高揚編
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「へー!!そんな風に人前で直接可愛いなんて言ってくれる人がいるのね~。」
蘭は名前から、学校での快斗の様子を一通り聞くと、なぜか照れたように僅かに頬を染めながら目を丸くする。
card.91
名前は、快斗に対してのどこかもやもやした気持ちの正体を知りたくなり、喫茶店で蘭に相談してみたのだ。
「それで?名前はそういう風にその彼に言われたらどんな気持ちになるの?」
蘭は茶化すような事もせずに、紅茶を飲みながら穏やかな口調で尋ねる。
「うーん。嬉しい感じもするかな?でも一番は恥ずかしい」
「うんうん、なるほどね」
蘭は楽しそうに笑いながら名前を見る。長い付き合いだが、自分が新一の話を聞いてもらう事はあっても、名前からこういった話を聞くのは初めてだ。
「他には?何か気になる事がある?」
「そうね……後は、最近その彼がすごく危ない目にあったんだけど。それを見てからずっと落ち着かないの…彼が、どこかでまた危険な目に合うんじゃないかとか、もしかしたら今も何かに巻き込まれてるのかもしれないと思うと……」
「心配なのね?」
蘭の言葉に名前は小さく頷く。蘭はそんな名前を見つめて小さく微笑みながら口を開く。
「それはきっと…名前がその彼の事を凄く大切に思ってるからだと思う。私も新一がどこかで怪我してないかな、って、いつも心配だもん」
「……。」
「それに名前の表情とか見てると、その人の事を名前が好きなんだろうなって思うよ」
「え?」
サラリと言った蘭の言葉に名前は、僅かに戸惑って眉を寄せる。
「名前って頭良いのに、こういう事には鈍いんだから。そこまで分かってたら普通は自分で気付くと思うよ。それに、こういう事は事件を推理するみたいに難しく考えちゃ駄目だよ。直感を信じるのが一番!」
そこまで言った蘭は、今までの楽しそうな表情から一転してふと眉を寄せて言葉を続ける。
「だけど、その彼って何か問題がある人なの?名前がそこまで気にするほど危ない目に合うなんて…」
「…あっ、違うの。この間…事故に遭いかけてね。それをたまたま私も近くで見てたのよ」
怪盗キッドの事を話せる訳もなく、名前は適当にごまかして理由を説明するが、蘭はその説明に納得したように頷く。
「そっか…それは大変だったわね。…でも嬉しいな!名前にも、とうとう好きな人が出来たのね」
蘭はそう言って本当に嬉しそうに笑っているが、名前は未だに蘭の導き出した答えに戸惑っている。
「ふふ、名前ってば眉間の皺すごいよ。とにかく考えすぎるのも良くないけど、自分の気持ちに素直にね!……あ、ごめん私ちょっとお手洗い行くね」
「うん」
蘭が席を立った後、名前は大きく息をついて水に口をつける。
「私が……快斗を好き…?」
--ドクン
ポツリと呟いてみた自分の言葉は、ストンと胸に落ちる。そして、急激に自分の気持ちを自覚させて胸を高鳴らせる。
(……そっか、私快斗の事が好きだったのね)
胸がどんどん高鳴っていくのを感じながら、今までもやもやしていた気持ちの正体に名前は小さく苦笑した。