page.09 絶望の淵から...
「...っ...ぐっ...」
「........」
目を開けると
テーブルが血で染まっていた
「ワタリ...!!」
ワタリの左手には
手背から手掌にかけて
果物ナイフが貫通している
「ワタリ!何故こんな真似を!」
「正気に..戻りましたか?」
「私のために...」
気を失いそうな痛みの筈なのに
ワタリは私に微笑み掛けている
「ワタリ...ドクターを呼んできます!」
「L...ちゃんと話を聞いて下さい...」
「その前に医者を!」
「L...貴方は.....ぐはっ...」
「ワ..タリ...?」
口からも
手からも
大量の血が出ている
「ワタリ!ワタリ!!」
気が動転しながらも
ドクターを呼びに行った
旨く説明出来たかは分からないが
ドクターは私を宥めながら
「心配ない」
と何度も勇気づけてくれた
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