page.05 監視
もうかれこれ三日が過ぎた
家の周辺に
怪しい動きは見られない
「まだ三日目です。こんなに早く反応が起きたら、逆に不自然ですよ」
「そうだね...」
何だか納得いかなかった
私はまだ【事件】というものを
理解していなかった
【事件】とは
推理をしてすぐに犯人が捕まるものだと思っていた
しかし自分が【事件】に携わると
全く逆の現状だ
犯人を捕まえる事は二の次で
本当に大事なのは
捜査の過程
一歩でも間違えば
自分も危険な目に遭う
だから確実に逮捕する為にも
捜査の過程をしっかり考えなくてはならない
「L、少しお休み下さい。目が真っ赤です...」
「大丈夫...」
「お休み下さい。」
「じゃあ、30分だけ...」
自分の部屋へ向かう階段を上りながら
少し考え事をした
「私は足手まといなのでは...?」
捜査にはまだ役に立てずにいるし
こうやって仮眠を取ってばかりだ
最初の約束で
ワタリと交代で監視をするという事になっていたが
実際は違う
私は仮眠を取る事があっても
ワタリは席を外す事はなかった
私は
信用されていない...?
いくら父親が名探偵であったとしても
私に探偵としての資質が備わっているかどうかは
まだ分からない
孤児だった私をここまで育ててくれたワタリに
とても感謝している
だから
少しでも力になりたいと思った
父親から受け継いだ血が
どの程度のものなのか
試してみたかった
部屋に入ると
ベッドに身を沈めた
モニタールームとは違い
自分の部屋は落ち着く
私は
眠りに堕ちていった
.