page.19 黒い瞳
お金も寝る場所も
暫くは何とかなりそうだ
でも僕にはもう一つ
なんとかしなきゃならない事があった
この紅い眼だ
僕にとっては素敵な眼でも
周りから見れば気持ち悪い
もしくは呪われた眼だろう
「眼を黒くしたいなぁ~無理かな?」
ひたすら街を歩き回って
僕は一つの看板を見つけた
『フレームのない眼鏡 あります』
眼鏡じゃ
どうしようもないんじゃないかな?
色付き眼鏡とか?
あんまり期待は出来ないけど
兎に角お店に入ってみる事にした
「いらっしゃい!ボウヤ、眼鏡をお探しかい?」
「表の看板を見たんだよ」
そうかいと言って
おじさんは奥から品物を持ってきた
「ウチの自慢の品だよ!」
「...これ、眼鏡なの?」
そこには、丸い目の玉くらいの透明な湾曲した物体が二個あるだけだった
「つけてみるかい?」
「僕、眼は良いんだ。そうじゃなくて、眼の色を隠せるような物はないかい?」
「ボウヤもなかなかお目が高いな!ちょっと待ってな!」
そう言うと
おじさんはまた奥の部屋へ行き
今度は黒い湾曲した物体を持ってきた
「これなら、黒い眼になれるよ!つけてみるかい?」
「うん!」
黒目になった自分を鏡に写す
これでちょっとは人並みだ
「これはね、コンタクトレンズって言うんだよ。今はそんなでもないが、将来的にはかなり需要が増える筈だよ」
「じゃあ、これちょうだい!」
僕は黒目を手に入れた
これでLに逢いに行ける手筈は整った
「おじさん!ありがとう!」
眼鏡屋を出て
先日印刷したワイミーズハウスの地図を見る
ここからだと
列車で3日かな~
月日が立つのは早いもので
僕はもう9歳になっていた
そろそろ逢いに行っても良い頃だろう
僕は
ワイミーズハウスの番号をダイヤルした....
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