page.16 帰還
「障害の原因だけど、極度の不安と恐怖からきているようだ」
「不安?傷の事か?」
「いや違う。きっと過去の記憶だ」
「過去...」
Lは過去の事を一切話してはくれなかった
くそっ...
俺にはどうしようもねぇのか...?
「このままLの記憶が戻らなければ、彼は幸せかもしれません...」
「ワタリ!お前まで何言ってんだよ!」
「Lには...幼いながら大変無理をさせてきた...
私の責任です...」
「あんたがしっかりしなくてどうすんだ?俺も協力するからさ。な?」
「マック....」
「礼ならいらない。俺、あいつが気に入っちまったんだ」
「ありがとうございます...マック...」
「れ..礼ならいらないて言ったろ!」
内心凄い照れてた
俺は本当にLが気に入ったんだ
あんなに捜査が楽しかったのは久々だった
だから
Lが早く戻ってこれるように
俺も頑張るからな
このワイミーズハウスってのは探偵の養成学校で
Lを目標にした子供達がいるらしかった
俺はまだ逢った事はない
なんせLが帰って来ている事は
まだ極秘だったからだ
今俺達は
地下の部屋でLの回復を待っている
それから更に
三年の月日が経ったんだ
2000年 秋
Lの傷は奇跡的に完治して
躯には手術跡が残っただけで済んだ
「ほらL!これ食えよ!」
「うん!ありがとう、マック!」
Lはだいぶ俺にもワタリにも心を開いてくれて
ちゃんと会話が出来るまでになった
「何だか不思議だな...」
「なにが?」
「お前は分かんなくていいよ...」
と言ってLの頭を撫でる
まるで
子供の頃のLと逢ってるみたいだ
Lはいつから
あの殻の中で生きてるのだろう
Lはそれで満足だったのか?
不満があるから
記憶を失ったんじゃないのか?
本当は...
Lはこのまま記憶を失ってた方が幸せなんじゃないか...?
違う...
それはLが決める事だ
「どーしたの?」
「なんでもね~よ」
俺は待ってるよ
お前の答えを
記憶がなくても
記憶が戻っても
お前はお前なんだからさ
なぁ?L...
お前はどっちが幸せなんだ...?
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