page.22 野良猫
僕と目が合うと
仔猫は体を擦り寄せてきた
「おまえは捨てられたのかい?」
「ニャー.......」
淋しそうな瞳で僕を見ている
連れて帰りたかったけれど
無理だろう
「またね、捨て猫くん」
いや、待てよ...
そういえば
この仔猫の寿命は?
何度も目を凝らして見てみたけど
猫の寿命は見えない
「この眼は...人間にだけ有効か...」
寿命の見えない猫は
生きてる価値があるのか...?
「ククク...どうせお前は、この先もずっと独りなんだ。
なら、今死んだ方がいいだろう?」
ポケットからナイフを取り出し
猫の首を鷲掴みにする
手足をばたつかせても
僕の指に噛みついても
痛くも痒くもない
「ククク...非力だねぇ...可哀想に」
ナイフを猫の首に当てる
「さよなら。捨て猫くん」
本当に一瞬だった
僕と関わった故に
おまえは命を落としたんだ
仕方ないだろう?
僕は死神Bだもの
子猫の命を奪うくらい
わけないさ
猫の返り血が付いたシャツを脱ぎ捨て
その場を去る
猫は死んだ
独りぼっちで可哀想だから
命を奪ってやったんだ
きっと自分が死んだ事も
まだ分かっていないだろう
どうせ生きていても
無意味な存在の子猫だ
いなくなっても
誰も悲しまない
じゃあ僕は...?
ハウスを出て独りになった僕は...?
生きてる価値があるのかな...?
Lは望まれて生まれてきた子供
でも
僕は違う
父の一時の快楽で造られた子供
そして
その父はもういない
ねぇ
僕は...
生きてる価値がありますか...?
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