page.07 母の面影
"M"と名乗る少女と
他愛もない話で盛り上がる
「本当は、ワタリさんと一緒に来る筈だったんです。でも...」
「ワタリと入れ違いになり、先に向かっていてくれと言われた」
Mはにっこり微笑み
「その通りです」と言った
Mは孤児で
パソコンで養護施設を調べて
このワイミーズハウスを見つけ出したと言っていた
Mは私よりも一つ年下だ
そうは見えない程大人びていて
良い香りがしていた
この香りは...
どこかで...
「どうかしましたか?」
「!」
無意識のうちに
Mに触れそうになっていた
「すみません...」
と言って二階へ上がる
この感じは一体...
二階の洗面台の前に立ち
自分の顔を見る
真っ赤だ
「私はどうしてしまったんだ......」
独り言を呟き
髪をクシャッとかき上げた
冷水で顔を洗うと
一階から賑やかな声がした
ワタリとBが帰って来たのだろう
顔が紅いのを気付かれたくなくて
少し俯き気味に一階へ向かった
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