熱にうなされる
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(…身体が痛い)
ギンは枕の上に置いたスマホを取り、時間を確認する。時刻は23時21分。
(金曜日で良かった)
欠勤の心配はいらないことに安堵し、棚から体温計を取り出し熱を測る。身体の節々は痛み、悪寒もする。喉も少し痛いようで、くぐもった咳がでた。
静かな部屋にピピピと計測音が響く。そこには37度8分の数字。
さほど高くはないが、これから上がるのかもしれないと思うと、さらに身体が痛む気さえする。
ギンは布団を耳元まで被り、震える身体を丸くさせた。
「オレちゃんの連絡を無視するなんて、酷いじゃないですか」
「ブラック…」
「あら」
ブラックはギンの顔を見て、返信がこなかった理由に納得する。
「風邪ですか。酷くはなさそうですが…ギンちゃんつらそうですね」
「そうね」
「明日は撮影です!早く良くなってもらわないと」
「悪魔…」
「悪魔ですけど」
飄々と答えるブラックに、会話が面倒だと言わんばかりにギンは寝返りを打ち、目を逸らす。
「ふむ」
ブラックは部屋を見渡しキッチンへ向かうと、グラスに水を注ぎ、ギンの隣へ腰をおろした。
「どうぞ」
ブラックの声に、ギンは身体をブラックの方へと動かす。差し出されたグラスに手を伸ばした。
「ありがとう」
冷たい水が、乾燥した喉を潤していく。熱い身体にも気持ちが良い。
ギンがブラックの方を見ると、同じくこちらを見ていたブラックと目が合った。心細く感じていた所に現れたブラックに、ギンの中に嬉しさと気まずい気持ちが溢れる。
「連絡、なんだったの?」
「今夜ギンちゃんのところに行きますねって送ったんです」
「ごめんね。せっかく来てくれたのに」
風邪の時は心まで弱ってしまう。か細い声で謝るギンを、ブラックは顎に手を当てながら見つめた。
「ギンちゃんが構わないなら、オレちゃん側にいますよ」
「…でも」
「悪魔に遠慮ですか?人間は面白いですね」
「……一緒に寝てくれる?」
「もちろんです」
ブラックはギンに向かい合うように布団に入ると、片腕を背中に回しトントン、と叩く。ギンの髪の毛がブラックの首もとをくすぐる。
「早く良くなってくださいね」
「うん」
「明日の撮影、頑張りましょうね」
「……やっぱり悪魔」
「悪魔ですがなにか?」
相変わらず身体は痛いが、ギンは口元を綻ばせた。心のざわつきも、今はない。
ギンがちらりと上を見ると、ブラックは目を閉じていた。手は動いているので起きてはいるのだろう。
ギンは暫くブラックの服にある再生マークを見つめていたが、睡魔に身を任せ目を閉じた。
ギンは枕の上に置いたスマホを取り、時間を確認する。時刻は23時21分。
(金曜日で良かった)
欠勤の心配はいらないことに安堵し、棚から体温計を取り出し熱を測る。身体の節々は痛み、悪寒もする。喉も少し痛いようで、くぐもった咳がでた。
静かな部屋にピピピと計測音が響く。そこには37度8分の数字。
さほど高くはないが、これから上がるのかもしれないと思うと、さらに身体が痛む気さえする。
ギンは布団を耳元まで被り、震える身体を丸くさせた。
「オレちゃんの連絡を無視するなんて、酷いじゃないですか」
「ブラック…」
「あら」
ブラックはギンの顔を見て、返信がこなかった理由に納得する。
「風邪ですか。酷くはなさそうですが…ギンちゃんつらそうですね」
「そうね」
「明日は撮影です!早く良くなってもらわないと」
「悪魔…」
「悪魔ですけど」
飄々と答えるブラックに、会話が面倒だと言わんばかりにギンは寝返りを打ち、目を逸らす。
「ふむ」
ブラックは部屋を見渡しキッチンへ向かうと、グラスに水を注ぎ、ギンの隣へ腰をおろした。
「どうぞ」
ブラックの声に、ギンは身体をブラックの方へと動かす。差し出されたグラスに手を伸ばした。
「ありがとう」
冷たい水が、乾燥した喉を潤していく。熱い身体にも気持ちが良い。
ギンがブラックの方を見ると、同じくこちらを見ていたブラックと目が合った。心細く感じていた所に現れたブラックに、ギンの中に嬉しさと気まずい気持ちが溢れる。
「連絡、なんだったの?」
「今夜ギンちゃんのところに行きますねって送ったんです」
「ごめんね。せっかく来てくれたのに」
風邪の時は心まで弱ってしまう。か細い声で謝るギンを、ブラックは顎に手を当てながら見つめた。
「ギンちゃんが構わないなら、オレちゃん側にいますよ」
「…でも」
「悪魔に遠慮ですか?人間は面白いですね」
「……一緒に寝てくれる?」
「もちろんです」
ブラックはギンに向かい合うように布団に入ると、片腕を背中に回しトントン、と叩く。ギンの髪の毛がブラックの首もとをくすぐる。
「早く良くなってくださいね」
「うん」
「明日の撮影、頑張りましょうね」
「……やっぱり悪魔」
「悪魔ですがなにか?」
相変わらず身体は痛いが、ギンは口元を綻ばせた。心のざわつきも、今はない。
ギンがちらりと上を見ると、ブラックは目を閉じていた。手は動いているので起きてはいるのだろう。
ギンは暫くブラックの服にある再生マークを見つめていたが、睡魔に身を任せ目を閉じた。