトしかけております」
「なんじゃ~、頭ァ?なんか、ズキズキするの~。昨日飲みすぎたきに、アッハッハッハッ」
「いや、飲み過ぎたじゃなくて、飲まれております」
呑気な笑い声をあげる男に対し、スタッフは冷や汗を流して教える。
「寝汗もベトベトじゃ」
生温かい感触を覚えて額を拭うと、真っ赤な血がべっとり付着していた。
「アレ?まっ赤じゃ…あートマトジュース飲んだから」
「おいィィ、ポジティブシンキングにも程があるぞォ!!」
スタッフは声を張り上げてつっこむが、男は明るい態度を崩さない。
「あー、身体も重いし、完全に二日酔いじゃの~。アッハッハッハッハッ」
身体にのしかかる重みと流血を豪快な笑いで受け流し、能天気な調子で言う。
「ちょっとォォ、人の話きいてんの!?」
話を全く聞かず、定春に噛みつかれたまま、どこかへ歩き出す。
「あ~、定春ぅぅ!!」
「…なんだ。あの人?」
愛犬を連れていかれ、神楽はすぐさま追いかける。
この時、新八は男の印象を変な人と思い、首を傾げた。
あの後、やっと金属探知機を通り抜けた銀時と響古は新八と神楽に合流し、全員で宇宙船の中へ搭乗することができた。
と、ここで訝しげな問いかけ。
「ウソ、定春さらわれたの?」
席について早々問題を起こしたというか、既に起こした神楽が悲しそうな表情で訴える。
「そうアル。私もう、旅行なんて楽しめそーにないヨ」
「だーから、ババァに預けとけって言ったんだよ、もう台無しじゃねーか、旅行が…」
会話的には深刻な状態だが、機内食をガツガツと食べているため、全てが台無しになっていた。
「台無しなのは、お前らの人間性だよ」
ホントに悲しく思ってんのか、と新八はつっこんだ。
「だって、定春だけ残していくの、かわいそーネ!銀ちゃんは定春かわいくないアルか!!」
「旅先でギャーギャー喚くんじゃねーよ。あーあ、興冷めだ、もう帰るか」
せっかくの宇宙旅行だというのに場の空気が悪くなる。
しかし真面目な話、出発前にそんな不吉な情報を伝えてくれなくても。
離陸の瞬間が迫って窓際に座る四人の耳に、機内のアナウンスが流れた。
《――皆様。よろしければ、左側の窓をご覧になって下さい。あれが太陽系で最も美しいとされる星、我らが母なる星、地球です》
言われた通り窓の外へ視線を向けると、地上の景色がどんどん小さくなっていくのが見える。
水の惑星と呼ばれている、青い輝きが溢れた。
自然とこぼれたつぶやきは、感動にすら近いものを含んでいる。
「「わー、キレイだ~」」
「スゴ~い」
響古までもが窓に身を乗り出して地球を眺めている始末である。
「わー、じゃねーよ、キッチリエンジョイしてんじゃねーか!なんだ、オメーら!」
宇宙から眺める地球は、これまで見たことがないくらい美しく素晴らしかった。
「生きてるっていいなァ」
「小さな悩みなんて、どうでもよくなってくるな~」
「ホントアル、心洗われるヨ」
こんな景色を見てしまったら、悩みなんて気持ちなんて、どこかへ吹っ飛ぶに決まっている。
「洗っちゃいけないよ!心に遺しておかなきゃならない汚れもあるよ!!」
この三人に定春を任せることもできず、新八は地球で盛り上がっている彼らに言って席を立とうとした。
「ちょっと僕、探してきますよ。同じ船乗ってるかもしれないし」
古式ゆかしい八角形の
「むをっ!!」
『大江戸ストア』の端に臨時設置された、くじ引き会場。
店員はベルを鳴らして豪快に叫んだ。
「うをぉぉぉ!!出たァァァ!!おめでとーございます!!一等ですぅ!!」
第二十六訓
旅にはパンツ忘れてもUNOは忘れるな
「あっ、おかえり、神楽ちゃん」
少女の帰宅に新八は顔を上げるが、疑問符を浮かべた。
買い物から帰ってきた神楽が無言で仁王立ちする。
「………?」
「何やってんだ。オメー」
「どーしたの?」
銀時はジャンプから視線を外し、響古は首を傾げ、新八は疑問符を浮かべる。
三人の視線が集まったのを確認し、ムフフと笑みを漏らした。
「ひざまずくアル、愚民達よ。あっ、響古は違うヨ」
「「あ?」」
突拍子もない発言に銀時と新八は至極冷静でいた。
「
買ってきたネギを鞭のようにテーブルに奔らせると、愚民その一が訊ねる。
「女王様の方がいいんじゃねーのか、工場長?」
「女王様なんかより、工場長の方が生産的だから偉いアル!それから、女王様は響古と決まってるネ」
響古は言葉には出さず、ただ満足そうに笑う。
それだけで頬を染める工場長はびしっと指を突きつける。
「私の方はやせこけた工場長とお呼び!」
愚民その二は目先を変えることにした。
おつかいの問題についてだけ話し合おう。
ろくでもない返事を聞きそうな気はしたが、一応訊ねてみる。
「工場長、トイレットペーパー買ってきてくれた?」
「トイレットペーパーは忘れたアルけど」
途端、工場長は気まずそうに目を逸らす。
念のため確認してみたら、やはり。
「オイ、勘弁しろよ、安売り今日までなんだぞ、工場長!」
「ケツ拭く紙は忘れたけど、もっと素敵な紙は手に入れたヨ」
肝心な買い物を忘れてしまった工場長が紙袋の中をあさると、女王様は興味津々に眺める。
「何かしら、工場長?」
そして、得意げに笑う工場長が見せた素敵な紙とは――宇宙旅行の招待券だった。
「宇宙への旅、四名様!?」
「こっ…工場長ォォ!!」
「でかしたわ、工場長!!」
奇跡としか言いようがない。
さすがの三人も初の宇宙とあって浮かれないわけにもいかない。
万事屋、初の宇宙旅行である。
江戸の真ん中にそびえ立つターミナル近くに建てられた空港は、国際どころか宇宙の旅行にまで発展している。
万事屋四人は税関を通るべく厳密な荷物と身体のチェックを受けていた。
新八は眼鏡を外せばその他何も探知機に反応はなかったし、神楽もその類は身に着けていなかったのだが、何かと係員をわずらわせたのは銀時である。
金属探知機を潜った途端、キンコーン、と制止の音がかかった。
「んだよ。金属の類なんて、持ってねーって」
金属で引っかかった銀時は頭を掻く。
恐らくベルトか何かだろうが、例によってボケを言う。
「あ?もしかして、アレか?心のナイフとかにも反応すんのか?」
「んなわけないでしょ。きっと、腰についてるベルトとかじゃないの」
二人の会話に、いかにもプロっぽい冷静沈着な声が割って入った。
「ご迷惑おかけいたします、現在、攘夷派によるテロが多発しておりますので」
清潔そうな制服に身を包んだ客室乗務員の女性が背筋をきれいに伸ばして、すぐ傍に立っている。
見事な営業スマイルで、銀時のボケをスルーした。
「テロね~」
「あ゙っ!!」
物騒な単語に響古は眉を寄せると、銀時が突然声をあげた。
「スイマセン。股に金属二つ、ついてんの忘れました」
「お客様、だまってねーと殴りますよ」
真面目な顔で言い放った下ネタに、女性は完璧な笑顔で斬り捨てた。
「それは問題ない。
「何言ってやがんだ。俺ァ、まだまだヤレるぞ。待ってろ、今見せてやるから…」
ズボンに手をかけた銀時に危険を感じたのか、響古はギリギリとその首を両腕で締め上げる。
「スイマセン、ご迷惑をおかけしまして」
微笑んだ響古の美貌に、女性は思い切り表情を揺らし、ぼっ、と顔を赤くさせる。
無数に人の行き交うロビーで、新八は残された貴重な時間を使い、ベンチで二人を待っていた。
焦っても早まったりはしない、旅客便出発までの暇つぶしとして、旅行への期待を膨らませる。
「…ハァ~、姉上も連れてきてあげたかったなァ。宇宙から見た地球はキレイなんでしょ?神楽ちゃ…!」
言って、隣で待っているはずの少女へ振り返る。
定春を頭に
「お客様、ペットの連れ込みは禁止になっておりまして」
「違うヨ、人形だヨ」
巨大犬を人形だと言い張るが、スタッフは冷静に指摘する。
「人形はハァハァ言いません」
「違うヨ、人形じゃないヨ、加湿器!」
「こんな生ぐせー加湿器あるかァァ!!」
「じゃあ、やっぱりペット!」
あまりにバレる嘘から一転、正直に告げる少女にスタッフは困惑する。
他人のフリをしようとしていた新八だったが、失敗に終わった。
「定春、誰にも迷惑かけないし、人にもかみつかないヨ。私、保証するアル」
「いや、やってるから!言ってるそばからやってるから!」
懸命に説得するも無駄に終わり、飼い主から離れた定春は見境なく一人の乗客に噛みつく。
「お客様ァァァ!!大丈夫ですかァ!?」
スタッフは乗客のもとへ駆け寄る。
「…あ゙~」
先程までぐっすりと眠っていたようで、のっそりとベンチから起き上がる。
「なんじゃ、人が気持ちよく寝ちょったのに。フライトの時間かや~」
黒髪の天然パーマ、黒いサングラスをかけて首元にマフラーをしている。
着物の上に襟つきの羽織を纏って下はズボンという、和と洋を混ぜた格好。
そして、定春に頭を噛みつかれているため、額から血が滴っていた。
「お客様、恐れ入りますが、頭の方がフライトしかけております」
「なんじゃ~、頭ァ?なんか、ズキズキするの~。昨日飲みすぎたきに、アッハッハッハッ」
「いや、飲み過ぎたじゃなくて、飲まれております」
呑気な笑い声をあげる男に対し、スタッフは冷や汗を流して教える。
「寝汗もベトベトじゃ」
生温かい感触を覚えて額を拭うと、真っ赤な血がべっとり付着していた。
「アレ?まっ赤じゃ…あートマトジュース飲んだから」
「おいィィ、ポジティブシンキングにも程があるぞォ!!」
スタッフは声を張り上げてつっこむが、男は明るい態度を崩さない。
「あー、身体も重いし、完全に二日酔いじゃの~。アッハッハッハッハッ」
身体にのしかかる重みと流血を豪快な笑いで受け流し、能天気な調子で言う。
「ちょっとォォ、人の話きいてんの!?」
話を全く聞かず、定春に噛みつかれたまま、どこかへ歩き出す。
「あ~、定春ぅぅ!!」
「…なんだ。あの人?」
愛犬を連れていかれ、神楽はすぐさま追いかける。
この時、新八は男の印象を変な人と思い、首を傾げた。
あの後、やっと金属探知機を通り抜けた銀時と響古は新八と神楽に合流し、全員で宇宙船の中へ搭乗することができた。
と、ここで訝しげな問いかけ。
「ウソ、定春さらわれたの?」
席について早々問題を起こしたというか、既に起こした神楽が悲しそうな表情で訴える。
「そうアル。私もう、旅行なんて楽しめそーにないヨ」
「だーから、ババァに預けとけって言ったんだよ、もう台無しじゃねーか、旅行が…」
会話的には深刻な状態だが、機内食をガツガツと食べているため、全てが台無しになっていた。
「台無しなのは、お前らの人間性だよ」
ホントに悲しく思ってんのか、と新八はつっこんだ。
「だって、定春だけ残していくの、かわいそーネ!銀ちゃんは定春かわいくないアルか!!」
「旅先でギャーギャー喚くんじゃねーよ。あーあ、興冷めだ、もう帰るか」
せっかくの宇宙旅行だというのに場の空気が悪くなる。
しかし真面目な話、出発前にそんな不吉な情報を伝えてくれなくても。
離陸の瞬間が迫って窓際に座る四人の耳に、機内のアナウンスが流れた。
《――皆様。よろしければ、左側の窓をご覧になって下さい。あれが太陽系で最も美しいとされる星、我らが母なる星、地球です》
言われた通り窓の外へ視線を向けると、地上の景色がどんどん小さくなっていくのが見える。
水の惑星と呼ばれている、青い輝きが溢れた。
自然とこぼれたつぶやきは、感動にすら近いものを含んでいる。
「「わー、キレイだ~」」
「スゴ~い」
響古までもが窓に身を乗り出して地球を眺めている始末である。
「わー、じゃねーよ、キッチリエンジョイしてんじゃねーか!なんだ、オメーら!」
宇宙から眺める地球は、これまで見たことがないくらい美しく素晴らしかった。
「生きてるっていいなァ」
「小さな悩みなんて、どうでもよくなってくるな~」
「ホントアル、心洗われるヨ」
こんな景色を見てしまったら、悩みなんて気持ちなんて、どこかへ吹っ飛ぶに決まっている。
「洗っちゃいけないよ!心に遺しておかなきゃならない汚れもあるよ!!」
この三人に定春を任せることもできず、新八は地球で盛り上がっている彼らに言って席を立とうとした。
「ちょっと僕、探してきますよ。同じ船乗ってるかもしれないし」