page.28 追憶
私が始めてLとコンタクトを取ったのは
2002年8月14日
あの日のことは絶対に忘れない
ロサンゼルス BB 連続殺人事件
この事件の名前は聞いたことがある者も少なくないと思う
私はこの事件に
Lの指揮の元で関わった
竜崎とL
この二人は似ているが
その反面ふとしたところでとても対照的だった
でも竜崎が
「竜崎ルエ」
と名乗っている時点で気づくべきだったのかもしれない
二人は異父兄弟で
竜崎...
いえ、Beyond=Birthdayは兄Lへの憧れと、対抗心から今回の事件を起こした
彼はLを超えられると思っていた
それは確信に近かったかもしれない
でもBの最大の誤算
それが私
南空 ナオミだった
BはLに直接対決を仕掛けた
自分の手でLを超える為に
しかしLからすればBの行動は全て予想がついていた
だから私に捜査協力を求めた
そこからBの計画が狂っていく
Lと直接対決するために用意していたトリックはもう使えない
私がいるから
Bは手が出せなかった
”敗北 ”
そんな二文字がBの中で何度過ぎったことだろう
もっと他に方法はいくらでもあったんじゃないだろうか
でもBは死神としてこの世に生を受けてしまった
だから
全てを呪った
神にすら勝てると思っていた
しかしBを死神へと変えてしまったのは
彼の父
Haward=Birthday
本当に裁かれるのは彼ではないかと思うが
彼はもういない
息子に殺されたから
悪人でも
その本人が死んだらそれ以上裁きようがなかった
Bは、竜崎と名乗ってからも
苦悩の連続だった
だから...
負けを認めたくないから
自分の口からは言いたくないから
焼身自殺を図った
それがBに出来た
精一杯の強がり
この場で死ねると思っていた
実際かなり火の勢いは強かったし
駆けつけた私でさえ
もう駄目かもしれないと思ったくらいだった
「竜崎さん!」
「あ...う...」
あの場面は
今でも脳裏から離れようとしなかった
しかし彼は死ねなかった
死神の眼を持っていても自分の寿命は見えないから...
彼を待っていたのは生きることだった
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