「クリスタル・マザー」編
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「フィリップ王子…ここは危険にございます。早くお部屋にお戻りください。…先程から陛下がお怒りですよ」
「…お母様が?」
快斗と話していたフィリップに小声で声をかけて来た日本の関係者。
名前がチラリとセリザベス陛下の方に目を向けると、すごい形相でフィリップを睨んでいる。
(……本当に怒ってるみたいね)
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「ほら…早く帰れってよ」
快斗がポンッと、フィリップの背中を叩いて帰るように促すがフィリップはその場から動かずに下を向いてしまう。
「僕帰らないよ…ここにいて怪盗キッドから、お母様と宝石を守るんだ!」
「お母さん想いなのね…」
青子が優しく微笑むが、そんなフィリップからは想定外の「お母様なんて大嫌いだよ!」という言葉が返ってきて、名前と快斗は顔を見合わせる。
「……お母様、お父様が死んでから変わっちゃったんだ。前は、あんなに優しかったのに。今は僕を見るたびに怒鳴ったり怒ったり…きっと僕の事が嫌いになっちゃったんだ…」
「……。」
「でも……僕、お父様と約束したんだ。これからは、僕がお母様とこの国を守るって…!だから…だから…」
「…あ、」
フィリップの話をしんみり聞いていた3人だったが、フィリップの後ろに近づいてきた人物を見て息を飲む。
「…どうやらあなたは、口で言ってもわからないようですね」
そこには険しい顔をしてフィリップの後ろに立っている女王陛下の姿。
そして有無を言わさずに、フィリップの首元をつまみ上げた陛下はカツカツと車両の入口に向かって行くとドサッと車両の外にフィリップを放り投げる。
「フィ、フィリップ王子!」
「へ、陛下…何もそこまでしなくても」
「放っておきなさい!この子はこれくらいしないと分からないんですわ!!」
幼い子供でもある王子への仕打ちに戸惑う関係者達に向かって陛下はそう怒鳴りつけると、そのままピシャリと入口の扉を閉めてしまう。
「お…お母様…!!」
閉められた入口の外で母を呼ぶフィリップの姿を、物影から1人の男がジッと見ていた。