page.17 誕生
page.17 誕生
暗い倉庫街
埃っぽい床
それが唯一
僕に残っている昔の記憶
物心ついた頃から
母はいなかった
僕は父と二人で暮らしていた
この倉庫街は
父と母が最後に会った場所らしかった
母は僕を産んですぐ
僕を父に預けて去って行った
なんて酷い母親なんだろう
それが僕の
母に対する最初のイメージ
「何て気持ちの悪い奴なんだ...!」
父は僕を見ていつもこう叫んでいた
「パパ...たたかないで...」
「お前がいるせいで!俺の人生はめちゃくちゃだ!!」
気を失うくらいの暴力も
日常茶飯事
「いたい...パパ...!やめ...」
「お前さえいなければ!お前さえ!」
今日も気を失った
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