「クリスタル・マザー」編
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「ーえ!」
(今の銃声…!?)
キッドを探しながら列車の屋根に登る途中に聞こえてきた音に、名前は思わずビクリと動きを止める。
名前は自分を落ち着かせるように何度か深呼吸した後に、ゆっくり梯をあがり顔だけ列車の屋根の上に出す。すると、少し離れた位置にキッドと銃を構える男の姿が見えた。
door.85
「残念だが…今日は貴様と遊んでいる暇はない!もうすぐ大阪に着いてしまうからな。さぁ、宝石を下に置いて後ろを向くんだ…このガキを殺されたくなければな…」
男はガチャリとフィリップの頭に銃を突き付ける。
「だ…駄目だよ、お兄ちゃん!渡さないで!」
「うるせぇ!ガキは黙ってろ!」
「……くそっ、」
キッドは小さく舌打ちしながらも、仕方なく自分の前にコト…と、宝石を置きながら男に告げる。
「これはお前達が探していた"パンドラ"じゃなかったぜ?」
「なにっ?」
「本当さ…お前が来る前に月に翳して調べたんだ」
「黙れっ!それは俺が調べる!!さぁ、そのまま後ろを向けっ!」
男の言葉に、キッドは大人しく男に背を向ける。
(…パンドラ?キッドもあの男もそれを探しているって事?月に翳して調べるってどういう意味かしら)
名前は2人の様子を窺いながらも、聞こえて来る会話を頭に刻み込む。
(……このままだとキッドが、快斗が撃たれちゃう)
名前はギュッと梯を掴む手に力を込めて、男とキッドに気付かれないようにゆっくりと列車の屋根にあがる。
男はそんな名前の行動には気付かずに、銃を構えたままニヤリと笑いながら呟く。
「不死身の怪盗キッドも、これで最期だな……」
名前はそんな男の言葉を聞いて、覚悟を決めると勢いよく男の背中目掛けて屋根の上を駆け出す。
----ダダダダッ!
名前の足音に気付いたのか、男はチラリと後ろを確認するが、その時には既に名前が男のすぐそばまで迫って来ている。
「……え?」
突然現れた名前に動揺する男だが、名前は構わずに走ってきた勢いをそのままに、男に飛び蹴りを食らわす。
「ぐあっ…!」
男は突然の事態に為すすべもなく、小さく声をあげて倒れる。
--カランカラン
その時、男の手から銃が離れて列車から落下する。男もそのまま体勢を崩して列車の屋根から落ちて行った。
「…ふぅ、」
飛び蹴りをした名前は、何とか屋根の上に着地して男が落ちて行った方をジトリと見つめる。
(……蘭に、"念のため"にって護身用に教え込まれたけど……まさか、こんな事に役に立つなんてね)
そして昔、世話焼きの幼なじみから半ば無理矢理空手を指導された事を思い出して小さく笑った。