「ダーク・ナイト」編
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card.605
「け、警部突然明かりが!」
「落ち着け!予備の電源に切り替えろ!」
突然薄暗かった館内の照明が完全に消える。暗闇のなか、慌てる警官たちの声が響くが、名前はその場を動かずに状況を見守る。
中森の指示により、すぐに予備の電源に切り替わり館内に灯りが灯る。
「ほ、宝石がなくなってる!」
「そ、そんなバカな!?」
灯りがついてすぐにケースを確認した捜査員たちは、台座に乗っていたはずの宝石がなくなっていることに気付いて慌て始める。そんな中、ケースに近付いた中森は小さく笑う。
「大丈夫、よく見てくださいよ。あるじゃないですか!ほら、台座からずり落ちて、水の上にプカプカ……って浮いてるじゃないか!?」
(さっきの仕掛けはこれだったのね)
水に浮いたイヤリングを見た名前は、快斗がケースに細工した意図を察して口を開く。
「オパールの比重は2.10から2.13…絶対に水に浮くはずはないのに、おかしいですね」
「何ぃ?ならば、これは偽物って事かい?名前ちゃん!」
「それは、鑑定してみないと何とも…」
「と、とにかく鑑定してみよう!中森警部、鎖を外してくれ」
名前がチラリと館長に目を向けると、館長は小さく頷いて鑑定をすると名乗り出る。中森もそれに頷いて、高圧電流の仕掛けをoffにし、蓋を外すように捜査員に指示する。
『あ、待ってください!僕が到着するまで何も触らないでください!』
すると、通話が繋がったままになっていた中森の携帯電話から白馬の焦ったような声が響く。
「んなの、待ってられっかあ!!」
しかし中森は焦ったようにそう怒鳴ると勢いに任せて、通話を切ってしまう。
(…こちらのやり取り、ずっと白馬君に聞こえてたのね。途中で口出しちゃったのはまずったかな)
中森の携帯電話が繋がったままになっていた事に気付いていなかった名前は、これから到着するであろう白馬との対面を想像して小さくため息をつく。
そんな中、ケースから水に浮いていたイヤリングが取り出されて館長に手渡される。館長は眼鏡を取り出して、宝石を光に翳したりしながら、丁寧に確認していく。
「これは…偽物じゃああ!」
「お、おのれキッドめぇ!!」
館長の鑑定結果を聞いた中森は、額に青筋を浮かべながらズカズカとその場を離れて壁に設置されていた無線を手に取ると、美術館の外に待機している警官達にキッドを捜索するように大声で指示を出し始める。
館内にいた警官たちも、中森のそばに数名を残し慌てて美術館の外に駆け出していく。
その混乱に乗じて館長が入り口から外に出ていったのを、名前は小さく微笑みながら見守っていた。
◇◇◇◇◇◇
『コネリー主任!たった今、宝石がキッドに盗まれたと報告が!』
「…やはり、日本の警察でも止められなかったか。」
その頃、美術館の外に停めてある車で待機していたコネリーの元にも宝石が盗み出されたと連絡が入る。
『では、キッドは今後ナイトメアの逃走経路を使うのでは?』
「問題はない…ナイトメアのパターンは予測してある。逃げた先で2人は落ち合うはずだ!各員、私の指示に従うように!」
コネリーは無線を使い捜査員に指示を出しながら、自らハンドルを握り車をどこかへ向かって走らせ始める。
「あれ、パパ?」
「え?」
その車を対向車線を走っていたタクシーに乗るケンタが見つけて目を見開く。
「青子お姉さん!今、パパの車が通ったんだ!運転手さん、お願い!パパの車を追いかけて!」
「ダメよ、施設に戻らなくちゃ」
「お願い!僕、パパに大事なことを伝えるの忘れてたんだ!僕の頭を治してくれる、良いお医者さんが見つかったって施設の人が言ってたんだ!」
「…そうなの?」
「うん!パパ、いつも僕の病気の事を心配してたから、もう心配しなくていいよって言いたいんだ!お願い!それだけ言ったら帰るから…」
「ケンタ君…」
施設に送り届けると約束している青子だったが、必死に頼み込むケンタの勢いに押されて、タクシーの運転手に行き先の変更を次げた。