page.17 誕生
目が覚めると
埃っぽい床の上に転がっていた
これが2歳の頃の記憶
僕はほとんど食事を与えられていなかった
父は酒浸りだったから
ご飯なんて作ってくれた事がない
だから僕は
3歳頃からこの倉庫街を駆け回っていた
勿論食料を探すためだ
幸いこの倉庫街は廃墟に近く
誰も近付く者はいなかった
廃墟と言っても納めてある食品などはそのままで
僕にとっては天国だった
「今日はジャムがあるな~」
それはもう
食事と呼べる行為ではなかったかもしれない
食品と言ってもこの倉庫に納めてあるのは
ジャムやキャラメル
チョコレートやキャンディなど
殆どがお菓子だった
野菜などは一切なく
僕は栄養失調で
みるみる痩せていった
「ここから出たい....」
無意識に呟いた言葉は
一体誰に届くというのだろうか...
これが4歳の頃の記憶
僕の眼は紅い
生まれつき紅い眼をしている
父はこの眼を気味悪がっていた
僕が近付くと血を流すまで暴力を振るわれ
眼から血を流した事もあった
まるで玩具。
僕は
パパに殴られるだけの玩具なの?
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