ワタリは
胃潰瘍だった


数日前から体調が悪化し
夜に何度か吐血もあったようだ


「ワタリ...無理をしていたのですね...」


病室のベッドで
静かに寝息を立てているワタリの手を握る


いつから
こんなに年を取ってしまったのか

ワタリの手は皺だらけだ


でも私は
この手が大好きだ


気付いたら
泣いていた


大好きなワタリを
傷だらけにした

私は駄目な人間だ


後先を考えない行動が
こんなにも
ワタリをぼろぼろにする結果となってしまった


ワタリの目が覚めたら謝ろう

そして
ワタリの話を聞こう

そして
私の秘密も打ち明けよう


どんな未来が待っていても
受け止めよう


ワタリさえいてくれれば
私は生きていける



「WATARI...I love you...」


握っている手が
震えているような気がした


「ドクターNagiの所へ行って来ますね」


聞こえる筈もないのに
ワタリに断ってから病室を出た










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