「天国へのカウントダウン」編
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card.619
「名字名前に接触出来たんですか!?」
「ああ、江戸川コナンの知り合いだったから、ポアロに客として来たんだ。毛利小五郎や毛利蘭とも顔馴染みのようだ……あの資料もう一度見せてくれ」
「わかりました」
安室透改め、公安の降谷零は風見から受け取った資料をもう一度確認していく。
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【怪盗1412】通称怪盗キッドの犯歴
20年前から、巨大宝石のみを標的とする怪盗として世間に名を馳せていたが、突然消息不明となる。その後、20××年より再び犯行を再開。標的は、主に巨大宝石。(希に絵画などの例外あり)
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降谷は、パラパラと資料をめくり目当ての項目「怪盗1412の犯行略歴」で手を止める。
・20××/×月 町田美術館館長殺人事件
犯行予告を出していた美術館で、殺人事件が起きた当日に姿を見せる。容疑者確保の際、一般人「名字名前」屋上から転落。突如、怪盗1412が姿を現し、ハンググライダーにて救助される。美術品には被害なし。なぜ、美術館にいたのかは不明。
・20××/×月 東都美術館から巨大宝石の強奪に成功、翌日持ち主の○×氏に返品
・20××/×月 探偵、千間降代容疑者に探偵を集めるために、その名を利用される。
怪盗1412は、探偵の毛利小五郎に変装し晩餐会に出席。
その後、殺人事件により一人死亡(大上祝善)。館からヘリで脱出する際に投身自殺しようとした千間を庇った「名字名前」が、ヘリより転落。怪盗1412が変装を解き、ハンググライダーによって救出
「……………。」
(ここ数ヶ月の怪盗キッドの事件現場に、かなりの頻度で名字名前も姿を見せている。キッドキラーのコナン君の知り合いだから…という理由も考えられるが…)
「少なくとも二回…彼女はキッドにより助けられ、個人的に接触している」
「……そうですね。この町田美術館の件と、黄昏の館の事件」
「ああ…そして、おそらくこれもだ」
降谷が示した資料を風見が覗きこんで首を傾げる。
「スター・サファイアを標的とした事件ですか?これのどこで?」
「機内で起きた殺人事件の影響で、毛利蘭が飛行機を着陸させたとあっただろう?」
「ああ、普通に考えたらありえませんよね…」
風見は女子高生がジャンボジェットを着陸させたという報告書を見て、眉間のシワを更に深くしている。
「毛利蘭が操縦する前まで、操縦していたのが"新庄功"に、変装していた怪盗キッドだ」
「そういえば、そうでしたね」
「奴が最初の着陸失敗時に負傷したのと、緊急着陸先に照明がなかったため、滑走路確保のために途中で機内から飛び降りた。と、資料にはあったな」
「はい、パトカーを引き連れて埠頭に向かったとか…」
風見はこの話のどこに名字名前が関わるのか分からず、不思議そうに降谷に視線を向ける。
「室蘭の埠頭に緊急着陸後、機内から救出された乗客リストに名前の名前がなかった」
「……え?」
「搭乗リストには名前の名前があり、当日機内にいたことも確認済みだ」
「え、それってどういう…?」
「着陸後、しばらくしてから埠頭で名前の生存確認は出来ているから、救出時の混乱でリストの記載漏れだろう…という話になっているが。俺は、"着陸"より先に名前は機内から脱出していたのではないか…と、考えている」
「えっ!?それは、ジャンボジェットから怪盗キッドと共にという事ですか?…まさか、そんな」
風見は降谷の話に、信じられないというように目を見開いている。
「か、仮にそうだとして…二人の関係は?怪盗キッドが世間に認識されたのは20年前…仮に、当時20代だったとしたら…奴は既に40歳を越えています」
「ああ、俺もそこが分からないんだ」
(彼女には、同年代の交際相手がいるようだし)
降谷は資料から目線を外し、疲労のためかこめかみを押さえるようにして呟く。
「……組織がなぜ怪盗キッドの情報を欲しがっているのか分からないが、有力な情報を提供すればバーボンは更に上からの信用を得られるだろう。とりあえず、怪盗キッド本人への糸口がない今…疑わしい節がある名字名前を探ってみるしかないだろ?」
「そうですね…」
「基本的に人を傷つけず、人助けをしたり、盗品を持ち主に返したり…情に熱い一面もあるようだが、所詮は犯罪者だ。組織への献上品として利用させてもらうさ」
降谷は怪盗キッドに関する資料をバサリとデスクに置くと、小さく笑いながらそう呟いた。
◇◇◇◇◇◇
「え!?大木さんが殺された?」
『ああ、ツインタワービルのスイートルームで刺殺体で見つかった』
夜、コナンからかかってきた電話に出てみると、ツインタワービルで会った西多摩市議の大木岩松が殺されたと伝えられ、名前は目を丸くする。
「それで…犯人は?」
『まだ、わかんねーんだ。光彦達が、関係者の捜査をしたいって言うから、今日風間さんと如月さんに会いに行ってみたが…大した収穫はなしだな』
「ふーん」
(相変わらず、少年探偵団はたくましいわね…)
名前は電話を片手に、キッチンで入れた珈琲を手にリビングに戻る。
「原さんのとこは行かないの?」
『ああ、それは明日行く予定なんだけど…オメーも来ないか?』
「え、私も?」
『今日は灰原の奴、予定があるからって来なかったんだが…明日は来るみたいなんだよ。俺は、歩美たちの面倒も見なきゃなんねーし、オメー灰原のこと頼むよ』
珍しく不安そうな声色のコナンの声に、名前は首を傾げる。
「ねえ、そんなに哀の様子おかしいの?」
『いや…ただ、ツインタワービルにジンのポルシェが来てたからな。用心するに越したことはねーだろ』
「成る程ね…ジンは何しに来てたか分かったの?」
『それは、サッパリだ』
「電話の件は?何か進展あった?」
『ああ。今日風間さんが、夜に離れて暮らす息子さんの声が聞きたくなるっていう話をしててな…それを聞いて思い付いた可能性が一つある』
「?」
『ま、その件はハッキリしたら言うよ』
「そう…わかったわ、明日なら特に予定ないし。いいわよ」
『サンキュー!……あいつは来るのか?』
「あいつ?」
『黒羽だよ、黒羽!』
「あら、来てほしいの?」
『バーロー、なわけねーだろ!ただ、灰原の奴…珍しくあいつとはウマが合うみてーだから』
「ああ…そうね、でも残念だけど明日は何か予定があるらしいわよ」
『ふーん?オメーら、いつも一緒ってわけでもないんだな』
「何よ、当たり前じゃない」
呆れたように呟くコナンに、名前は苦笑しながらそう答える。コナンからの用件はそれだけだったようで、明日の集合場所を確認して通話を切る。
「殺人、組織、哀の電話…それから、安室さん。何だか、またいろいろ忙しいわね…」
名前は小さくため息をつきながら、珈琲に口をつける。
(あ、安室さんのこと聞いてみれば良かったかな…でも前に新一から、紹介するの待ってくれって言われたし…新一から言われるまで、あんまり聞かない方がいいのかしら?)
名前は頭の中でいろいろな考えを巡らしながら、携帯を手に取る。
「快斗も何か用事があるらしいけど…とりあえず、原さんの家に行くことになった事だけメールしておこ」
名前はそう呟きながら、快斗宛に殺人事件が起きた件と共に明日の予定を打ち込み送信した。