page.22 野良猫
「........。」
これのどこが二階なんだろう
屋根裏じゃないか
「今日から此処があんたの部屋ね!」
部屋...かい?
ここが...?
一面蜘蛛の巣だらけで
何匹もの小動物が走り回る音が
どこからともなく聞こえてくる
「不気味な部屋だねぇ~...」
「文句言うなら、出て行って構わないんだよ!」
「...何でもないよ。Clair...」
Clairは変わってる
女っぽくなくて
動作は雑で
体型は僕二人分で
おまけに...
「この眼...」
「クククッ...気味が悪いだろ?」
「いや、綺麗だよ。とってもね」
僕の眼を気味悪がらないし
綺麗だと言って微笑む
それがClairだった
この部屋に住み始めてから
一週間が経った
「そういえば、兄弟はいないのかい?」
「んー...双子のお兄ちゃんはいるけどねぇ...」
「一緒に暮らせないのかい?」
「正確には...暮らしてたんだ。
でもお兄ちゃんは、僕を弟だとは思ってなくてね...」
複雑だねぇと言って
Clairは珍しく俯いてしまった
「気にしないでよ。僕は別に...」
「じゃあさ!」
言葉を遮られる
「手紙を書いてみたらどうだい?」
「手紙?」
「内容なんか何でも良いからさ、取り敢えず生きてます~って事を知らせるんだよ」
「取り敢えずって....」
やっぱりClairは変わってるねぇ
まぁ...
嫌いじゃないんだけど
「ちょっと考えてみるよ。ありがとう」
「はいよ~」
手紙か...
でもハウスの住所が分からないしなぁ...
ポストはあったけど
果たして誰かが覗くのかな...?
まぁ...
一回くらいは書いてみようかなぁ~
僕は羽ペンと紙
そして紅インクを取り出し
文字を綴っていった
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