page.25 爆弾魔
「...見事だな、L。次は爆弾だぞ。これを解除出来たら、そうだな...CoilとDeneuveの名前をやろう」
「名前?」
「お前が、世界一の探偵になれるって事だよ」
「世界一...」
「因みにこの爆弾は、難易度゙L゙だ」
定番の形の爆弾
三色のコードが無造作に絡み合っているだけ
十中八九ハッタリだ
しかし証拠が...
証拠...?
あるじゃないか
Tierryは詐欺師だ
「早速解除に取り掛かります。Coil、鋏を貸して下さい」
「鋏?ドライバーやバールやら、色々あるぜ?」
「いえ、鋏で」
「ほら」
爆弾の前に
゙いつもの座り方゙で座る
「この座り方だと、推理力アップです」
今度はこちらのハッタリだ
鋏を持ち
コードに手を掛ける
三本のコードを一気に鋏む
「お前、まさか...」
「そのまさかです」
パチンと音がして
コードは切断された
「な...何も起こらない」
Deneuveが拍子抜けしたように
声を上げた
「ハッタリなんですよ。まぁ、一か八かでしたけどね。
どんな事にでもトリックはあります。人間に足りないのは、そのトリックに立ち向かう勇気です」
Deneuveから地図と爆弾の見取り図が送られてきてから
私はこの爆弾がどういう構造なのか
一度も考えなかったのだ
本当にコードを切る瞬間が来たら
三本まとめて切ろうと最初から決めていた
しかし最後に背中を押してくれたのは
Beyondの声だった
あの声が聞こえたから
私は前に進む事が出来たんだ
「...参った。こっちの負けだ」
「Aiber!」
「この男こそが、探偵に最も相応しいんだ」
「お前...!裏切ったな!」
俺は詐欺師だぜ?
と言って笑みを浮かべると
Aiberが近付いてきた
「L、お陰で決心がついた。俺は刑務所に戻る。お前と一緒に仕事が出来る日を夢見てな!」
「Aiber...もし捜査協力を依頼する時は、お願いします。一時的に刑務所を出ても大丈夫なよう、私が手配します」
「恩にきる。L」
「Wedyさんも、似たような現状でしょう?もし何かあったら、頼みます」
「任せて、L」
ワタリの車へ二人を乗せ
次はこちらの問題へ取り掛かる
「さて、Deneuveさん、Coilさん」
「ま、待て!分かったよ!名前は渡す!」
「ありがとうございます。
そういえば...貴方達も私を陥れようとしていたので、共犯という事になりますよねぇ~?」
振り返りながら
にっこりと笑ってみせる
「いや...!待ってくれ!話せば分かる...!探偵が刑務所行きなんて...!」
「問答無用です。
貴方達に来た依頼は、これからは私が引き継ぎます」
カシャンと音を立てて
二人に手錠を掛けた
「ワタリ、行って下さい」
私は助手席に乗り
゙共犯者達゙を後部座席に押し込んだ
「L!定員オーバーだろ!これは!」
「緊急事態なので仕方ありません」
ワタリがパトランプを乗せて
車を発進させた
「ぐ..ぐるじい...!」
「ちょっと!触らないでよ!」
L・Coil・Deneuve
私は3つの名前を持っている
これで益々捜査がやりやすくなる
「そういえば...」
私は
自分の右手に微かに残っている感触を思い出す
さっき私は
拳銃を握れていた...
そして
彼等を撃とうとしていた...
ワタリの方を向くと
にこりと微笑んでくれた
「おめでとうございます。L」
「はい...」
もう銃は恐くない
あの時の恐怖は消えてしまった
しかじL゙や゙K゙の事を忘れたわけではない
私の中の恐怖は
勇気に変わったのだ
もう大丈夫だ
恐いものは何もない
私は
勇気を手に入れたから
B...
やりましたよ
次は
あなたと対決する番です
私も
ちょっとだけ楽しみになってきました...
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