安室透と契約結婚
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11.シャンプー
(R指定するほどではない描写有)
「降谷さんおかえりなさい」
「ああ、ただいま」
珍しく夕方に帰宅した降谷を名前は玄関で出迎える。降谷は名前に笑顔で返事を返しながら、頬に軽いキスを落とす。
「ん?」
「どうかしました?」
「いつもと違う匂いがする」
そう言いながら降谷は名前の首もとに顔を埋めるようにして、くんくんと匂いを確認し始める。名前は首もとに触れる降谷の吐息に僅かに身をよじりながら、目を丸くして降谷の身体を押し返す。
「ん、ちょっと降谷さん…くすぐったい。何ですか、もしかして臭いですか?」
「いや、なんか甘い匂い…柑橘系?」
「あ、もしかしてシャンプーですか?美容院行ったの午前中なんですけど、そんなに匂い残ってます?」
「美容院に行ったのか?髪切ったように見えないけど」
「あは、毛先をちょっと揃えてもらっただけなので気付いたら逆にびっくりですよ。担当の美容師さんにもらった、ヘッドスパのクーポンの期限がもうすぐだったので」
名前は降谷から鞄を受け取って、リビングに向かう降谷の後に続きながらそう説明する。
「ヘッドスパなんてしてもらえるのか」
「そうなんです。担当の美容師さん…晶さんって言うんですけど、上手なので凄く気持ち良くて」
「……ほおー、その"あきらさん"とは付き合い長いの?」
「そうですね…大学の頃からずっと同じ美容院なので、5年くらいかな?」
「ふーん」
「?降谷さん、もう夕飯の支度しちゃっていいですか?」
「あー、今日は汗かいたから先にシャワーにするよ」
「そうですか、じゃあお風呂の準備しちゃいますね」
「ちょっと待て」
降谷の返事を聞いて、名前は浴室に向かおうとするが、ふいに降谷に手を捕まれて呼び止められる。首を傾げながら降谷の顔を見上げると、降谷は怖いくらいの笑顔を見せて「今日は一緒に入ろうか」と言った。
◇◇◇◇◇
「あの、やっぱりいいですよ…」
「なぜ?」
「普通こういうのって疲れてる人がやってもらうんですよ!私が降谷さんの髪を洗いますから」
「はは、それは次の楽しみにとっておくよ。いいから、ほら楽にして」
お風呂に一緒に入るという行為も未だに慣れないのに、なぜか「今日は俺が髪の毛を洗ってあげる」と言われて降谷の前に座らせた名前は、恥ずかしさと緊張で身体を固くする。ほんの僅かな抵抗で身体にはタオルを巻いているが、それでもほとんど恥ずかしさは変わらない。
「さっきのも良かったけど、俺はいつもの匂いが好きだよ」
「そ、そうですか」
名前のシャンプーを泡立てながら鏡ごしに目線をあわせて、ニッコリと微笑む降谷に名前は曖昧に微笑んで返す。そうこうしてるうちに、降谷は髪の毛を洗い始めるが、それが絶妙な力加減で思いの外気持ちが良くて、身体の力が抜け始める。
「痛くない?」
「んー、気持ちいいです」
「それは良かった」
「降谷さんは本当に何でも出来ますね」
「はは。これくらいの事で名前にそう言ってもらえるなら、役得だな。ほら、流すよ」
「はい。…ありがとうございます」
熱いシャワーで泡を流し終えたところで、名前はお礼を言って早々に立ち上がろうとするが、そんな名前の腰元に降谷がゆるりと手を這わす。
「や、ちょっと…降谷さん」
「ついでに身体も洗ってやろうか」
「なんか言い方が変態っぽいですよ、それ」
名前の言葉に軽く笑いながらも降谷は後ろから名前を抱き締めるようにして、太ももを撫でる。ビクリと身体が反応してしまい、名前は恥ずかしさから俯いてしまうが、降谷は名前の首筋に顔を埋めながら、太ももから股関節の際どいところを撫で続ける。
「ん、あっ…降谷さん、」
「何?」
「あの、ここではちょっと…」
「何が?俺は身体を洗おうとしてるだけだけど」
「そんな…ん、意地悪…っ!」
「名前…可愛い」
その言葉と共に降谷は首筋に唇を落とし、わざと音を立てて吸い上げる。名前の白いうなじには、点々と赤い所有印が刻まれていく。それと同時に、胸元に手を這わす。名前の抵抗は徐々に弱々しくなり、それと反するように甘い声が漏れ始める。降谷は満足そうに口元に笑みを浮かべると名前の顎に手を添えて、深く口付けた。
◇◇◇◇◇
「……暑いです。だからお風呂じゃイヤって言ったのに」
「はは、名前が可愛いからつい。水を飲んで休んでいてくれ、夕飯の支度は俺がやるよ」
名前はぐったりとベッドに横たわる。事後特有の疲労感に加え、風呂場で致したためか、のぼせてしまったようで頭がくらくらする。いつもなら、仕事終わりの降谷に家事を任せるような事はないが、今日は降谷の言う通りやってもらおうと黙ったまま息をつく。
ベッドに腰かけていた降谷は、名前の頭を撫でて額に口付けながら満足そうに笑う。
「いつもの匂いになった」
「そんなに嫌でしたか?美容院のシャンプーの匂い……あ、そういえば今度の週末は降谷さんお仕事でしたよね?晶さんに食事に誘われたんですけど、行ってもいいですか?」
「はあ?」
「あれ?その日降谷さんもお休みでしたっけ?」
「…待ってくれ。もしかして、"あきらさん"って女性か?」
「そうですけど…降谷さんがいるのに、私が男性と食事に行くと思いますか?」
「…思わない」
降谷はそう呟きながら、目元を覆って大きなため息をつく。その姿に、名前は首を傾げて「どうかしましたか?」と降谷の顔を覗き込む。
「いや、何でもない。俺が悪かった、今日は名前の好きなものを作るよ」
「え、本当にどうしたんですか?」
「無理をさせたお詫びだ」
「そんなに改まってお詫びしてもらうほど動けないわけじゃないですけど…」
「いいんだ、名前は休んでいてくれ。何が食べたい?」
困ったらように眉を寄せて微笑む降谷を不思議に思いながらも、名前は「シチューが食べたいです」と控え目にリクエストした。
fin.