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page.22 野良猫





Clairのパン屋へ帰ると
逃げるように部屋へ向かった



自分の価値を問われると
恐くなる



『お前なんか、猫以下だよ。Beyond』

『俺はMichelを抱ければ、何でも良かったんだよ』

『Jackへの復讐だ』


父の言葉が蘇る


お願いだ
消えてくれよ

僕は死神Bになったんだ

過去は関係ない

父もいない

母もいない

僕は独りぼっち


淋しくなんかない

兄さんがいるから

でも兄さんは
僕が弟だとは知らない


どうして良いか分からなくて
頭がパンクしそうだ


誰か...

誰か......

僕の心臓を止めてくれ....





「B?帰ったのかい?」


ほっといてくれ


「B?Beyond...?」


いなくなれ


「Beyondってさ、良い名前だよね。
『彼方』って意味だろう?」


だからなんだよ


「何処へでも行けそうで羨ましいよ。
自由な鳥か、猫みたいだね。」


僕が...
猫...?


「Clair...」
「なんだ、やっぱりいるんじゃないか」

「僕は...猫?」
「はぁ?
まぁ...黒髪だし隈があるから、鳥よか猫っぽいね」


じゃあ僕もさっきの仔猫と同じなんだ

居場所がなくて

何で生きているのかも分からず

無駄に時を過ごすだけ


「僕は...捨て猫かい?」
「さっきから変な子だね...
確かにひょっこり現れて、いなくなるから...
捨て猫というよりは、野良猫だね。」


野良猫か...



「でもねB。ここはあんたの家でもあるんだから、外出する時は声くらい掛けるもんだよ?」
「僕の家...?」


「じゃあ、あたしは仕事があるから行くからね」


膝を抱えながら
Clairが階段を降りる音を聞いた

『僕の家』か...


僕...
ここにいて良いんだ...

この家が僕の居場所...


さっきの猫とは違う

僕は
まだ生きてて良いんだ



ありがとう

Clair...


僕を拾ってくれたのがClairで
本当に良かった...


















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