高揚編
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card. 89
「名前ちゃん、じゃあね!また学校でね!」
列車を降りた後、中森に家の前まで送ってもらった名前。窓からは青子が笑顔で手を振っている。名前はその奥にいる快斗にチラリと目を向けた後に、微笑んで青子に視線を戻す。
「ええ。今日はロイヤル・エクスプレスにも乗れて、女王陛下にも会えたし楽しかったわ。青子も快斗もありがとう…中森警部もわざわざ送ってもらってありがとうございます」
名前は頭を下げてお礼を言いながら、軽く運転席を覗き込む。
「いやいや…名前ちゃんに久しぶりに会えて良かったよ。また現場で会ったら知恵を貸してくれ!」
そう言うと、中森は車を発進させる。名前は角を曲がるまで車を見送った後に、くるりと踵を返してマンションに入る。
----ピリピリ…
「…もしもし?」
『あっ名前?今、大丈夫?』
「蘭…平気だよ」
名前は蘭と話ながら、部屋には戻らずエントランスのソファに腰を下ろす。
『だいぶ先の事なんだけど今度、園子の……わっ…っと!!』
蘭は用件を伝えようとするが、ガヤガヤと後ろから聞こえる声に遮られる。
『ごめんね、名前。今、阿笠博士のとこなんだけど子供達が…』
「そうなんだ、大丈夫」
名前は幼なじみである蘭の声を聞いていると、何故か頭にキッドと快斗の事が浮かんで来る。
--名前嬢…--
--そうか。大変だな、何かあったら言えよ。--
--あなたを危険な目に合わせたくない--
『……名前?名前、どうかしたの?』
名前は電話口の蘭の声で、ぼんやりしていた意識を上昇させる。
「……蘭、」
『名前どうしたの?何だかぼんやりしてるけど大丈夫?』
「蘭…近いうちに少し時間もらえないかな?」
『うん、平気だよ。今日これからでも大丈夫だし』
「ちょっと蘭に話を聞いてもらいたいなーって思うんだけど」
『大丈夫よ!それなら今から米花町のいつもの駅前の喫茶店に来れる?それか私が名前の部屋まで行こうか?』
「ううん…私が喫茶店まで行くわ。突然でごめんね……うん、うん。ありがとう…じゃあ、喫茶店で」
名前はピッと通話を切ると、部屋には戻らずに再びマンションから出て駅に向かった。
(…蘭の声って何となく安心するっていうか、ついいろいろ話したくなるのよね)