第二十訓
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その日、銀時と響古は定春の散歩に出かけていた。
「ふぬををををを!!」
「何やってるのよ、バカ銀」
現在、リードを持っているのは銀時。
しかし、今まさに道端で用を足そうとしている定春のおかげで散歩が進んでいない。
「おめっ、ダメだって、こんなところで用たしたら…お前の排泄物はわんぱく坊主の夢よりでかいんだから!!」
「オイ。明るい未来がある子供達の夢を、排泄物なんかと比べるな、失礼だぞ。全国の少年達に謝れ」
「そんなこと言ってねーで助けろよ!!コイツ、お前の言うことならきくんだから!!」
響古の暴言と銀時の悲鳴をスタートに毒舌ラッシュが始まった。
「全く…先がある少年達の夢を、排泄物と一緒にしないでほしいわね。あ、銀は夢や希望なんてドブに捨てたんだっけ?」
「捨てるかァァ!そんなに俺をいじめて楽しいかァ!?」
容赦ない毒舌が連続で続き、銀時は涙目で喚く。
「ええ、楽しいわよ」
彼女は満面の笑顔で言い放つ。
いっそ、こちらも口撃で対抗しようか?
(……いや、ダメだ)
前に似たような状況でそれを試してみたら、人を弄ぶような悪魔的な微笑みで心身共に大ダメージを食らった。
「チキショー、だから散歩なんざ嫌だったんだよ。面倒は必ず、私がみるアルとか言ってたくせによォ」
今までペットを飼ったことはなく、定春の世話は全て神楽に一任していたはずだった。
ところが、定春の散歩をしているのは銀時である。
ここに至って、現状の危うさに気づき出した。
「最終的には、ぜってーお母さんが犬の世話することになるんだよ!!」
客観的に分析すると、今の自分は三日坊主の子供の代わりにペットの世話をするお母さん。
「アレ?俺、お母さん?」
「まあポジション的にはお母さんだよね。日々家にいるし」
「んじゃ、お前がお父さんってわけ?」
「ろくに家事もしてくれない妻と大食い娘の父親とか嫌過ぎるって」
勘弁してよ、と本気で嫌そうにする響古。
その点、新八はなんてできた子なんだろう、と深々と思う。
料理もしっかりできて、率先して家事をしてくれる。
「フン。ペットのしつけもできんとは情けない…」
聞き慣れた声での、真面目ぶった呼びかけ。
「動物一匹、自由にできんようで、天下国家をどうして動かせようか…貴様、それでも侍か!?」
今まで見たことのない生物が桂の後ろに立っていた。
白いペンギンの体にアヒルの顔を持った、変哲な外見の生き物を連れて。
「ヅラァ、なんだソレ、気持ちワル!!」
「ワォ、後ろに変なのがくっついてるよ……」
春雨の一件ぶりに現れたと思えば、いきなり変な生物を連れていて、銀時と響古は目を剥いて驚く。
「気持ち悪くない!変でもない!エリザベスだ」
「単体で見るとそーでもねーが、お前とセットになると気持ちワリーよ。っていうか、お前が気持ち悪い!」
「え、でもヅラといるとまだアホっぽくない?あれ単体だとちょっと怖くない?」
昔からの仲だからか、二人とも容赦ないことを言う。
しかも桂も反論するから言い争いが始まる始末だ。
「その言葉、そのまま貴様に返すぞ。お前単体で見るとそーでもないが、響古とセットだと、顔のつくりが違いすぎて気持ち悪い!」
「ヅラ、さりげなく傷ついているのね…」
ひどく失礼な発言を聞いて、銀時は声を荒げる。
「何だソレ!?言い過ぎだろ!」
だが、そんなことをしていては話も進まない。
響古は溜め息をついて桂の後ろにいる変な生物、エリザベスについて触れることにした。
「で、そのエリザベスがどうしたの?」
「坂本のバカが、このあいだ俺の所に来て勝手においていったんだ。大方、どこぞの星で拾って来たんだろう。相変わらず、宇宙航海などにうつつをぬかしてらしいからな」
「辰馬、ヅラのところには来たんだ。こっちには一切顔出さないのに」
ちょっと不機嫌そうに、しかし少しそわそわしながら響古は言った。
素直さとは正反対の態度に苦笑を押し殺しながら、桂は淀みなく告げる。
「場所がわからんのではないか?今度会ったら教えておこう」
「ホント?ありがとう!」
まるで同窓会のような会話を繰り広げながら、響古は住所を書いた紙を渡す。
結構本気で連絡を取りたいらしい。
「てか何、連絡とってんのお前ら!?」
連絡を交わす二人につっこんで、銀時はふとエリザベスに目をやる。
そして一瞬で目を逸らした。
なんだかずっと見ていられない雰囲気があった。
怖い。
「オメー、地球外生物は嫌いじゃなかったか?」
「こんな思想も何もない者を、どう嫌いになれというんだ。それに…けっこう、カワイイだろ?」
普段なら絶対に言いそうにないことを、真摯な瞳で言い切った。
この時、銀時は信じられないような目で桂を見ていた。
「どーだ?俺と一緒にエリザベスを立派に育ててみないか?」
すかさず響古の両手を握るが、それを銀時が許すはずもない。
「何、ペット育成ゲームみてーなナンパしてんだ!!人の彼女に手ェ出すな!!」
怒りを露にする銀時の剣幕に、桂は少し身構える。
「フン、貴様も諦めが悪いな。響古、こんな天然パーマで死んだ魚のような瞳 をした男なんじゃなく…」
「ヅラ、それ以上銀をけなすのは、いい加減にしてくれるかしら?」
ためらいもなく紡がれた言葉と共に、両手が桂の肩をぐいぐいと押す。
「ほら、エリザベスが待ってるじゃないの。銀、定春の散歩続けるわよ」
「あぁ…そろそろ俺達も、散歩の続きに戻るとしようか」
戸惑いながらも立ち去る桂を見送り、響古は手を振る。
「響古、また会おう。よーし、いくぞ、エリザベス。今日は河川敷までいこうか!」
生真面目な男の意外な一面が垣間見え、銀時は唖然とした。
桂と別れてからの間、ずっと気になっていた響古の言葉に、どくどく、と鼓動が早まる。
「……響古」
頬をやや紅潮させ、銀時は声をかける。
「んー?」
「さっきの言葉……もしかして、俺のために?」
恥ずかしいながらもめちゃくちゃ嬉しくて訊ねた。
「なっ、何言ってんの!あたしは…ただ――」
額に汗を滲ませた響古は真っ赤になって、もごもごと台詞をつっかえさせて目を伏せた。
「ただ?」
「…………うるさいうるさいうるさい!!」
反射的に聞き返すと、無理矢理会話を打ち切って、大股でずんずんと歩き出す。
――なんだ、あの可愛い照れっぷり!
――死ぬ!萌え死ぬ!
――そーか、アレがツンデレか!
うろたえる響古の後ろ姿に胸中で悶え、真っ赤になった顔を手で覆い隠した。
二人は定春の散歩を終えて万事屋に帰宅した。
一体何だったんだか、と思いながら、先程の出来事を新八と神楽に話す。
「へェー、あの桂さんがねェ。意外なところもあるんスね」
「まーな。奴も丸くなったってことじゃねーの?」
ソファでくつろぐ銀時の頭には、鋭い牙で離さない定春。
噛まれているのになんの反応もしないとは、もう日常の一部なのだろうか。
「ウチのも、もらってくんねーかな。生産性のねェ奴はウチにはいらねーよ。コイツが産むのは、ウンコと痛みじゃねーか!」
うんざり気味に紡がれた発言に、響古と神楽から批判の言葉が飛ぶ。
「そんな言い方、定春に失礼でしょ」
「響古の言う通りネ、定春!そのままかみ砕くヨロシ」
「ちょっと砕けた方が、マシな考え方になるんじゃないの?」
トスを高く上げておいてアターック!!と地面に叩き落とすという、二人の高等連携プレイ。
これにより、定春は噛む力を強める。
(それにしても、響古さんと神楽ちゃんのコンビは、はっきり言って強いですね。by.新八)
身の危険を察し、銀時は先程の発言を撤回する。
「待て待て待て待て、わかった、わかった!!ウンコと痛みプラスシッコだ」
「ヨシ、定春離してやれアル」
「ヨシじゃねーよ、ロクなモン、プラスされてねーじゃねーか!」
「むしろマイナスじゃない」
撤回どころか余計なものまで付け加えられ、響古と新八は胡乱な眼差しになる。
「大体ペットは、安らぎを与えてくれる存在ですよ。見返り求める方が間違ってますよ」
確かに、巨大ではあるが見た目はかなり可愛い方。
癒しをもらっているのには賛成だ。
《番組では、変なペットを募集しています》
すると、つけっぱなしのテレビの方から気になるCMが耳に入ってきた。
《鎖国解禁以来、我が国には天人と共に様々な生き物がやって来ております。あなたの近所にも、変なペットがいませんか?当番組では、そんな変でかわいいペットを集め日本一を決定したいと思います。グランプリには、豪華賞品が…≫
企画の説明が流れると、四人の視線が画面に釘づけになる。
「…安らぎと豪華賞品」
「どっちがほしい?」
安らぎと豪華商品を天秤にかけるが、四人の心は既に一致していた。
≪変であることを恐れるな。変とはつまり、オリジナリティーだ!》
グラサンをかけ、マイクの持ち方が独特な司会者の登場によって、企画が始まる。
《第一回宇宙で一匹、変てこペットグランプリぃぃぃ!!》
今は閉店中であるスナック『お登勢』。
備えつけられたテレビから流れる番組を、カウンター席に座るキャサリンが頬杖をついて見ていた。
「ただいま~」
すると、スナックの戸が開いて、家賃を回収しに行ったお登勢が戻ってきた。
「オ帰リナサイ。ドウデシタ、オ登勢サン」
「ダメだ、また逃げやがったよ、アイツら。ったく、家賃回収の度に逃げまわりやがって」
煙草を吹かしながら愚痴をこぼす。
「見つけたら響古以外、ボコボコにしてやるよ」
「オ登勢サン、オ登勢サン。アレ、アレ」
「うるせーな、またムショにブチこまれてーのか、あん!?」
「見テ見テ、テレビ!」
キャサリンは目を見開いたままテレビを指差す。
司会者の紹介によって、万事屋四人とペットの定春を映し出していた。
《新宿かぶき町から来ていただきました。宇宙生物定春くんと、飼い主の坂田さんファミリーです》
「坂田さんファミリぃぃぃぃ!?何やってんだ、アイツらァァァ!?」
拍手に迎えられて出てきた坂田さんファミリー。
それを見ていたお登勢は心底驚いた。
「ふぬををををを!!」
「何やってるのよ、バカ銀」
現在、リードを持っているのは銀時。
しかし、今まさに道端で用を足そうとしている定春のおかげで散歩が進んでいない。
「おめっ、ダメだって、こんなところで用たしたら…お前の排泄物はわんぱく坊主の夢よりでかいんだから!!」
「オイ。明るい未来がある子供達の夢を、排泄物なんかと比べるな、失礼だぞ。全国の少年達に謝れ」
「そんなこと言ってねーで助けろよ!!コイツ、お前の言うことならきくんだから!!」
響古の暴言と銀時の悲鳴をスタートに毒舌ラッシュが始まった。
「全く…先がある少年達の夢を、排泄物と一緒にしないでほしいわね。あ、銀は夢や希望なんてドブに捨てたんだっけ?」
「捨てるかァァ!そんなに俺をいじめて楽しいかァ!?」
容赦ない毒舌が連続で続き、銀時は涙目で喚く。
「ええ、楽しいわよ」
彼女は満面の笑顔で言い放つ。
いっそ、こちらも口撃で対抗しようか?
(……いや、ダメだ)
前に似たような状況でそれを試してみたら、人を弄ぶような悪魔的な微笑みで心身共に大ダメージを食らった。
「チキショー、だから散歩なんざ嫌だったんだよ。面倒は必ず、私がみるアルとか言ってたくせによォ」
今までペットを飼ったことはなく、定春の世話は全て神楽に一任していたはずだった。
ところが、定春の散歩をしているのは銀時である。
ここに至って、現状の危うさに気づき出した。
「最終的には、ぜってーお母さんが犬の世話することになるんだよ!!」
客観的に分析すると、今の自分は三日坊主の子供の代わりにペットの世話をするお母さん。
「アレ?俺、お母さん?」
「まあポジション的にはお母さんだよね。日々家にいるし」
「んじゃ、お前がお父さんってわけ?」
「ろくに家事もしてくれない妻と大食い娘の父親とか嫌過ぎるって」
勘弁してよ、と本気で嫌そうにする響古。
その点、新八はなんてできた子なんだろう、と深々と思う。
料理もしっかりできて、率先して家事をしてくれる。
「フン。ペットのしつけもできんとは情けない…」
聞き慣れた声での、真面目ぶった呼びかけ。
「動物一匹、自由にできんようで、天下国家をどうして動かせようか…貴様、それでも侍か!?」
今まで見たことのない生物が桂の後ろに立っていた。
白いペンギンの体にアヒルの顔を持った、変哲な外見の生き物を連れて。
「ヅラァ、なんだソレ、気持ちワル!!」
「ワォ、後ろに変なのがくっついてるよ……」
春雨の一件ぶりに現れたと思えば、いきなり変な生物を連れていて、銀時と響古は目を剥いて驚く。
「気持ち悪くない!変でもない!エリザベスだ」
「単体で見るとそーでもねーが、お前とセットになると気持ちワリーよ。っていうか、お前が気持ち悪い!」
「え、でもヅラといるとまだアホっぽくない?あれ単体だとちょっと怖くない?」
昔からの仲だからか、二人とも容赦ないことを言う。
しかも桂も反論するから言い争いが始まる始末だ。
「その言葉、そのまま貴様に返すぞ。お前単体で見るとそーでもないが、響古とセットだと、顔のつくりが違いすぎて気持ち悪い!」
「ヅラ、さりげなく傷ついているのね…」
ひどく失礼な発言を聞いて、銀時は声を荒げる。
「何だソレ!?言い過ぎだろ!」
だが、そんなことをしていては話も進まない。
響古は溜め息をついて桂の後ろにいる変な生物、エリザベスについて触れることにした。
「で、そのエリザベスがどうしたの?」
「坂本のバカが、このあいだ俺の所に来て勝手においていったんだ。大方、どこぞの星で拾って来たんだろう。相変わらず、宇宙航海などにうつつをぬかしてらしいからな」
「辰馬、ヅラのところには来たんだ。こっちには一切顔出さないのに」
ちょっと不機嫌そうに、しかし少しそわそわしながら響古は言った。
素直さとは正反対の態度に苦笑を押し殺しながら、桂は淀みなく告げる。
「場所がわからんのではないか?今度会ったら教えておこう」
「ホント?ありがとう!」
まるで同窓会のような会話を繰り広げながら、響古は住所を書いた紙を渡す。
結構本気で連絡を取りたいらしい。
「てか何、連絡とってんのお前ら!?」
連絡を交わす二人につっこんで、銀時はふとエリザベスに目をやる。
そして一瞬で目を逸らした。
なんだかずっと見ていられない雰囲気があった。
怖い。
「オメー、地球外生物は嫌いじゃなかったか?」
「こんな思想も何もない者を、どう嫌いになれというんだ。それに…けっこう、カワイイだろ?」
普段なら絶対に言いそうにないことを、真摯な瞳で言い切った。
この時、銀時は信じられないような目で桂を見ていた。
「どーだ?俺と一緒にエリザベスを立派に育ててみないか?」
すかさず響古の両手を握るが、それを銀時が許すはずもない。
「何、ペット育成ゲームみてーなナンパしてんだ!!人の彼女に手ェ出すな!!」
怒りを露にする銀時の剣幕に、桂は少し身構える。
「フン、貴様も諦めが悪いな。響古、こんな天然パーマで死んだ魚のような
「ヅラ、それ以上銀をけなすのは、いい加減にしてくれるかしら?」
ためらいもなく紡がれた言葉と共に、両手が桂の肩をぐいぐいと押す。
「ほら、エリザベスが待ってるじゃないの。銀、定春の散歩続けるわよ」
「あぁ…そろそろ俺達も、散歩の続きに戻るとしようか」
戸惑いながらも立ち去る桂を見送り、響古は手を振る。
「響古、また会おう。よーし、いくぞ、エリザベス。今日は河川敷までいこうか!」
生真面目な男の意外な一面が垣間見え、銀時は唖然とした。
桂と別れてからの間、ずっと気になっていた響古の言葉に、どくどく、と鼓動が早まる。
「……響古」
頬をやや紅潮させ、銀時は声をかける。
「んー?」
「さっきの言葉……もしかして、俺のために?」
恥ずかしいながらもめちゃくちゃ嬉しくて訊ねた。
「なっ、何言ってんの!あたしは…ただ――」
額に汗を滲ませた響古は真っ赤になって、もごもごと台詞をつっかえさせて目を伏せた。
「ただ?」
「…………うるさいうるさいうるさい!!」
反射的に聞き返すと、無理矢理会話を打ち切って、大股でずんずんと歩き出す。
――なんだ、あの可愛い照れっぷり!
――死ぬ!萌え死ぬ!
――そーか、アレがツンデレか!
うろたえる響古の後ろ姿に胸中で悶え、真っ赤になった顔を手で覆い隠した。
二人は定春の散歩を終えて万事屋に帰宅した。
一体何だったんだか、と思いながら、先程の出来事を新八と神楽に話す。
「へェー、あの桂さんがねェ。意外なところもあるんスね」
「まーな。奴も丸くなったってことじゃねーの?」
ソファでくつろぐ銀時の頭には、鋭い牙で離さない定春。
噛まれているのになんの反応もしないとは、もう日常の一部なのだろうか。
「ウチのも、もらってくんねーかな。生産性のねェ奴はウチにはいらねーよ。コイツが産むのは、ウンコと痛みじゃねーか!」
うんざり気味に紡がれた発言に、響古と神楽から批判の言葉が飛ぶ。
「そんな言い方、定春に失礼でしょ」
「響古の言う通りネ、定春!そのままかみ砕くヨロシ」
「ちょっと砕けた方が、マシな考え方になるんじゃないの?」
トスを高く上げておいてアターック!!と地面に叩き落とすという、二人の高等連携プレイ。
これにより、定春は噛む力を強める。
(それにしても、響古さんと神楽ちゃんのコンビは、はっきり言って強いですね。by.新八)
身の危険を察し、銀時は先程の発言を撤回する。
「待て待て待て待て、わかった、わかった!!ウンコと痛みプラスシッコだ」
「ヨシ、定春離してやれアル」
「ヨシじゃねーよ、ロクなモン、プラスされてねーじゃねーか!」
「むしろマイナスじゃない」
撤回どころか余計なものまで付け加えられ、響古と新八は胡乱な眼差しになる。
「大体ペットは、安らぎを与えてくれる存在ですよ。見返り求める方が間違ってますよ」
確かに、巨大ではあるが見た目はかなり可愛い方。
癒しをもらっているのには賛成だ。
《番組では、変なペットを募集しています》
すると、つけっぱなしのテレビの方から気になるCMが耳に入ってきた。
《鎖国解禁以来、我が国には天人と共に様々な生き物がやって来ております。あなたの近所にも、変なペットがいませんか?当番組では、そんな変でかわいいペットを集め日本一を決定したいと思います。グランプリには、豪華賞品が…≫
企画の説明が流れると、四人の視線が画面に釘づけになる。
「…安らぎと豪華賞品」
「どっちがほしい?」
安らぎと豪華商品を天秤にかけるが、四人の心は既に一致していた。
≪変であることを恐れるな。変とはつまり、オリジナリティーだ!》
グラサンをかけ、マイクの持ち方が独特な司会者の登場によって、企画が始まる。
《第一回宇宙で一匹、変てこペットグランプリぃぃぃ!!》
今は閉店中であるスナック『お登勢』。
備えつけられたテレビから流れる番組を、カウンター席に座るキャサリンが頬杖をついて見ていた。
「ただいま~」
すると、スナックの戸が開いて、家賃を回収しに行ったお登勢が戻ってきた。
「オ帰リナサイ。ドウデシタ、オ登勢サン」
「ダメだ、また逃げやがったよ、アイツら。ったく、家賃回収の度に逃げまわりやがって」
煙草を吹かしながら愚痴をこぼす。
「見つけたら響古以外、ボコボコにしてやるよ」
「オ登勢サン、オ登勢サン。アレ、アレ」
「うるせーな、またムショにブチこまれてーのか、あん!?」
「見テ見テ、テレビ!」
キャサリンは目を見開いたままテレビを指差す。
司会者の紹介によって、万事屋四人とペットの定春を映し出していた。
《新宿かぶき町から来ていただきました。宇宙生物定春くんと、飼い主の坂田さんファミリーです》
「坂田さんファミリぃぃぃぃ!?何やってんだ、アイツらァァァ!?」
拍手に迎えられて出てきた坂田さんファミリー。
それを見ていたお登勢は心底驚いた。