page.01 僅かな光さえ...
身寄りがなくても
希望の光を失っても
朝はやってくる
カーテンから差し込む光に、眩しそうに目を細める
母が死んだなんて本当は嘘で、リビングに降りて行けば、トーストが焼ける匂いがしてくるんじゃないか
躯を起こしリビングまで駆けて行くが、期待はあっさり裏切られる
本当に私はどうなるんだろう
母の葬儀の手続きだって、どうして良いのか分からない
プルルル........
静かな部屋に、電話の呼び出し音が響く
「Hello...?」
電話の相手は、母が眠っている病院のナースからだった
母の親戚が病院に来ているから、私も病院に来るように言われた
母の親戚には一度も会った事がなかった
重い腰を上げ、私服に着替える
きっと近いうちに、母の葬儀が行われるだろう
もうその手にさえ...
触れる事が出来なくなるのだ....
溢れてきそうな涙を堪えて
病院へと向かった
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