このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

page.32 親子





「ここは...」


エレベーターを降りると薄暗い廊下が続いていた
右も左も分からずキョロキョロしていると
懐かしい声に呼び止められる


「...ニア。」
「......!...パパ..!!」


7年ぶりの再会に
僕は自然と涙が溢れた



「ニア...こんなに大きくなって...。」
「パパ...僕も12歳だよ...。普通の成長過程でしょ...。」

「...。そうですね...。久々過ぎて..つい..。」


パパがふっと笑って僕を抱きしめる力が強くなった



「ここではなんですから...私の部屋へ行きましょうか。」
「うん。」


パパの後ろをついて行く
でも...
もっとパパの近くに居たい...


僕が駆け寄るとパパは手を繋いでくれた


パパの手は大きくてあったかい....


この手の温もりだけで
7年の隙間が埋まったような感覚に陥る



「さあ、ここです。どうぞ。」


案内されて中に入ると
そこには所狭しと資料が散らばっていた

まさに"Lの部屋"という感じだった



「ニア、よくあのキーワードから此処を導き出せましたね。あなたには、いつも驚かされます。」
「でも、結構時間が掛かったよ...Stairsに隠れている"r"が一番大変だった...。
あれは、パパ意地悪過ぎ...。」
「まぁ...あれはあまり深く考えないで下さい。
私としては、ニアの部屋から導いたほうが良いと思い、階段をキーワードの中に入れたのです。」

「.....。」



「他に何か不明な点は?」
「あとは...あの数字。ストレートに入力すれば良いと思ったのに...。
あれを解くのに、更に時間が掛かったし...」
「1日1回しか入力できないようにしていましたしね。」

「だから...ああいう事をされると尚更...」
「....?」

「...尚更、パパは僕に逢いたくないんじゃないかって考えちゃって...
凄く悲しかったよ....。」
「ニア...。」

「僕に逢う気があるなら、あそこまで徹底しなくて良いじゃないか...。」
「まだ分かっていないんですか?」


パパの次の言葉はとても意外だった


「ニア、私が伝えた数字を覚えていますか?」
「うん。"1234180"」

「その数字が意味するものが分かりますか?」
「え...?これは、エレベーターを動かす為のキーワードでしょ?それ以外に何か意味が...?」

「その数字は、私とニアの最後の親子の絆です。」
「...親子の絆...。」

「その数字から、248を消して下さい」
「1310...。これって...」

「そうです。私とニアの誕生日です。数字の並びはバラバラですが...。気づきませんでしたか?」
「うん...。今初めて...。」

「まぁ...別に0は付けなくても良かったんですけどね...。少し迷わせる為にも入れてみました。」
「....。」

「どうですか?なかなか手が込んで...」
「...っ...」

「ニア...?何を泣いているんですか?」



僕は涙が溢れていた
パパは僕の誕生日をしっかり覚えていてくれた

それだけじゃない

こんなにも分かりやすく
いや、僕達にしか分からないキーワードを盛り込んでくれている


「私とニアは親子です。この事実は絶対に変わりません。例え...私が死んでも。」
「嫌だ...!簡単に死ぬなんて言うな...!」

「例えの話ですから。」
「例えでも嫌だよ...」


パパはベッドに座っている僕の前にしゃがみこう続けた


「私は今、事件を追っています。相手は"キラ"という、大量殺人犯です。」
「キラ...」

「私は必ずキラを死刑台に送ります。私の戦いは既に始まっている...。
キラは、日本の関東地区に潜伏しているというところまで辿り着いている。」
「日本...」

「私は此処を離れ、日本へ向かいます。」
「いつ...?」

「2~3日中には...。
ですから、また暫くニアとは逢えなくなります...。
私が日本へ発つ前に、あなたに全てを話しておかなければなりません。」
「全てって...?キラのこと...?」

「いえ...あなたの出生についてです...。」
「......。」



遂にこの時が来たのだと思い
僕は黙って話しを聴いた























.
2/6ページ
スキ