授業が終わり名前が用事があると言って席を外すと、青子がススス…と快斗の席に近付いていく。

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｢かーいと！｣

｢…何だよ？気持ち悪ぃな｣

快斗の言葉に、青子は不満そうにプゥと頬を膨らませる。

｢何よ！せーっかく青子が気を効かせて、週末のロイヤル･エクスプレスに名前ちゃんも誘ってあげたのに！｣

｢…なっ！お前！｣

胡散臭そいに青子を見ていた快斗だったが、青子の言葉に目を丸くして狼狽える。

｢ふんっ！快斗が名前ちゃんに気があるのなんて、この青子様にはバレバレなん……んんんーっ!!｣

快斗は思いもよらぬ事を言い出した青子に慌てながら、ガバリと両手で青子の口を塞ぐ。

｢お前なあ！教室の真ん中で、でけェ声で何を言い出すんだよ！」



｢ダメじゃない、青子｣

そんな二人を傍観していた恵子が、わざとらしい口調で青子の肩をポンッと叩く。

｢…そうだよ、俺達はバレない程度に応援しようって言ってたじゃねぇか｣

そんな恵子に続いて、林が呆れたように青子に声をかける。

｢…なっ！お前ら！」

ゾロゾロとまわりに集まって来た友人達に、快斗は目を丸くする。

｢…諦めろ、快斗。お前の気持ちは青子ちゃんがバラす前から俺たちにはバレバレだ｣

そして桜井が楽しそうに笑いながら、唖然としている快斗の肩を叩く。

｢えはう、嘘だろ？｣

怪盗キッドの時は如何なる時も、ポーカーフェイスを貫く事が出来る自分の気持ちを、こんなに大勢に短期間の間に知られている事に快斗はがっくりと肩を落とす。やはり、世紀の大怪盗とは言ってもまだまだ高校生。自分の恋愛沙汰においては、ポーカーフェイスとはいかないらしい。

｢まぁまぁ、快斗君。私達もからかってるわけじゃなくて、ちゃんと応援するからね?頑張ってよ｣

｢そうだぞ、快斗。例えお前の玉砕が既に分かりきっていても！友達の俺達は応援するからな！｣

快斗は林の聞き捨てならない励ましの言葉に、プルプルと肩を震わせる。

｢うるせーっ!誰が玉砕なんかするか!!こうなったらお前ら、俺のために協力しろ!俺のためにその身を捧げろ！」

｢煩いのは快斗の方！急に開き直らないでよ、バ快斗!!｣


友人たちに乗せられた快斗が、教室の中心で大声で開き直った瞬間だった。