安室透と契約結婚
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1、新しい日常
あの河川敷で本音をぶつけた日から数日たったが、私たちの関係の変化は何だろうか。表向きは何も変わらないだろう、何しろ既に夫婦なのだから。
「今日はポアロだけだから、19時までには帰るよ」
「わかりました」
「名前は?」
「今日は駅前のスーパーまで買い物に行こうと思っているくらいです」
「なるべく明るいうちに済ませろよ」
「はい」
「出かける前と帰宅したら、一言連絡を入れてくれ。返信出来なくても、メッセージは確認するから」
「……了解です」
降谷さんが変わったことと言えば、自分の予定をしっかり私に伝えてくれるようになった事と凄く過保護になったことだ。最初はとても驚いた。"安室透"だったら、自分の恋人をぐずぐずに甘やかしてくれそうなイメージはあったが、"降谷零"はもう少し淡白なイメージがあった。意外と心配性なのだろうか、仕事柄いろいろな事件を目にする機会が多いからかもしれない。
それほど不快ではないし、素直に従っていると些か機嫌が良さそうだから、いつも言われた通りにしている。
「何か重たいものを買うつもりなら、あと2日待ってくれ。金曜日は予定がないから、一緒に買い物でも行こう」
「え、」
「他に行きたいところがあった?」
「いえ、でも降谷さん…2週間ぶりの休みじゃないですか。ゆっくり休んでください」
「はは、そこまで疲れてないよ。久しぶりの休みだからこそ、名前といないともったないだろ」
「……私も部屋にいますから」
(疲れてないとか、絶対嘘だ)
「俺が、たまには名前と出かけたいんだ」
「そうですか」
「ああ、どこか行きたいところがあったら言ってくれ。そろそろ行くよ」
会話をしながら玄関で靴を履き終えた降谷さんは、くるりと私の方に向き直ると腰を屈めて私にキスを落とす。離れる時にわざとリップ音をたてると、そのまま至近距離で私を見つめる。
「…結婚、しなければ良かったかな」
「え、」
「いろいろな仮定を飛ばして結婚してしまったから。君と普通の恋人のような経験が出来なくて残念だ」
「……そんな事言って。こんな事がなければいつまでもポアロのアルバイトと常連客のままだったと思いますよ」
「はは、そうかな」
「それに、冗談でも"結婚、しなければ良かった"はやめてください。心臓に悪いです」
「それはすまない」
私が軽く睨むようにして言うと、降谷さんは私の腰に手をまわしてぎゅうっと力強く1度抱きしめてくた。
過保護でも何でも構わないが、こういう恋人モードというか旦那様モードの降谷さんにはまだ慣れない。平静を装っているつもりだが、多分バレてるだろう。心臓がいくつあっても足りない思いだ。
「じゃ、行ってくる」
「はい。行ってらっしゃい」
この部屋で、降谷さんを見送って降谷さんを出迎える。
これだけで私はとてつもなく幸せを感じる。願わくば、こんな日常がいつまでも続きますように。
fin.