page.30 犠牲
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僕がLになりきった次の日
キラ事件はまた進展する
牢の中でパソコンに向かっていると
Lから通信が入った
「B、おはようございます。今日だけキラ事件に関わる者を紹介します」
「今日だけ?」
Lのこの言い方は妙だった
今日だけとはどういう意味だろう...
「今そちらへ映像を送ります」
「分かった」
.......!
そこには、囚人服に身を包んだ一人の男が映し出された
「紹介します。リンド・L・テイラーです」
「L...」
兄さん...
もしかして本当に...
「テイラーは、今日死刑になる予定の男です」
「死刑...」
「ですから、テイラーが私に扮しテレビに出演し、キラの出方をみます」
「...なっ...!そんな事..いくらLでも許されないだろ...!」
「いいえ。彼の犯した罪を考えれば、これくらい当然です。寧ろ私の役に立てるのだから、テイラーは喜んで同意してくれました。
そうですね?テイラー?」
「はい。Lに成りすましてキラと対決する...。とても光栄な事だ。
私は何も恐くない。」
何でだよ...
兄さん....
僕だって殺人犯じゃないか...
沢山人を殺めた....
なのに...
何故僕じゃなく、この男を犠牲に...
「Bにも協力して頂きたい。今回の作業は、裏方に回って頂く事になると思いますが、
Bなら...」
「嫌だ.........。」
「Beyond?」
「そんなのおかしいだろ...
僕がテイラーの代わりをする。
僕だって囚人じゃないか...
なら、僕が兄さんの役に立ちたいんだ。
やらせてくれ。」
「駄目です。」
僕の言葉を兄さんは全力で否定した
「Bを今ここで失うわけにはいきません。
それにあなたは、死刑囚ではない」
「確かに...。確かに僕は、死刑囚じゃない...でも...。
兄さんの役に立ちたいんだよ...!
何度も言わせるな...!」
「ですから、裏方へ回って下さい。
下手すると、今回は本当に殺されるかもしれません。」
「構わないよ...!」
モニター越しで全く表情を変えない兄さんに苛立つ
「もう決まった事です。
何と言おうと、今回Bは裏方です。
異論は認めません」
「....っ....」
「テイラー、準備を」
「はい。」
テイラーがモニターから消え
僕と兄さんだけになる
「兄さん...僕は大丈夫。死なない自信がある。
実際BB事件で自殺を図っても、僕は死ななかった。
きっと、寿命はまだ先なんだ...。
だから...」
「...だから、死なない可能性が高い。
即ちテイラーよりもBが成りすました方が、キラ逮捕へ向けて有利に働く...と?」
「そうだ。」
Lは溜息をつき
角砂糖を積み始めた
「問題外です。
今一度、頭を冷やした方が良い。」
それだけ告げると
通信は切断されてしまった
「...くそっ....」
こちらからは接続出来ないようになっている
~♪
「...メールだ」
通信が途切れてすぐに届くLからのメール
「はぁ...。ホントにはじめから僕を出させる気は全くなかったんだな...」
そこには、テイラーがテレビに出演してからの流れや
音声の切り替えのタイミングなどが細かく記されていた
僕は納得出来ないままメールに目を通し
一通り自分の頭の中に叩き込んだ
.
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