page.24 竜崎
「Philip、ちょっと良いかな?」
「あぁ。どうした?」
「この傷と、全く同じタトゥーを彫ってほしいんだけど」
先程プリントアウトした写真を
Philipへと差し出す
「お前...これは...」
「驚いたかい?竜みたいだろ?」
「あぁ...これは本当に傷なのか...?まるで本物の竜が、いるみたいだ...」
「クククッ...カッコよく彫ってくれよ...」
「あぁ!任せてくれ!」
Philipはそう言うと
早速タトゥーを彫る準備を始めた
「痛い...んだよね?」
「俺の背中を見てみな」
「これは...」
そこには
鎌を持った死神がいた
「何故このタトゥーを...?」
「俺は神を信じていないんだ。人の命は、死神が奪いに来ると思っている」
クククッ...
今分かった
運命の出逢いとはこの事だ...
「彫るのって、どれくらい痛いんだい?」
「心臓が張り裂けそうな程痛いぜ」
随分さらっと言ってくれるねぇ~
「クククッ...それは楽しみだ...」
「ははっ!お前、マゾだな!」
「クククッ...」
「あ、言い忘れてたけど、コンタクトとかピアスとかの、装飾品は外してくれよな」
コンタクト...
まぁ良いか...
Philipは死神を崇拝してるし
「外したよ」
「あぁ。じゃあ、この台に.....」
なんだい?その顔は?
信じていた死神が
今お前の目の前にいるんだよ
「その瞳...」
「Philip、僕はね死神なんだよ」
「...じゃあ、俺がいつ死ぬか分かるのか?」
「うん」
「教えてくれ!俺の寿命を!!」
「駄目だね」
「どうしてだよ!」
「君を...憎んでいないからさ」
「...そうかよ...」
始めるぞと言って
Philipは手袋を嵌めた
全てを理解したわけじゃないのに
何も聞かない君は利口だよ
それから僕は
本当に苦痛でしかなかった
上半身裸でベッドに横になり
Philipの腕を信じて任せるしかない
本当に心臓が張り裂けそうな痛みに
途中気を失いそうになった
終わりが近付き痛みの感覚が麻痺してきた頃
漸くPhilipのアートが完成した
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