page.32 親子
「Nate=River。あなたの本当の名前です。」
「Nate...。なんかピンとこないや...」
「ニアは私が付けたコードネームのようなものです。探偵という職業は、あまり人に本名を晒さない方が良いですからね。」
「そうか...。」
「念の為です。」
「うん。」
初めて耳にする僕の本名
でも、パパの子供ならLawliet姓の筈...
「そしてMichel=River...。ニアの母親の名前です。」
「Michel...。」
「Michelはあなたを産んですぐに、亡くなりました。心臓麻痺でした。」
「死んだ...?」
「Michelと私は籍を入れていません。
世間でいう"隠し子"というやつですね。」
「そんな...」
「しかし、ニアが私の子供である事は変わりません。」
「パパ...」
「あなたの成長を見届けられなかったことが、私の中で最大の後悔です...。
あまり普通の親子として、一緒に居られなかった...」
「でも僕は、パパの子供で良かったよ...。パパ以外は嫌だよ...。」
「ニア...。」
Lと僕が親子
その事実は変わらないんだ
僕はそれだけでいい
僕だけのパパなんだから...
「これから先、キラは益々勢いを増すでしょう。
ニアが私の息子だと分かれば、真っ先に狙われるでしょう。人質という事も有り得ます。」
「恐いことを、そんなあっさりと...」
「でも、そんなことはさせません。キラは私が捕まえる。」
「パパ...」
「ニアは本名を隠し、ハウスの子供達全員にも呼びかけて下さい。
また、写真等 顔の分かる物も全て処分して下さい。」
「分かった...」
「念の為です。
実際キラはテレビに映った死刑囚を私だと思い、その場に居なくても殺人を行っています。」
「本当にそんな事が...」
本当に念じただけで人を殺せる力が存在したら...
それはまさしく脅威だ...
しかしそれでは...
キラはまるで死神...
「The god of death...」
「パパ...」
「もしキラに別名を付けるとしたら、DEATH GOD といったところでしょうか...。
死神など...神とは程遠い存在ですがね...」
「うん...。そうだね...。」
僕はそれからもパパの部屋で過ごして
色々な話をした
キラの話は勿論だけど
今までの生活の話
パパが記憶を失っていた話
ワタリおじいちゃんの話
そして...Beyond=Birthdayの話...
BB事件は当時テレビでも報道されたから知っていた
そしてBeyond=Birthdayのトリックには、どこか惹かれるものがあった
まさか、パパの弟なんて...
「会ってみますか?Bに。」
「えっ!?」
「Bもこの地下に居ます。」
「そんな...だって、刑務所に居る筈じゃ...報道でもそう言って...」
「多少の情報操作をしました。ワケあって、Bは今このハウスの地下牢に居ます。」
情報操作ってレベルじゃないんじゃ....
「興味はある...かな...。会ってみたい、Bに。」
「では、こちらへ...」
導かれるままにパパの後をついて行った
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