page.17 誕生
1985.10.31
「Beyond、来なさい」
久々に父に掛けられた言葉だった
「どこに行くの...?」
父は無言で
僕の手を引くだけだった
歩いている途中に
教会が見えた
「ここで待っていよう」
そこは
見渡す限り墓場だった
十字架の形をした石が
規則正しく並んでいる
「今から来るのは、お前のお母さんだよ」
「お..かあさん...」
暫く待っていると
喪服を来た人々が
棺を抱えてやって来た
「お...母さん?」
僕は
棺の方へと駆け寄ろうとした
でもそれよりも速く
叫び声が聴こえてきたんだ
「Mammy...!Mammy...!Ahhh~!!」
「L...生きていたのか...」
「パパ...?」
「あれは、お前の兄...双子の兄だ...」
「双子...?」
僕にはお兄ちゃんがいたんだ
でも...
何で一緒に暮らしていないんだろう?
「僕、挨拶してくる!」
「行くな..!」
「...パパ?」
「お前とあの子は...逢ってはいけないんだ...」
「...どうして?僕達は双子なんでしょ?」
「Lは...お前を知らない..」
父はそれ以降
なにも言ってはくれなかった
ただ黙って
僕の前を歩くだけ
何で
お兄ちゃんに逢うのがいけない事なんだろう
そして僕は
ある能力に気がついた
「L=Lawliet...」
そう
兄の名前が
はっきり見えたのだ
「名前が見える...?」
父の名前も見える
じゃあ自分の名前も...?
倉庫街へ帰って鏡を見てみたけど
自分の名前は見えなかった
「変なの...」
この日
僕の死神の眼が
開化した...
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