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page.27 空白




牢への食事はいつも兄さんが運んできてくれた

そして躯を動かす事が困難な僕に
ゆっくりと食事を与えてくれた


兄さんは何も言わなかった

BB事件についても
焼死しようとした事についても

何も聞かないで
黙って食事を与えてくれる


僕はそれが悲しくて
いつも涙が出た


僕は喋る事もままならないけど
聞く事は出来る


僕を突き放す言葉だって
罵声だって
失望の言葉だって聞けるのに

兄さんは何も言わず食事を与えてくれる



きっと兄さんは全部分かってる
何故僕がBB事件を起こしたのか
心の闇に潜む死神の姿をした僕も
兄さんを誰よりも好きだというBeyondも

......。
きっと全部分かっていたんだ


事件を起こして
こんな敬意の示し方をして
不器用でごめんなさい


分かって欲しかったんだ
死神もBeyondも
全部が僕なんだって


でも兄さんはとっくに知っていた

もしかしたら僕以上に悩んでいたのかもしれない


謝りたい
"ごめんなさい"と心から
でも僕は声を出す事すら赦されない

目は見える
でも躯に激痛が走って字すら書けない


これは神が僕に与えた"本当の罰"


もう
兄さんと話す事さえ赦されない...


僕は兄さんが食器を下げに行く時に
「..ち...さ。...に...め...」
聞き取れる筈もないけれど
僕はこの言葉を欠かさない


ご馳走。
兄さん。
ごめんなさい...


兄さんは無言で牢屋を後にする

ペタペタという裸足で歩く音だけが
いつまでも僕の耳に木霊した...



















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