悪魔はそこに
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「ブラック。お願いがあるんだけど」
「いやです!」
すぐさま断られた。何故なのか。
「まだ何も言ってないよね?」
「ギンちゃんのことですから、どうせ面白くないお願いでしょう」
「それは…わからないけど」
「まあ、一応聞いてあげますよ」
ブラックは宙に浮き、パソコンを触りながら言う。
「スリラー映画、一緒に観よ?」
おねだりするように少しだけ上目遣いで言った。全然こちらを見ないけども。いいんだ別に。
顔を戻した瞬間、ブラックの黒目だけが動き私を見た。もっと早く向け。
「なんて映画です」
ブラックはパソコンに視線を戻す。
「悪魔は○つもそこに」
「…よりによって何故そのタイトルを選んだんですか?」
少し瞳孔を開いて見つめられた。
「主演が格好良いんだ。スパイダー○ンの人だよ」
「知りませんよ」
「えっ!?スパイダー○ンを知らない!?仮○ライダーくらい有名なのに!!!」
「知ってます。そういうことではありませんし、オレちゃんのミラコ○台詞をパクらないでもらえます?」
ブラックはパソコンを閉じてクッションに座ると、テーブルに置いてあったクッキーを手に取る。
「ギンちゃんがスリラー映画とは…怖いなら観なきゃいいのに」
サクサクと食べながら言うので、クッキーがこぼれている。
誰が掃除していると思っているんだ。
「主演の演技が観たいの。でも一人で観るには観賞後がつらそうだし、内容的に友だちは誘いづらいしお願いーっ」
「ふむ」
「タイトルに悪魔はついてるけどさ。あらすじ的にそういうのじゃないみたいだよ」
「……つまり人間の怖さ、ですか」
ブラックはニヤリと笑う。
「ブラックそういうの好きでしょ」
「そうですねえ…」
気乗りでない返事をされたけど、ブラックは付き合ってくれるようで、テーブルに飲み物を用意し始めた。
そして映画鑑賞をしているわけなのだが……。
私の隣では、本物の悪魔が涙を流し笑っている。
「あっはっはっはっは!!ひぃーーっ!」
暴力的なシーンで何を笑う必要があるというのか。
「んもぉーーっ最高ですよおっ!」
「ブラックうるさい……」
「ギンちゃんみました?あの動き!カーッカッカ!」
胸の痛むシーンでは涙を流していた(笑いすぎて)ブラックも、全体的に陰鬱な映画なので大半は静かにしていた。
残酷なシーンだとしても、キャラクター性の高い映画なら笑うのも理解できるが、淡々と進むこの映画のどこに笑いのツボが?
誘った私が思うのもおかしいかもしれないけれど、何を考えながら観ているのだろう。
二時間程の物語が終わりを迎え、エンドロールも流れ終わったのでテレビを切った。
気分はもう、沈みに沈んでいる。
「カカカ、良くできてましたねえ~!」
思いの外、ブラックは楽しげに言った。
「……そう。それは良かった」
「あら?どうしたんです」
私の魂が抜けたような返事に、ブラックが顔を覗き込んでくる。
「演技力が凄まじい……ニンゲン、コワイ。ワタシ、カエル」
「ギンちゃん!おうちはココですよ!」
ブラックはまた涙を流し始めた。
「はあ…。またスパイダー○ン観直そっと」
「………。そうです、ギンちゃん」
私をじっと見た後、何かを思い出すようにブラックは言った。そして笑顔で続ける。
「次は人間じゃない怖いを観ましょう!オレちゃん、気になってたんです。リ○グ!」
ずい、とパソコンの検索画面を見せてくる。
リ○グは古い映画ではあるものの、演出は何度観ても怖い。と私は思う。
……………のだが。
「なんと!テレビから!鬼ヤバですっ!!」
「凄く楽しそう」
ブラックは両手をあげ興奮している。正直、隣で観ていると全く怖くない。
「…あれ。そういえばブラック、画面からは出たことあるよね」
「言われてみればそうです。演出でこうも印象が違うとは」
そして流れでリ○グとコラボしたことのある呪○まで観るはめになった。
「……企画を思い付きました!ギンちゃん、オレちゃんと契約してください」
「いやです!」
「まだ内容を言ってません」
ブラックは不服そうにしている。
「ブラックのことだから、どうせ私が苦労する企画でしょ」
「それは…わかりませんけど」
「まあ、一応聞いてあげる」
ブラックはすごい速さでパソコンを操作すると、サムネを私に見せてきた。
「これです。『ホラー映画の中に入って呪いから逃げきってみた!!』契約しませんか?」
甘えた声で首を傾げるブラックが視界の端に見える。つい顔を見たくなるが、私は絶対に目を合わせないと決め、映画の続きに集中した。
その日の夜。
案の定、私は恐怖で眠れなくなった。
布団の中でさえ安息の地ではなく、ブラックに頼み込んで一緒に寝てもらっている。
「おバカですね~!」
嘲笑うブラックに頬をつつかれたり、ひっぱられたりすることも、甘んじて受け入れよう。
「逃げ場なんてないんだ……」
「あれは作り物ですよ」
「でも怖いよぅ…」
幽霊の現れるシーンが頭に思い浮かび、体を縮こませて思わずブラックの胸に飛びついた。
ブラックの体がプルプルと震えている。そんなに笑わなくてもいいじゃないか。
文句のひとつでも言おうとしたその時、ブラックの両腕がガシリと私の体を閉じ込めた。
「オレちゃんがいるでしょう」
顔をあげると、ブラックの目が真っ直ぐに私を見ている。
「……悪魔と幽霊なら、悪魔の方が強い?」
「もちろんです!幽霊は最弱ですから!」
さっきまでの恐怖心が薄れていく。なんと心強く、頼りになるのか。
「こ、この悪魔ぁ~っ!」
「そんな感情で言われたのは初めてですよ」
その日の夜は、ブラックの腕の中で安心して眠ることができた。悪魔さまさまだ。
でも深夜に目が覚め、寝返りを打ちたくて腕をどかそうにも全く動かず、なんとかこじ開け寝返りを打つと、すぐに引っ張り戻されたのには別の恐怖を覚えたのだった。
「いやです!」
すぐさま断られた。何故なのか。
「まだ何も言ってないよね?」
「ギンちゃんのことですから、どうせ面白くないお願いでしょう」
「それは…わからないけど」
「まあ、一応聞いてあげますよ」
ブラックは宙に浮き、パソコンを触りながら言う。
「スリラー映画、一緒に観よ?」
おねだりするように少しだけ上目遣いで言った。全然こちらを見ないけども。いいんだ別に。
顔を戻した瞬間、ブラックの黒目だけが動き私を見た。もっと早く向け。
「なんて映画です」
ブラックはパソコンに視線を戻す。
「悪魔は○つもそこに」
「…よりによって何故そのタイトルを選んだんですか?」
少し瞳孔を開いて見つめられた。
「主演が格好良いんだ。スパイダー○ンの人だよ」
「知りませんよ」
「えっ!?スパイダー○ンを知らない!?仮○ライダーくらい有名なのに!!!」
「知ってます。そういうことではありませんし、オレちゃんのミラコ○台詞をパクらないでもらえます?」
ブラックはパソコンを閉じてクッションに座ると、テーブルに置いてあったクッキーを手に取る。
「ギンちゃんがスリラー映画とは…怖いなら観なきゃいいのに」
サクサクと食べながら言うので、クッキーがこぼれている。
誰が掃除していると思っているんだ。
「主演の演技が観たいの。でも一人で観るには観賞後がつらそうだし、内容的に友だちは誘いづらいしお願いーっ」
「ふむ」
「タイトルに悪魔はついてるけどさ。あらすじ的にそういうのじゃないみたいだよ」
「……つまり人間の怖さ、ですか」
ブラックはニヤリと笑う。
「ブラックそういうの好きでしょ」
「そうですねえ…」
気乗りでない返事をされたけど、ブラックは付き合ってくれるようで、テーブルに飲み物を用意し始めた。
そして映画鑑賞をしているわけなのだが……。
私の隣では、本物の悪魔が涙を流し笑っている。
「あっはっはっはっは!!ひぃーーっ!」
暴力的なシーンで何を笑う必要があるというのか。
「んもぉーーっ最高ですよおっ!」
「ブラックうるさい……」
「ギンちゃんみました?あの動き!カーッカッカ!」
胸の痛むシーンでは涙を流していた(笑いすぎて)ブラックも、全体的に陰鬱な映画なので大半は静かにしていた。
残酷なシーンだとしても、キャラクター性の高い映画なら笑うのも理解できるが、淡々と進むこの映画のどこに笑いのツボが?
誘った私が思うのもおかしいかもしれないけれど、何を考えながら観ているのだろう。
二時間程の物語が終わりを迎え、エンドロールも流れ終わったのでテレビを切った。
気分はもう、沈みに沈んでいる。
「カカカ、良くできてましたねえ~!」
思いの外、ブラックは楽しげに言った。
「……そう。それは良かった」
「あら?どうしたんです」
私の魂が抜けたような返事に、ブラックが顔を覗き込んでくる。
「演技力が凄まじい……ニンゲン、コワイ。ワタシ、カエル」
「ギンちゃん!おうちはココですよ!」
ブラックはまた涙を流し始めた。
「はあ…。またスパイダー○ン観直そっと」
「………。そうです、ギンちゃん」
私をじっと見た後、何かを思い出すようにブラックは言った。そして笑顔で続ける。
「次は人間じゃない怖いを観ましょう!オレちゃん、気になってたんです。リ○グ!」
ずい、とパソコンの検索画面を見せてくる。
リ○グは古い映画ではあるものの、演出は何度観ても怖い。と私は思う。
……………のだが。
「なんと!テレビから!鬼ヤバですっ!!」
「凄く楽しそう」
ブラックは両手をあげ興奮している。正直、隣で観ていると全く怖くない。
「…あれ。そういえばブラック、画面からは出たことあるよね」
「言われてみればそうです。演出でこうも印象が違うとは」
そして流れでリ○グとコラボしたことのある呪○まで観るはめになった。
「……企画を思い付きました!ギンちゃん、オレちゃんと契約してください」
「いやです!」
「まだ内容を言ってません」
ブラックは不服そうにしている。
「ブラックのことだから、どうせ私が苦労する企画でしょ」
「それは…わかりませんけど」
「まあ、一応聞いてあげる」
ブラックはすごい速さでパソコンを操作すると、サムネを私に見せてきた。
「これです。『ホラー映画の中に入って呪いから逃げきってみた!!』契約しませんか?」
甘えた声で首を傾げるブラックが視界の端に見える。つい顔を見たくなるが、私は絶対に目を合わせないと決め、映画の続きに集中した。
その日の夜。
案の定、私は恐怖で眠れなくなった。
布団の中でさえ安息の地ではなく、ブラックに頼み込んで一緒に寝てもらっている。
「おバカですね~!」
嘲笑うブラックに頬をつつかれたり、ひっぱられたりすることも、甘んじて受け入れよう。
「逃げ場なんてないんだ……」
「あれは作り物ですよ」
「でも怖いよぅ…」
幽霊の現れるシーンが頭に思い浮かび、体を縮こませて思わずブラックの胸に飛びついた。
ブラックの体がプルプルと震えている。そんなに笑わなくてもいいじゃないか。
文句のひとつでも言おうとしたその時、ブラックの両腕がガシリと私の体を閉じ込めた。
「オレちゃんがいるでしょう」
顔をあげると、ブラックの目が真っ直ぐに私を見ている。
「……悪魔と幽霊なら、悪魔の方が強い?」
「もちろんです!幽霊は最弱ですから!」
さっきまでの恐怖心が薄れていく。なんと心強く、頼りになるのか。
「こ、この悪魔ぁ~っ!」
「そんな感情で言われたのは初めてですよ」
その日の夜は、ブラックの腕の中で安心して眠ることができた。悪魔さまさまだ。
でも深夜に目が覚め、寝返りを打ちたくて腕をどかそうにも全く動かず、なんとかこじ開け寝返りを打つと、すぐに引っ張り戻されたのには別の恐怖を覚えたのだった。
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