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「ニアを、ここに呼んで下さい」
「よろしいのですか...?」
「...はい」
監視カメラの手配が決まってから
私達はロサンゼルスへ発つ準備をしていた
いくらこの事件に関われないと言っても
ハウスの地下で指示を出し続けるのも具合が悪い
私は一緒に戦うつもりだ
既にロサンゼルスの一室では
捜査本部の設置が行われていて
あとは私達が着けば
準備は完了するのだ
「ニア...」
久々...
正確には数年振りに逢うニアは
すっかり大人びていた
無理もない
もう11歳になっているのだ...
「大きく...なりましたね..ニア」
「パ...パパー!」
両手を広げるとニアは駆け寄ってきて
私の腕の中にすっぽりとおさまった
「ニア、これを持っていて下さい」
「...これは」
「そのフロッピーの中には、私が解決してきた事件のファイルが入っています。
もし...私が死んだら...」
「嫌だ!」
腕の中のニアは震えていて
瞳に涙を沢山溜めていた
「嫌だよ!パパは死なない!死なせるもんか...!」
「ニア...」
震えているニアを抱き締めて
ゆっくりと話し始める
「よく聞いて下さい。あなたなら、理解出来る筈です。
そのフロッピーには、事件のファイルだけでなく、私がどういう推理をし犯人を捕まえるに至ったのかが、細かく記憶されています」
「まさか...」
「そうです。私が ゙もし帰って来れなくなった時゙ は、ニアがLの名を継いで下さい」
「...嫌だよ。パパ...そんな..死ぬなんて...」
ふっと笑って
抱き締める力を強める
「ですから、もしもの場合の話です。授かった命を、渡す気なんてありません」
「良かった...パパ...」
「゙L゙を継げるのは、あなただけです。約束ですよ、ニア」
「...はい。L」
それで良いです
と言って頭を撫でると
ニアは自分から立ち上がった
「行ってらっしゃい!パパなら、どんな事件でも解決出来るよ!
だって、世界一の僕のパパだもん!」
「...ありがとう。ニア...」
息子に泣き顔を見られたくなくて
足早に去るなんて
私もまだまだですね
いつかニアと
普通の家族のように
一緒に笑ったり泣いたりしたい
行ってきます
ニア...
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