第69話
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「鋼の?あー、あやしいですよね、あいつ。生体錬成の研究にここに来たって言ってますけど」
地下を修復中の作業員が足を止め、憤然とした様子で語る。
「ドラクマの生物兵器でしょ?あのでかいの。エルリック兄弟が手引きしてたんじゃないんですかい?」
眼鏡をかけた白髪の軍人は冷ややかな眼差しで吐き捨てる。
「何も喋らんので、ふんじばって牢に入れてありますよ。あのデカブツについて、絶対何か知ってますよ」
白衣を纏った機械鎧技師はとぼけたように受け流す。
「ドラクマのスパイですよ!!早く連れてって中央で裁いてくださいよ!!」
氷柱落とし担当の軍人は強い口調で非難する。
彼らが一貫してわざとらしい反応を見せているのは、雪の女王から当たり障りのない受け答えをしろと指示されているからだ。
相手は今初めて知ったような顔で相槌を打っていた。
盗聴の後、空き部屋から場所を変えて、再び牢へ閉じ込められる。
幾分かリラックスした姿勢でいる三人のもとへレイブンがやって来た。
「君達に話がある。いいかね?」
牢屋に入ったレイブンは挨拶より先に命令口調で告げた。
しかも付き添いの兵士を追い払うように引き下がらせて、だ。
どんなに気が進まなくても、避けて通ることはできない。
すると彼はこちらに向き直った。
「君もこちらの牢へ移動したまえ"氷の魔女"」
「………」
キョウコは言われるがままに立ち上がり、開けられた牢屋をくぐり抜ける。
この場の主導権は、全て彼が握っているのだから。
「中央のレイブンだ。大総統閣下から話は聞いているよ」
改めて自己紹介をし、三人の顔を正面から見つめる。
(――「上層部は全て真っ黒だ」――)
ロイが打ち明けてくれた、恐るべき真実。
人造人間の暗躍は、既に軍部の中枢にまで浸食している。
結局のところ、上層部は傀儡に過ぎないのだ。
「……ども」
エドは軽く一礼する。
「ブリックズの奴らに余計な事は喋っておらんようだな」
「そりゃあ…約束ですから」
「それを違えた時のデメリットを忘れるわけがありませんから」
「ふむ、そうだったな…それにしても、君はしばらく見ないうちに、ずいぶんと変わったものだな」
ニヤリと笑いかけられ、キョウコはその視線を迎え撃った。
二人の間にはまさしく親子の年齢差がある。
だがキョウコの顔に、気後れを窺わせるものは全くない。
肩肘を張る虚勢もない。
肩書きや立場といった、自分の能力とは無関係な虚飾の仮面が剥がれ、苦虫を噛み潰す。
もっとも、レイブンにはキョウコを「たかが小娘風情」と見下す気持ちはない。
彼女はロイの部下であり、あのブラッドレイから戦うための能力を心身に叩き込まれた"氷の魔女"だ。
軍の狗と揶揄されている国家錬金術師と、そういうレベルとは次元が違う。
それをレイブンは、よく知っていた。
キョウコの態度に不快感を見せたのは、たんに、自分の孫と同じ年頃の少女が自分を同格の存在として見ていることに対して苛立ちを覚えたからだった。
「それは、どういう意味で?」
聞きようによっては、ではなく、年長者に対して間違いなく失礼な口ぶりだが、ここはレイブンが自制した。
押しかけたのは自分であり、この程度で逆上するのはみっともないと判断する程度の分別は、レイブンの中に残っていた。
「ますます、美しさに磨きがかかっている」
ただ形を取り繕う必要性は認めなかったようで、キョウコの肩に手を回し、スリスリと撫でた。
「てんめぇ……っ!!」
「兄さん!」
逆上するエドの腕を掴み、寸前のところで止める。
人質を取られているのだ、下手にすれば何をされるかわからない。
アルは反射的に兄を抑える。
「そうよ、エド」
余計な摩擦を生じないよう大人しく振る舞い、キョウコもたしなめる。
「少し落ち着いて。今、そっちに向かうから」
僅かに持ち上げられたところで、きつく握りしめられて止まる。
反射的に引き離そうとした結果で自制し、ベッドに座るよう促してエドも、ドカッ、と座った。
「どうした?何か気に障るような事でもしたかね、鋼の」
「……別に」
忌々しげに顔を歪める。
今にも舌打ちが漏れそうだ。
「不服そうだね」
少年の表情に浮かぶ不機嫌さを見て、レイブンは苦笑いをしながら肩をすくめた。
「君は子供だからわからんだろうけどね。物事は大きな目で見なければいけないよ」
そして、高らかで誇らしげに、こう告げる。
「我々がやろうとしている事はこの国の…いや、世界のためになるのだ。この計画に参加できる事を誇りに思いたまえよ」
この教示の中、聞く耳持つ持たないにかかわりなく、三人へと見せつける。
寸分の意味も掴めない、しかし知らないものを知る、高揚感を煽られる教示の中で。
三人は何も言わない。
それをレイブンは、彼らが処理できる情報の限界を超えてしまったのだと解釈する。
「そりゃあ今は君達にとって不満な待遇ではあるだろうけどね。将来きっと我々に感謝する時が来る!」
その主張は一見、論理的だった。
その言葉が、自分達の悪行を正当化する理論武装に思えてならない。
「この砦の者達だってそうだ!今、我々の言う事を聞いていれば、輝ける未来が待っているのだからな」
「あの…いつになったら牢に出してもらえるんですか?」
そんなレイブンの台詞を遮ったのは、意外にもアルだった。
「そちらのジャマをしなければ旅を続けていいって約束ですよ?」
「まぁ、待て。そのうち出してやるから心配するな」
「地下の穴はどーすんですか。あれもそちらさんの計画の一部でしょう?みんなにバレたら…」
続けてエドも、剣呑な眼差しで投げかける。
「それも心配いらん」
エドの単刀直入な質問に、レイブンは回りくどい態度を止め、ニヤリと笑った。
ドロドロとした闇を瞳に宿した、暗い笑みだった。
「アームストロング少将は例の人造人間をトンネルに戻して、元通り穴を塞ぐそうだよ。少将もこちら側の人間になった」
「「………!!」」
信じられない……そんな感情をありありと浮かべ、兄弟は絶句する。
先程、エドからの策でレイブンに罠を仕掛けたオリヴィエが寝返ったという、最悪の事実。
その一瞬だけは、気丈な彼女も心の隙を隠しきれなかったのだろう。
キョウコは衝撃の事実に忘我する。
「今、穴を塞ぐ工事にとりかかっている。あと一週間もすればきれいに穴は塞がるさ」
見下すような、見透かすような薄笑いを浮かべる。
別れの挨拶代わりに言い残して、レイブンは牢屋から出ていった。
途端、二人に制止されていたエドが、堪えきれないとばかりに感情を爆発させる。
「あンのエロジジイがァァァァッ!!」
「兄さん、外に訊こえるよ」
「あー、クッソ!胸糞悪ィ!こんな状況じゃなかったら一発ぶん殴ってたところだぜ!」
「あのねぇ、そんな手錠してどうやって殴るのよ」
「手錠ごと両手で殴り飛ばすに決まってんだろーが!」
あくまで一発でも殴らないと気が収まらないスタンスを変えないエド。
そんな彼の様子に、キョウコはフフッとおかしそうに笑ってしまった。
「だってエドってば、仮にも上の人間に向かって正直に言うもんだから…」
「なんだよ、キョウコ……おまえはイヤじゃねーのかよ?」
「あはは、ごめんごめん」
ぺろっと舌を出して笑うキョウコ、じろりと不服そうに睨みつけるエド。
どこか嬉しそうに微笑みながら、静かに言った。
「だから、あたしのために怒ってくれてありがとう」
彼女はもう笑っていない。
毅然とした表情。
確かな意志を感じさせる目。
「……おう」
途端に照れくささを感じ、エドは素っ気なく頷いた。
そんな兄の様子を、アルは素直じゃない捻くれ者を見るような目で見つめた。
そして、自分も兄と同じ気持ちなのだと言葉をかける。
「でも、兄さんが怒る気持ちもわかるな。キョウコってば、その気になれば手を振りほどけるのに、レイブンって人のされるがままでさ」
「はいはい……アルも、心配してくれてありがとね」
「姉の心配をするのは、弟として当然!」
当然なの?という反射的な疑問がキョウコの脳裏に浮かんだが、それを口にする愚は犯さなかった。
ただ、心の中で思っただけだ。
家族の心配をするのは確かに当たり前かもしれないが、ここまでなのは、実は珍しいのではないだろうか、と。
「キョウコが強いって事はわかってるよ。でもね、ボクの憧れでもあり敬愛する姉さんが、簡単に他の人に馴れ馴れしく触る姿なんて見たくないんだよ」
いつものように熱く断言するアルを、どこか醒 めた目で見ている自分をキョウコは自覚した。
アルの信頼が重いとは感じない。
アルが自分を信じるならば、自分はそれにどこまでも応えてみせる、という想いがキョウコの中にある。
それは決意であり、自負であり、覚悟だ。
だが、そんな覚悟とは別に、今回は危なかった、と客観的に分析している自分もいる。
相手が沽券 や面子にこだわるキャリア組でなかったならば、相手にその戦闘力を十全に発揮できる意志力があったならば、もしかしたら全身氷漬けにしていたかもしれない、と。
しかし攻撃的な思いをそんな相手に悟られるのは、決意とか使命とかを抜きにしてもまずかった。
だからことさら、強気な態度を意識した。
「そうね。調子に乗る悪い人には、キツいお仕置きをしないとね」
しかしこの台詞は言い過ぎだった。
あるいは「やり過ぎだった」と表現すべきか。
「やっぱり、姉さんはカッコイイ…!」
地下を修復中の作業員が足を止め、憤然とした様子で語る。
「ドラクマの生物兵器でしょ?あのでかいの。エルリック兄弟が手引きしてたんじゃないんですかい?」
眼鏡をかけた白髪の軍人は冷ややかな眼差しで吐き捨てる。
「何も喋らんので、ふんじばって牢に入れてありますよ。あのデカブツについて、絶対何か知ってますよ」
白衣を纏った機械鎧技師はとぼけたように受け流す。
「ドラクマのスパイですよ!!早く連れてって中央で裁いてくださいよ!!」
氷柱落とし担当の軍人は強い口調で非難する。
彼らが一貫してわざとらしい反応を見せているのは、雪の女王から当たり障りのない受け答えをしろと指示されているからだ。
相手は今初めて知ったような顔で相槌を打っていた。
盗聴の後、空き部屋から場所を変えて、再び牢へ閉じ込められる。
幾分かリラックスした姿勢でいる三人のもとへレイブンがやって来た。
「君達に話がある。いいかね?」
牢屋に入ったレイブンは挨拶より先に命令口調で告げた。
しかも付き添いの兵士を追い払うように引き下がらせて、だ。
どんなに気が進まなくても、避けて通ることはできない。
すると彼はこちらに向き直った。
「君もこちらの牢へ移動したまえ"氷の魔女"」
「………」
キョウコは言われるがままに立ち上がり、開けられた牢屋をくぐり抜ける。
この場の主導権は、全て彼が握っているのだから。
「中央のレイブンだ。大総統閣下から話は聞いているよ」
改めて自己紹介をし、三人の顔を正面から見つめる。
(――「上層部は全て真っ黒だ」――)
ロイが打ち明けてくれた、恐るべき真実。
人造人間の暗躍は、既に軍部の中枢にまで浸食している。
結局のところ、上層部は傀儡に過ぎないのだ。
「……ども」
エドは軽く一礼する。
「ブリックズの奴らに余計な事は喋っておらんようだな」
「そりゃあ…約束ですから」
「それを違えた時のデメリットを忘れるわけがありませんから」
「ふむ、そうだったな…それにしても、君はしばらく見ないうちに、ずいぶんと変わったものだな」
ニヤリと笑いかけられ、キョウコはその視線を迎え撃った。
二人の間にはまさしく親子の年齢差がある。
だがキョウコの顔に、気後れを窺わせるものは全くない。
肩肘を張る虚勢もない。
肩書きや立場といった、自分の能力とは無関係な虚飾の仮面が剥がれ、苦虫を噛み潰す。
もっとも、レイブンにはキョウコを「たかが小娘風情」と見下す気持ちはない。
彼女はロイの部下であり、あのブラッドレイから戦うための能力を心身に叩き込まれた"氷の魔女"だ。
軍の狗と揶揄されている国家錬金術師と、そういうレベルとは次元が違う。
それをレイブンは、よく知っていた。
キョウコの態度に不快感を見せたのは、たんに、自分の孫と同じ年頃の少女が自分を同格の存在として見ていることに対して苛立ちを覚えたからだった。
「それは、どういう意味で?」
聞きようによっては、ではなく、年長者に対して間違いなく失礼な口ぶりだが、ここはレイブンが自制した。
押しかけたのは自分であり、この程度で逆上するのはみっともないと判断する程度の分別は、レイブンの中に残っていた。
「ますます、美しさに磨きがかかっている」
ただ形を取り繕う必要性は認めなかったようで、キョウコの肩に手を回し、スリスリと撫でた。
「てんめぇ……っ!!」
「兄さん!」
逆上するエドの腕を掴み、寸前のところで止める。
人質を取られているのだ、下手にすれば何をされるかわからない。
アルは反射的に兄を抑える。
「そうよ、エド」
余計な摩擦を生じないよう大人しく振る舞い、キョウコもたしなめる。
「少し落ち着いて。今、そっちに向かうから」
僅かに持ち上げられたところで、きつく握りしめられて止まる。
反射的に引き離そうとした結果で自制し、ベッドに座るよう促してエドも、ドカッ、と座った。
「どうした?何か気に障るような事でもしたかね、鋼の」
「……別に」
忌々しげに顔を歪める。
今にも舌打ちが漏れそうだ。
「不服そうだね」
少年の表情に浮かぶ不機嫌さを見て、レイブンは苦笑いをしながら肩をすくめた。
「君は子供だからわからんだろうけどね。物事は大きな目で見なければいけないよ」
そして、高らかで誇らしげに、こう告げる。
「我々がやろうとしている事はこの国の…いや、世界のためになるのだ。この計画に参加できる事を誇りに思いたまえよ」
この教示の中、聞く耳持つ持たないにかかわりなく、三人へと見せつける。
寸分の意味も掴めない、しかし知らないものを知る、高揚感を煽られる教示の中で。
三人は何も言わない。
それをレイブンは、彼らが処理できる情報の限界を超えてしまったのだと解釈する。
「そりゃあ今は君達にとって不満な待遇ではあるだろうけどね。将来きっと我々に感謝する時が来る!」
その主張は一見、論理的だった。
その言葉が、自分達の悪行を正当化する理論武装に思えてならない。
「この砦の者達だってそうだ!今、我々の言う事を聞いていれば、輝ける未来が待っているのだからな」
「あの…いつになったら牢に出してもらえるんですか?」
そんなレイブンの台詞を遮ったのは、意外にもアルだった。
「そちらのジャマをしなければ旅を続けていいって約束ですよ?」
「まぁ、待て。そのうち出してやるから心配するな」
「地下の穴はどーすんですか。あれもそちらさんの計画の一部でしょう?みんなにバレたら…」
続けてエドも、剣呑な眼差しで投げかける。
「それも心配いらん」
エドの単刀直入な質問に、レイブンは回りくどい態度を止め、ニヤリと笑った。
ドロドロとした闇を瞳に宿した、暗い笑みだった。
「アームストロング少将は例の人造人間をトンネルに戻して、元通り穴を塞ぐそうだよ。少将もこちら側の人間になった」
「「………!!」」
信じられない……そんな感情をありありと浮かべ、兄弟は絶句する。
先程、エドからの策でレイブンに罠を仕掛けたオリヴィエが寝返ったという、最悪の事実。
その一瞬だけは、気丈な彼女も心の隙を隠しきれなかったのだろう。
キョウコは衝撃の事実に忘我する。
「今、穴を塞ぐ工事にとりかかっている。あと一週間もすればきれいに穴は塞がるさ」
見下すような、見透かすような薄笑いを浮かべる。
別れの挨拶代わりに言い残して、レイブンは牢屋から出ていった。
途端、二人に制止されていたエドが、堪えきれないとばかりに感情を爆発させる。
「あンのエロジジイがァァァァッ!!」
「兄さん、外に訊こえるよ」
「あー、クッソ!胸糞悪ィ!こんな状況じゃなかったら一発ぶん殴ってたところだぜ!」
「あのねぇ、そんな手錠してどうやって殴るのよ」
「手錠ごと両手で殴り飛ばすに決まってんだろーが!」
あくまで一発でも殴らないと気が収まらないスタンスを変えないエド。
そんな彼の様子に、キョウコはフフッとおかしそうに笑ってしまった。
「だってエドってば、仮にも上の人間に向かって正直に言うもんだから…」
「なんだよ、キョウコ……おまえはイヤじゃねーのかよ?」
「あはは、ごめんごめん」
ぺろっと舌を出して笑うキョウコ、じろりと不服そうに睨みつけるエド。
どこか嬉しそうに微笑みながら、静かに言った。
「だから、あたしのために怒ってくれてありがとう」
彼女はもう笑っていない。
毅然とした表情。
確かな意志を感じさせる目。
「……おう」
途端に照れくささを感じ、エドは素っ気なく頷いた。
そんな兄の様子を、アルは素直じゃない捻くれ者を見るような目で見つめた。
そして、自分も兄と同じ気持ちなのだと言葉をかける。
「でも、兄さんが怒る気持ちもわかるな。キョウコってば、その気になれば手を振りほどけるのに、レイブンって人のされるがままでさ」
「はいはい……アルも、心配してくれてありがとね」
「姉の心配をするのは、弟として当然!」
当然なの?という反射的な疑問がキョウコの脳裏に浮かんだが、それを口にする愚は犯さなかった。
ただ、心の中で思っただけだ。
家族の心配をするのは確かに当たり前かもしれないが、ここまでなのは、実は珍しいのではないだろうか、と。
「キョウコが強いって事はわかってるよ。でもね、ボクの憧れでもあり敬愛する姉さんが、簡単に他の人に馴れ馴れしく触る姿なんて見たくないんだよ」
いつものように熱く断言するアルを、どこか
アルの信頼が重いとは感じない。
アルが自分を信じるならば、自分はそれにどこまでも応えてみせる、という想いがキョウコの中にある。
それは決意であり、自負であり、覚悟だ。
だが、そんな覚悟とは別に、今回は危なかった、と客観的に分析している自分もいる。
相手が
しかし攻撃的な思いをそんな相手に悟られるのは、決意とか使命とかを抜きにしてもまずかった。
だからことさら、強気な態度を意識した。
「そうね。調子に乗る悪い人には、キツいお仕置きをしないとね」
しかしこの台詞は言い過ぎだった。
あるいは「やり過ぎだった」と表現すべきか。
「やっぱり、姉さんはカッコイイ…!」