page.07 母の面影
「...L...」
ワタリの口から
初めて溜め息が漏れた
「何故Mの事になると、そんなに心を閉ざすのですか?」
「......」
「あの自己紹介の時から、少し様子が変ですが...」
「そう...ですか?」
「Michelを...母上を思い出してしまいますか...?」
「......!」
ワタリは全てお見通しだった
きっと
私の口から聞きたかったのだろう
しかし私がなかなか口を開かないから
ワタリは自ら仕向ける形を取ったのだろう
またワタリに
悪者を演じさせてしまいましたね...
すみません...
「すみません...またワタリが悪者になるところでした...」
「いえ。L、私には何でも話して下さい。」
ワタリ...
「恐いんです...」
「....」
「彼女が..Mが..私の中へ入ってきそうで...」
「L...」
「もう闇へ堕ちたくはないのに..彼女が気になって仕方ないのです...」
「それは..女性としてですか?」
「分かりません...だから、関わるのが恐いのかもしれません...」
「.....」
「きっと関わってしまったら、目を背けていた事を...認めざるを得なくなりそうで...」
「一つだけ忠告します。Mを女性として見れないのならば、このまま関わらない方が良いでしょう。
...母の面影を感じて、ただ近付きたいというのなら..尚更です」
ワタリの言っている事は
全て当たっている
「ありがとうございます。」
「いえ。」
それだけ言うと
ワタリは部屋を後にした
Mとは接触を避けよう
あの声は聞きたくない
お願い...
その声で呼ばないで...
振り返ってしまいそうになるから...
その手をとってしまいそうになるから...
だからお願い...
その声で呼ばないで...
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