鍵介夢SS
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「──っよし!」
咲耶の目の前でまた一人、デジヘッドが地に伏した。
背後を見れば鍵介が大剣を振るい、同じようにデジヘッドを屠っている。残りは──あと二人。
今日は鍵介と二人でパピコに買い物に来ていた。帰宅部の活動のお陰でデジヘッドよりもラガードの方が数が多くなってきている、だから万が一のことがあっても大丈夫だろう。と……
だからここでデジヘッドの群れに囲まれたのは完全に誤算だったのだ。
こちらが二人なのに対して向こうは五人。数では完全に劣勢だ。
……けれども、それは数での話。
奇襲にも関わらず何なく三人を屠り、既に数は二対二。──勝てる。咲耶は確信していた。
「鍵介、平気っ?」
「先輩こそ!余所見して怪我なんてしないで下さい……よっ!!」
勢いよく振り下ろした鍵介の大剣がデジヘッドに直撃した。そうしてぐらりと大きく体勢を崩した所を見逃さず、迷わず止めを刺す。
咲耶も身体に見合わぬ大きなガトリング砲を構え直して目の前に迫ってくるデジヘッドに照準を合わせ、弾を勢いよく撃ち込む。
弾切れを知らない己の心を具現化したガトリング砲。それはデジヘッドを咲耶に一切近づけることなく消し去って見せた。
「よっしゃ!」
これで全部、そう思った矢先。
「ッ、先輩!!」
後ろで焦ったような鍵介の声が聞こえた。何事かと思い振り返れば、背後……すぐ側に別の、今しがた乱入して来たであろうデジヘッドが迫っていた。デジヘッドは手にした槌を振り上げていて──しまった、間に合わない!咲耶は次来る衝撃を思い、強く目を瞑った。
「チッ……!」
「え──うわっ!」
──しかし、予想と反して脳天に衝撃は襲ってこなかった。
その代わりに背後から舌打ちが聞こえたと思えば、瞬間強い力に引っ張られ後方へと投げ飛ばされた。
そのとき、後ろへ下がった咲耶と入れ違いに前に出てきたのは──鍵介。
咲耶はそのまま地面へと打ち付けられ、その痛みに思わず小さく呻いた。
それと同時に鍵介が最後のデジヘッドを屠った。
デジヘッドがいなくなると、周りは先までの喧騒が嘘のように静まり返る。咲耶は詰めていた息を吐き、一つ深呼吸した。すると己の黒く染まった腕は見る見るうちに元の決め細やかな肌色へと戻っていった。
「先輩!」
「ぁ……鍵介」
冷静さを欠いた声に顔を見上げれば、同じように力を収めた鍵介が慌てたようにこちらへと駆け寄ってくるのが見えた。
尻餅を付いたままの体勢から立ち上がろうとする前に鍵介が膝をついて咲耶と目線を合わせる。
「大丈夫ですか!?すみません、さっき僕が……!」
「う、ううん。全然平気。むしろごめんね、あたしが余所見したから……鍵介に言われたばっかだったのに」
咲耶の言葉を聞くと鍵介はほっとしたように息をついて、それから力が抜けたかのように地面へ座り込んだ。
「良かった……。はぁ、久々に慌てましたよ」
「ご、ごめん……。でも別にデジヘッドにやられたからって、本当に死ぬわけじゃないから」
「何言ってるんです?先輩が危険な目に遭ってるのに放っておけるわけないじゃないですか」
鍵介ははあ、と一つ息をつくとよいしょ、と小さく声を上げて立ち上がって咲耶へと手を伸ばした。
伸ばされた手を咲耶が取れば、鍵介は軽く引っ張って咲耶を立たせてやった。
「──とにかく、先輩が無事で安心しました。ほら。買い物の続き、あるんでしょ?」
鍵介は立たせた後も咲耶の手を離すことなく、ただ握っているだけのものから指を絡め、恋人繋ぎに変えた。
鍵介の耳はほんのりと紅くなっていて、きっと本人も恥ずかしいんだろうな、と言うことが見て取れる。咲耶は小さく微笑むと自分からも鍵介の手を握り返した。
「うん、行こう。……やだ、なんか今日の鍵介すごいかっこいい」
「惚れ直しましたか?もっと好きになってもらっていいんですよ」
「わ、キザ!でもそうだな、今日はほんとに惚れ直したかも」
「ふふ、そうでしょう。僕最近スパダリ目指してるんで」
「えっ?いやそれは……鍵介とは違うんじゃないかなあ……」
束の間の休日は、また始まったばかりだ。
咲耶の目の前でまた一人、デジヘッドが地に伏した。
背後を見れば鍵介が大剣を振るい、同じようにデジヘッドを屠っている。残りは──あと二人。
今日は鍵介と二人でパピコに買い物に来ていた。帰宅部の活動のお陰でデジヘッドよりもラガードの方が数が多くなってきている、だから万が一のことがあっても大丈夫だろう。と……
だからここでデジヘッドの群れに囲まれたのは完全に誤算だったのだ。
こちらが二人なのに対して向こうは五人。数では完全に劣勢だ。
……けれども、それは数での話。
奇襲にも関わらず何なく三人を屠り、既に数は二対二。──勝てる。咲耶は確信していた。
「鍵介、平気っ?」
「先輩こそ!余所見して怪我なんてしないで下さい……よっ!!」
勢いよく振り下ろした鍵介の大剣がデジヘッドに直撃した。そうしてぐらりと大きく体勢を崩した所を見逃さず、迷わず止めを刺す。
咲耶も身体に見合わぬ大きなガトリング砲を構え直して目の前に迫ってくるデジヘッドに照準を合わせ、弾を勢いよく撃ち込む。
弾切れを知らない己の心を具現化したガトリング砲。それはデジヘッドを咲耶に一切近づけることなく消し去って見せた。
「よっしゃ!」
これで全部、そう思った矢先。
「ッ、先輩!!」
後ろで焦ったような鍵介の声が聞こえた。何事かと思い振り返れば、背後……すぐ側に別の、今しがた乱入して来たであろうデジヘッドが迫っていた。デジヘッドは手にした槌を振り上げていて──しまった、間に合わない!咲耶は次来る衝撃を思い、強く目を瞑った。
「チッ……!」
「え──うわっ!」
──しかし、予想と反して脳天に衝撃は襲ってこなかった。
その代わりに背後から舌打ちが聞こえたと思えば、瞬間強い力に引っ張られ後方へと投げ飛ばされた。
そのとき、後ろへ下がった咲耶と入れ違いに前に出てきたのは──鍵介。
咲耶はそのまま地面へと打ち付けられ、その痛みに思わず小さく呻いた。
それと同時に鍵介が最後のデジヘッドを屠った。
デジヘッドがいなくなると、周りは先までの喧騒が嘘のように静まり返る。咲耶は詰めていた息を吐き、一つ深呼吸した。すると己の黒く染まった腕は見る見るうちに元の決め細やかな肌色へと戻っていった。
「先輩!」
「ぁ……鍵介」
冷静さを欠いた声に顔を見上げれば、同じように力を収めた鍵介が慌てたようにこちらへと駆け寄ってくるのが見えた。
尻餅を付いたままの体勢から立ち上がろうとする前に鍵介が膝をついて咲耶と目線を合わせる。
「大丈夫ですか!?すみません、さっき僕が……!」
「う、ううん。全然平気。むしろごめんね、あたしが余所見したから……鍵介に言われたばっかだったのに」
咲耶の言葉を聞くと鍵介はほっとしたように息をついて、それから力が抜けたかのように地面へ座り込んだ。
「良かった……。はぁ、久々に慌てましたよ」
「ご、ごめん……。でも別にデジヘッドにやられたからって、本当に死ぬわけじゃないから」
「何言ってるんです?先輩が危険な目に遭ってるのに放っておけるわけないじゃないですか」
鍵介ははあ、と一つ息をつくとよいしょ、と小さく声を上げて立ち上がって咲耶へと手を伸ばした。
伸ばされた手を咲耶が取れば、鍵介は軽く引っ張って咲耶を立たせてやった。
「──とにかく、先輩が無事で安心しました。ほら。買い物の続き、あるんでしょ?」
鍵介は立たせた後も咲耶の手を離すことなく、ただ握っているだけのものから指を絡め、恋人繋ぎに変えた。
鍵介の耳はほんのりと紅くなっていて、きっと本人も恥ずかしいんだろうな、と言うことが見て取れる。咲耶は小さく微笑むと自分からも鍵介の手を握り返した。
「うん、行こう。……やだ、なんか今日の鍵介すごいかっこいい」
「惚れ直しましたか?もっと好きになってもらっていいんですよ」
「わ、キザ!でもそうだな、今日はほんとに惚れ直したかも」
「ふふ、そうでしょう。僕最近スパダリ目指してるんで」
「えっ?いやそれは……鍵介とは違うんじゃないかなあ……」
束の間の休日は、また始まったばかりだ。