「クリスタル・マザー」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
列車はガタガタと音をたてながら闇を切って進んでいく。終着駅の大阪は着実に近付いて来ていた。
card.81
「大阪まであと10分…」
中森はお酒に酔った赤い顔で、チラリと腕時計を確認する。
「どうやら、私の勝ちのようですわね警部さん…」
「…で?どこなんですか、宝石の隠し場所…」
「フフ…大阪に到着したらお教えしますわ。きっと警部さんはびっくりされるでしょうけど」
「?」
(…どこだ!?宝石はいったいどこなんだ?)
中森と陛下の会話を聞きながら、快斗は少し離れた席で額に僅かに汗を浮かべている。先程から陛下の方を振り返り周辺をくまなく見ているが、未だに宝石の在処が分からないままだ。このままでは盗み出す前に宝石すら見つけられないまま大阪に到着してしまう。
「…宝石、」
「え?」
そんな中、突然呟かれた言葉に快斗は自分の前の席に座る名前の顔を見る。
名前は快斗の奥に座る陛下と中森の様子を見ながら、可笑しそうに苦笑して言葉を続ける。
「あんな所に隠すなんて……女王陛下も案外変わり者なのね」
「ーっ!?」
「名前ちゃん、宝石の隠し場所わかったの?」
驚いて目を見開く快斗の横で、読んでいた雑誌から目を離した青子が不思議そうに首を傾げる。
「ふふ…私の席からは、中森警部と陛下の様子がよく見えるから」
「すごーい!あ、でもキッドに聞かれちゃうと困るから、大阪に着いたら青子にも教えてね!」
「そうね、大阪についたらね」
ニコニコと青子に笑顔を向けると、青子は「わーい!」と、嬉しそうに笑った後にまた雑誌に視線を戻した。
「……。」
名前がそんな青子から快斗に視線を移すと、快斗はどこか焦ったように小さく口を動かしながら名前の顔を見つめているが、口をパクパクさせるだけで言葉は発さない。
「なーに?」
「いや、別に…」
名前はわざとらしく首を傾げて快斗に尋ねるが、快斗は少し口ごもった後に言葉を切る。青子の前で名前に宝石の場所を尋ねるわけにもいかないし、そんな事をしたら名前にもますます怪盗キッドだと疑われてしまう。
名前から教えてもらうのを諦めた快斗は、再び陛下の様子を窺うためにチラチラと後ろを振り返る。しかし、やはり何度見てもどこにあるのか分からずに、焦った快斗は思わず顔をしかめてしまう。
その姿に名前は小さく苦笑した後に、口を開く。
「快斗」
「え?」
快斗は名前の方を振り返り、困ったような表情を見せる名前の顔を、不思議そうに見つめる。
「このままだと、キッド…"タイム"アップかもしれないわね?」
「……え、」
("タイム″…アップ?タイム…時間…そういえばっ!!)
快斗は名前の言葉を聞いて、ハッと何かを思いついたように陛下の方を振り返る。そして、しばらく陛下を見つめるとニヤリと口元に弧を浮かべた。
--ガタ
「あれ、どこ行くの快斗?」
突然立ち上がった快斗に青子は顔を上げて尋ねる。
「…トイレだよ」
快斗はそう返すとチラリと名前を見つめるが、何も言わずにスタスタと離れていく。
(馬鹿ね…私も)
名前はそんな快斗の背中を自嘲気味に笑いながら見送った。
card.81
「大阪まであと10分…」
中森はお酒に酔った赤い顔で、チラリと腕時計を確認する。
「どうやら、私の勝ちのようですわね警部さん…」
「…で?どこなんですか、宝石の隠し場所…」
「フフ…大阪に到着したらお教えしますわ。きっと警部さんはびっくりされるでしょうけど」
「?」
(…どこだ!?宝石はいったいどこなんだ?)
中森と陛下の会話を聞きながら、快斗は少し離れた席で額に僅かに汗を浮かべている。先程から陛下の方を振り返り周辺をくまなく見ているが、未だに宝石の在処が分からないままだ。このままでは盗み出す前に宝石すら見つけられないまま大阪に到着してしまう。
「…宝石、」
「え?」
そんな中、突然呟かれた言葉に快斗は自分の前の席に座る名前の顔を見る。
名前は快斗の奥に座る陛下と中森の様子を見ながら、可笑しそうに苦笑して言葉を続ける。
「あんな所に隠すなんて……女王陛下も案外変わり者なのね」
「ーっ!?」
「名前ちゃん、宝石の隠し場所わかったの?」
驚いて目を見開く快斗の横で、読んでいた雑誌から目を離した青子が不思議そうに首を傾げる。
「ふふ…私の席からは、中森警部と陛下の様子がよく見えるから」
「すごーい!あ、でもキッドに聞かれちゃうと困るから、大阪に着いたら青子にも教えてね!」
「そうね、大阪についたらね」
ニコニコと青子に笑顔を向けると、青子は「わーい!」と、嬉しそうに笑った後にまた雑誌に視線を戻した。
「……。」
名前がそんな青子から快斗に視線を移すと、快斗はどこか焦ったように小さく口を動かしながら名前の顔を見つめているが、口をパクパクさせるだけで言葉は発さない。
「なーに?」
「いや、別に…」
名前はわざとらしく首を傾げて快斗に尋ねるが、快斗は少し口ごもった後に言葉を切る。青子の前で名前に宝石の場所を尋ねるわけにもいかないし、そんな事をしたら名前にもますます怪盗キッドだと疑われてしまう。
名前から教えてもらうのを諦めた快斗は、再び陛下の様子を窺うためにチラチラと後ろを振り返る。しかし、やはり何度見てもどこにあるのか分からずに、焦った快斗は思わず顔をしかめてしまう。
その姿に名前は小さく苦笑した後に、口を開く。
「快斗」
「え?」
快斗は名前の方を振り返り、困ったような表情を見せる名前の顔を、不思議そうに見つめる。
「このままだと、キッド…"タイム"アップかもしれないわね?」
「……え、」
("タイム″…アップ?タイム…時間…そういえばっ!!)
快斗は名前の言葉を聞いて、ハッと何かを思いついたように陛下の方を振り返る。そして、しばらく陛下を見つめるとニヤリと口元に弧を浮かべた。
--ガタ
「あれ、どこ行くの快斗?」
突然立ち上がった快斗に青子は顔を上げて尋ねる。
「…トイレだよ」
快斗はそう返すとチラリと名前を見つめるが、何も言わずにスタスタと離れていく。
(馬鹿ね…私も)
名前はそんな快斗の背中を自嘲気味に笑いながら見送った。