接近編
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名前と並んで昇降口を出た快斗は、空を見上げる。
「ほら見ろ…やっぱりもう暗いじゃねェか」
「そうかな?快斗はちょっと心配しすぎなんじゃない?」
名前も快斗につられて空を見上げる。確かに少し薄暗くなっているが、見上げた空にはほんのり太陽の明るさが残っていた。
card.70
「家まで送ってくから一緒に帰ろうぜ」
2人は並んで薄暗い住宅街を歩いていく。そういえば、転入して来た日も一緒に帰ったな…と、名前はぼんやりと思い返す。すると、ふと隣を歩いていた快斗が足を止める。
「…あ、コンビニ寄っても良いか?」
そして目に入ったコンビニの明るい看板に、快斗は思い出したように呟いて名前に尋ねる。
「ええ、大丈夫。何か買うの?」
「今日うちの親が出かけてるからさ…何か夕飯に食うもん買ってかねーと」
快斗は頭の後ろで手を組みながら、面倒臭いのか小さくため息をつく。
「そうなんだ…それなら私も今日は面倒だから、何か買って行こうかな」
「あー、お前1人暮らしだもんな。いつも自分で作ってるのか?」
「割と作ってるかな。簡単なものばかりだけどね。…でも遅くなった日なんかは、ついコンビニとかお惣菜とか買っちゃうけど」
そう呟いた後、名前は何かを考えるように空を見上げる。
「…名前?」
「せっかくだし、一緒に食べる?」
快斗に名前を呼ばれ、空から快斗に視線を戻した名前はポツリと尋ねる。
「え?」
その突然の言葉に快斗はポカンと口を開く。
「せっかくだから、どこかで一緒に食べない?」
「誰と誰が……?」
「……"私″と"快斗″が。…買って帰るよりも良いかなって思ったんだけど、迷惑だった?」
煮え切らない態度の快斗に、名前は申し訳なくなって快斗を見つめる。せっかく二人で話せるチャンスだし、純粋に誰かと夕食を食べたい気持ちもあったのだが、快斗の反応を見ると迷惑だったのかもしれない。
「…いやいやいや!思いがけない誘いで驚いただけだよ!一緒に食おうぜ。1人で食べるより楽しいもんな!」
しかし、快斗は急にニコニコと上機嫌になると、どこが良いかなー?と呟きながら歩みを進めていく。
名前はそんな快斗の様子を見て、ホッと胸を撫で下ろすと小さく微笑んで快斗を追って歩きはじめた。