接近編
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--ガラッ
「遅ェよ、中村先生」
社会教材室の扉を開けた担任は、思いがけない人物の姿に目を丸くする。教材室の中には、椅子に座り足を組んでいる快斗と、その隣にチョコンとすわる名前の姿があった。
card.68
「…どうした黒羽」
「何だよ?自主的に資料作り手伝いに来た生徒に向かって」
中村は抱えていたプリントをバサッと置きながら口を開く。
「朝は遅刻、授業は隙あらばサボるか居眠り…休み時間には大騒ぎ…放課後となったらいち早く帰っていく、そんなお前が手伝い…?」
「快斗……あなた、そんな生徒だったの?」
名前は、快斗に対する担任の評価を聞いて呆れたように快斗を見る。
「そうだぞ、名字…お前が来てからは、割と真面目にしていたから分からなかったと思うが。こいつはそういう奴だ」
「おいおい!名前に余計な事吹き込むなよ!」
快斗は中村の話を聞いて、冷めた視線を自分に向ける名前の姿を見て、慌てて話を遮った。
--パチリ、パチリ…
3人は中村に言われたように、資料を1人分にまとめてホッチキスで止めていく。
「だいたいよ…こういう放課後にやるような仕事は男子に頼めよ」
快斗は面倒臭そうにホッチキスを止めながら呟く。
「こんな遅くまで名前を残らせて、帰り道に何かあったらどうするんだよ?」
「……黒羽、こんな仕事せいぜい30分。18時前には十分終わるぞ?」
「18時!日が暮れ始めてるじゃねーか!そんな薄暗い道を、可愛い名前を1人で帰そうとするなんて教師失格だぞ!」
「「………。」」
「快斗、それ恥ずかしいからやめてくれない?」
「名字も大変だな~。転入そうそうにこんな奴に懐かれて…」
中村は心底同情したように名前に声をかける。
「…だいたい何で名前をご指名なんだよ?まさか!…教師の癖に狙ってんのか!?」
快斗は2人のやり取りを気にすることもなく話しを続けて、一方的にジロリと中村を睨む。
「…勝手に盛り上がってるところ悪いが俺はこれでも新婚だからな。そもそも、この仕事は先週お前に頼んだのにサボって帰っただろ」
「え、そうだったか?」
中村は、まるで見に覚えにないという顔をする快斗に大きくため息をついた。
「ちなみに…名字を呼んだのは…こうやって人のいない場所で、転入して来て困った事はないか聞こうと思ったからだ」
「そんなの俺がいれば、問題ねェだろ!」
快斗は自信満々に、なぁ?と名前に声をかけるため、名前は困ったように微笑む。そんな様子を見た中村はまた大きなため息をついた。
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*後書き
快斗のキャラクターが急に変わったようにお思いかもしれませんが、私の中で怪盗キッドじゃない時の黒羽快斗はこういうイメージです。
特に好きな相手(友人達にも開き直っている)に関しては。
いつでもかっこ良い快斗を想像、もしくは楽しみにしていた方がいましたら、申し訳ありません。