page.01 僅かな光さえ...
【Charnel】
扉にはそう書かれていた
この中に母がいる
ギギッ.......
霊安室の中は暗く、病院特有の薬臭さが鼻につく
遺体が納められているであろう引き出しが、目の前に並ぶ
「Michel=Lawliet......」
母が眠っているであろう引き出しに触れる
「Mammy.....」
死んでいてもいい...
もう一度...
母に会いたい...
その手に触れたい...
私は引き出しを開け、変わり果てた母の姿を見る
血の通っていない肌
閉じられた瞳
もうその唇は
私の名前を紡ぐ事もない....
ひんやりとした手に触れ
祈るように手を擦り合わせる
生き返って欲しい
体温が戻って欲しい
擦られた手は私の体温により、少しは暖まったが、すぐにまた冷たくなる
これから、どうやって生きてゆけば良いのだろう
母をなくし身寄りのない私は、生きる希望がなくなっていた
病院を出て、家路へ向かう
どうやって帰ってきたのか、もう覚えていなかった
無意識に母の部屋へ行き、ベッドに横たわる
仄かに香る母の匂い
「Mammy.....」
導かれるように、眠りに就いた
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