「ダーク・ナイト」編
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「きょ、共犯者?」
快斗は目をまん丸く見開きながら、名前の真意を問うように、名前の顔をまじまじと見つめる。
「そう、共犯者」
名前は快斗の手を握る自分の手に、力をぎゅっと込めながらもう一度その言葉を繰り返した。
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「怪盗キッドである快斗と一緒にいる事にちゃんと責任を持ちたいの。快斗が捕まったら、私も自首する。私達の関係がバレて誤魔化すのも無理そうな時には、大人しく捕まるわ」
「名前ちゃん…そんなの、」
「お願い。大事な時ばかり快斗に守ってもらうんじゃなくて、ちゃんといつでも隣にいたいの」
自分の気持ちがしっかり伝わるようにと名前は切々と説くが、快斗は納得出来ないような顔をしている。
「こういう気持ちが逆に快斗の重荷になるなら、それは仕方ないわ。無理強いしない。でも、このままだと今後また難しい立場に追い込まれた時に、快斗にだけ負担をかけちゃう。だったら、もうそうなる前にお別れするしか…」
「いやだ」
快斗は名前の言葉に被せるように断言する。どこか子供が駄々をこねているような拗ねたような口調。名前は思わず口元が緩む。
「それは嫌だ……分かった、共犯者でも何でもいいから、別れるとか言わないで」
「ふふ、良かった。一応言っておくけど、私も別れるのは絶対に嫌よ」
「……はー、もう頼むよ。俺はもう名前から離れらんねーの」
「ごめんね、狡い言い方して」
「……いや、俺のためにそこまで言ってくれて…ありがとう」
快斗はそう言うと、名前の手を握り返しながら、身を乗り出すように名前との距離をつめると、触れるだけの口付けを交わす。
「それから、ごめん。ナイトメアにいろいろ言われたとはいえ、名前をあんな風に傷つけて」
「それは、もういいのに」
「それでもちゃんと謝らせて」
「昼間も言ったけど、傷ついてないわよ」
「でも、怖かったって言ってたじゃん」
「強いて言えば…だよ。でも、」
名前は少し考えるように視線をさ迷わせた後に、握っていた手を離してスルリと快斗の首の後ろにまわす。そしてグイッと快斗の身体を引き寄せると、戸惑う快斗を尻目に快斗の唇に自分のそれを重ねる。
「ど、どうしたの?名前ちゃんから、こんなの珍し…」
「んー?上書きしてもらおうかな、って」
「……は、」
「快斗がそんなに気にしてるなら、いつもの優しい快斗で上書きしてもらおうかなと思ったのよ」
名前が口角をあげて笑いながらそう言うと、快斗は目を見開いて片手で自分の口元を覆う。
「え、それ…意味分かってんの?」
「…さすがに分かるわよ」
「だって!!あの、こういう事に関しては鈍いウブな名前ちゃんが…!」
「失礼ね、あんな事があれば…私だって、いろいろ考えるわよ」
「…考えた上で、なんだよね?」
「何よ、そんなに信じられない?快斗が嫌なら別に……」
何度も念をおされた名前は、投げやりにそう言おうとするが、突然身体がふわりと浮き上がって、思わず言葉を切る。
「ちょ、快斗」
戸惑う名前を尻目に、名前を横抱きにした快斗は黙ったまま寝室に向かい、優しく名前をベッドに寝かせると、その上に覆い被さって真っ直ぐ名前を見る。
「……名前」
「な、何?」
「俺の共犯者になってください。今も、これから先も…どんな事になっても、どんな時も一緒にいるから。全部俺にちょうだい」
「はい」
快斗の目を見て名前はハッキリと頷く。快斗は一応納得はしたものの、名前を巻き込む事に未だに抵抗があるのか、戸惑う様子のない名前の返事を聞いて少し眉を寄せて笑う。
しかし戸惑いはあるものの、それ以上は何も言わずに、するりと名前の頬に触れる。そして、そのまますーっと肌を撫でるように指先を首筋まで這わせる。
「………ガチガチじゃん、怖い?」
「緊張してるだけよ、怖くない」
「緊張する名前ちゃんって、新鮮だな」
快斗は優しく笑うと、名前を安心させるように額に口付けを落とし、そのまま瞼、目尻、頬にチュ、チュ、と何度も口付ける。そして最後に唇に軽く口付けて、するりと下唇を舐めると、一度顔を離して名前を見つめる。
「約束する、あの日の事を全部上書き出来るくらい思いっきり優しくする。だから安心して」
「うん」
「名前ちゃん、大好き」
その言葉を最後に、快斗は名前に口付けると少しずつそれを深くしていく。名前は、慣れない深いキスに必死に応えながら、快斗の首に手を回した。
*ダーク・ナイト編fin.