悪魔と過ごすクリスマスイブ
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明日はクリスマス。つまり今日はクリスマスイブだ。
ブラックと付き合ってから初めてのクリスマスイブだというのに、さりげなく予定を聞くと「動画の撮影です」と言われた。
相手はヨーチューバー。仕方ないのはわかっている。
今頃さとくんたちはブラックと過ごしているのかと思うと、やっぱり羨ましい。まぁ、どのみちこの時間は仕事で会えないのだけれど。
仕事を終え、スマホをチェックする。ブラックからは朝にやりとりをしたきり、新しい連絡はない。
寂しい気持ちのままも嫌なので、せっかくだからと洋菓子店でチョコクリームと通常のショートケーキを買った。もしブラックに会えたらと、淡い期待を込める。
家の鍵を取りだそうとした時、待ちわびていた声が聞こえ、どきりと胸が高鳴った。
「ギンさん」
後ろを振り向けば、いつもの笑顔を浮かべたブラックが羽を仕舞い降り立ったところだった。
「今日は会えないかと思ってた」
「なに言ってるんです。クリスマスイブですよ」
その言葉だけで胸が温かくなる。鍵を開け、一緒に家に入った。
「晩ご飯まだですよね」
「そうだけど…ってなんか良い匂いがする…?」
部屋に入ると、テーブルにはお肉やサラダが並んでいる。
「お腹をすかせていると思って用意しました!」
「うわぁ~っ。ありがとう!」
嬉しさのあまりお礼を言ってから気付いたが、不法侵入されたのか。散らかっていなくて良かった。
「高そうなお肉だけど…」
「マツザカ・オウミ・コウベ・ドラゴンです!」
「なんて?」
「マツザカ・オウミ・コウベ・ドラゴンです!」
ドラゴンなのか、このお肉。人間が食べても大丈夫なのだろうか。
不安でどきどきしつつ食事の支度をする。
「い、いただきます」
「どうぞ!」
お肉にナイフを入れると、簡単に切ることができた。ドラゴンというから硬いとばかり思っていたけれど、少し噛むだけであっという間に溶けていく。
「ごちそうさまでした。甘くて美味しかったぁ…なにこれ…」
「マツザカ・オウミ・コウベ・ドラゴンです!」
「あ、うん」
「さとくんが釣り上げたんですよ」
「釣り上げた」
「はい。動画観ます?」
本当に釣っていた。これがマツザカ・オウミ・コウベ・ドラゴン…大きすぎる。ブラックが何度も言いたがるわけだ。というか町が…こんなに凄いドラゴンだったとは。
そして動画の途中に映っていたブラックの姿に、私は目を奪われていた。
そこにはクッキングバーナーモードのカメラちゃんを持ったブラックがいたのだ。
半袖の黒襟シャツ、黒手袋を外した腕、エプロン。なんてカッコいいのだろう。
動画を観終えてからも、頭の中であの姿を何度も再生してしまう。
急に顔が熱くなった気がして、平常心を保つ為にスマホをチェックする。
職場の同僚から連絡がきていたので急いで返信をし、友人からも綺麗なクリスマスツリーの画像が送られてきていたので返信をする。
ああ、でも。ブラックのあの姿にどうしても頬が緩み、悶えてしまうのだ。
「ギンさん?」
「え。なに?」
平常心、平常心。なんてことないようにブラックに返事をする。
「ニヤニヤしてますけどどうしたんです」
ばれている。隠しきれていなかったようだ。
「えっあっ、いや。友だちとのやりとりが面白かっただけだよ」
「そうですか」
スマホを見ながらこたえる。今はブラックを見れそうにない。きっと顔が真っ赤になっている。
「怒ってます?」
「え!?私が?ブラックに?」
珍しい。ブラックがそんなこと言うなんて。
「オレちゃんの方を見てくれないので」
ごめんね、連絡返してただけだよ。
「ブラック普段そんなこと言わないじゃん可愛い好き大好き。クッキングバーナーモードカメラちゃん持ったブラックがかっこ良くて顔見れないごめん」
「心と逆では?」
しまった。ブラックを見ると顔を歪めて笑っている。やられた。
「カカッ…カッ…。そういうことですか。ギンさん、鬼ヤバです…!」
「今のは……忘れてぇ……」
「忘れません」
そう言うとブラックの服装が変わった。動画で観たあの姿のブラックが、私の目の前にいる。
「この姿のオレちゃんが?なんですか?」
わざとらしく首を傾げ、黒手袋をつけていない手で私の頬に触れる。
意外と筋肉質な腕とか、普段は隠れている首もとがチラ見えしているとか、ちょっとまともに見れそうにない。
「……かっこいい。凄く」
「嬉しいです」
「普段と違って、手が見えるし…なんか…」
『色気がある』とはとてもじゃないが言えない。
ブラックは優しく唇にちゅ、とキスをしてくれた。
「オレちゃんからのクリスマスプレゼントです」
黒くて小さい箱が手に置かれる。
「ありがとう…!」
開けると、再生マークの形をしたブラックダイヤモンドみたいな黒い石が、キラリと光っている。
「魔界の石で作ったネックレスです」
「綺麗!」
ブラックはネックレスを手に取り、私の首につけてくれた。触れる肌がくすぐったい。
「やはり似合いますね」
「私も、用意してるの」
「オレちゃんに?」
棚に置いてあった紙袋を差し出す。
何をプレゼントするか本当に悩んだ。どれも魔界の物には敵わないだろうから。気に入ってくれるだろうか。
「これは!」
「人間界の洋服。私服は見ないから…私の好みで選んだんだけど」
「さっそく着ちゃいます」
そう言うと一瞬で洋服が変わった。さっきまでのエプロン姿じゃなくなったのは残念だけれど、私服姿は想像以上に似合っている。
「ギンさんどうですか?」
「素敵すぎる」
緩んだ顔を見られたくなくて、ぎゅうっと抱きつく。ブラックも抱き締め返してくれた。
「ケーキ買ってるんだ。食べよ」
「わ!食べます」
一緒にケーキを食べていると、ふいにブラックが言った。
「…ギンさんがスマホ見て笑ってるの、面白くなかったです」
「え…」
「ちゃんと見てくださいね」
そう言うと丸い目にまっすぐ見つめられる。
「可愛いギンさんが、オレちゃんも大好きですよ」
顔が近づき、チョコクリームの甘い味が広がった。
ブラックと付き合ってから初めてのクリスマスイブだというのに、さりげなく予定を聞くと「動画の撮影です」と言われた。
相手はヨーチューバー。仕方ないのはわかっている。
今頃さとくんたちはブラックと過ごしているのかと思うと、やっぱり羨ましい。まぁ、どのみちこの時間は仕事で会えないのだけれど。
仕事を終え、スマホをチェックする。ブラックからは朝にやりとりをしたきり、新しい連絡はない。
寂しい気持ちのままも嫌なので、せっかくだからと洋菓子店でチョコクリームと通常のショートケーキを買った。もしブラックに会えたらと、淡い期待を込める。
家の鍵を取りだそうとした時、待ちわびていた声が聞こえ、どきりと胸が高鳴った。
「ギンさん」
後ろを振り向けば、いつもの笑顔を浮かべたブラックが羽を仕舞い降り立ったところだった。
「今日は会えないかと思ってた」
「なに言ってるんです。クリスマスイブですよ」
その言葉だけで胸が温かくなる。鍵を開け、一緒に家に入った。
「晩ご飯まだですよね」
「そうだけど…ってなんか良い匂いがする…?」
部屋に入ると、テーブルにはお肉やサラダが並んでいる。
「お腹をすかせていると思って用意しました!」
「うわぁ~っ。ありがとう!」
嬉しさのあまりお礼を言ってから気付いたが、不法侵入されたのか。散らかっていなくて良かった。
「高そうなお肉だけど…」
「マツザカ・オウミ・コウベ・ドラゴンです!」
「なんて?」
「マツザカ・オウミ・コウベ・ドラゴンです!」
ドラゴンなのか、このお肉。人間が食べても大丈夫なのだろうか。
不安でどきどきしつつ食事の支度をする。
「い、いただきます」
「どうぞ!」
お肉にナイフを入れると、簡単に切ることができた。ドラゴンというから硬いとばかり思っていたけれど、少し噛むだけであっという間に溶けていく。
「ごちそうさまでした。甘くて美味しかったぁ…なにこれ…」
「マツザカ・オウミ・コウベ・ドラゴンです!」
「あ、うん」
「さとくんが釣り上げたんですよ」
「釣り上げた」
「はい。動画観ます?」
本当に釣っていた。これがマツザカ・オウミ・コウベ・ドラゴン…大きすぎる。ブラックが何度も言いたがるわけだ。というか町が…こんなに凄いドラゴンだったとは。
そして動画の途中に映っていたブラックの姿に、私は目を奪われていた。
そこにはクッキングバーナーモードのカメラちゃんを持ったブラックがいたのだ。
半袖の黒襟シャツ、黒手袋を外した腕、エプロン。なんてカッコいいのだろう。
動画を観終えてからも、頭の中であの姿を何度も再生してしまう。
急に顔が熱くなった気がして、平常心を保つ為にスマホをチェックする。
職場の同僚から連絡がきていたので急いで返信をし、友人からも綺麗なクリスマスツリーの画像が送られてきていたので返信をする。
ああ、でも。ブラックのあの姿にどうしても頬が緩み、悶えてしまうのだ。
「ギンさん?」
「え。なに?」
平常心、平常心。なんてことないようにブラックに返事をする。
「ニヤニヤしてますけどどうしたんです」
ばれている。隠しきれていなかったようだ。
「えっあっ、いや。友だちとのやりとりが面白かっただけだよ」
「そうですか」
スマホを見ながらこたえる。今はブラックを見れそうにない。きっと顔が真っ赤になっている。
「怒ってます?」
「え!?私が?ブラックに?」
珍しい。ブラックがそんなこと言うなんて。
「オレちゃんの方を見てくれないので」
ごめんね、連絡返してただけだよ。
「ブラック普段そんなこと言わないじゃん可愛い好き大好き。クッキングバーナーモードカメラちゃん持ったブラックがかっこ良くて顔見れないごめん」
「心と逆では?」
しまった。ブラックを見ると顔を歪めて笑っている。やられた。
「カカッ…カッ…。そういうことですか。ギンさん、鬼ヤバです…!」
「今のは……忘れてぇ……」
「忘れません」
そう言うとブラックの服装が変わった。動画で観たあの姿のブラックが、私の目の前にいる。
「この姿のオレちゃんが?なんですか?」
わざとらしく首を傾げ、黒手袋をつけていない手で私の頬に触れる。
意外と筋肉質な腕とか、普段は隠れている首もとがチラ見えしているとか、ちょっとまともに見れそうにない。
「……かっこいい。凄く」
「嬉しいです」
「普段と違って、手が見えるし…なんか…」
『色気がある』とはとてもじゃないが言えない。
ブラックは優しく唇にちゅ、とキスをしてくれた。
「オレちゃんからのクリスマスプレゼントです」
黒くて小さい箱が手に置かれる。
「ありがとう…!」
開けると、再生マークの形をしたブラックダイヤモンドみたいな黒い石が、キラリと光っている。
「魔界の石で作ったネックレスです」
「綺麗!」
ブラックはネックレスを手に取り、私の首につけてくれた。触れる肌がくすぐったい。
「やはり似合いますね」
「私も、用意してるの」
「オレちゃんに?」
棚に置いてあった紙袋を差し出す。
何をプレゼントするか本当に悩んだ。どれも魔界の物には敵わないだろうから。気に入ってくれるだろうか。
「これは!」
「人間界の洋服。私服は見ないから…私の好みで選んだんだけど」
「さっそく着ちゃいます」
そう言うと一瞬で洋服が変わった。さっきまでのエプロン姿じゃなくなったのは残念だけれど、私服姿は想像以上に似合っている。
「ギンさんどうですか?」
「素敵すぎる」
緩んだ顔を見られたくなくて、ぎゅうっと抱きつく。ブラックも抱き締め返してくれた。
「ケーキ買ってるんだ。食べよ」
「わ!食べます」
一緒にケーキを食べていると、ふいにブラックが言った。
「…ギンさんがスマホ見て笑ってるの、面白くなかったです」
「え…」
「ちゃんと見てくださいね」
そう言うと丸い目にまっすぐ見つめられる。
「可愛いギンさんが、オレちゃんも大好きですよ」
顔が近づき、チョコクリームの甘い味が広がった。