「ダーク・ナイト」編
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※このお話から数年ぶりに更新再開となりました。かなり文体が変わっておりますが、ご了承ください。
『配置された機動隊は、表側・裏側・本館・屋上に472名、おまけにヘリ6機が上空で睨みをきかせている』
「ああ、わかってるさ」
快斗はトイレの個室で、トランシーバーで会話をしながらゴソゴソと変装を続ける。快斗のそばには、手足と口元を縛られている館長が眠っている。
「しかし、一体そんな詳しい情報どこから…」
『監視カメラだ、美術館に設置されたその映像を傍受し、たった今確認させてもらったのだよ。そう、私は警察のありとあらゆる情報を見通す力を備えていると言っておこうか』
「ホォー」
快斗がトランシーバーで会話している相手は、ナイトメアである。さすが"計画師ナイトメア"、犯行前に警察の警備態勢を事細かに伝えてくる。快斗は、ナイトメアの言葉に眉を寄せて何かを思案するようにしながら相槌をうっている。
『本来なら、その警戒を突破する方法を授け私が選択した逃走経路まで誘導するところだが……君には必要ないかな?月下の奇術師と謳われた怪盗キッドには…』
「ああ、ちゃんと盗み出してやるよ」
『ふ、それに今回は現場に彼女も来ているようだね。やはり君と彼女は共犯ということかな』
「おい、オメーの言うとおりご希望の獲物を盗んでやるんだ。名前に手を出してみろ、計画師だかなんだか知らねえが、絶対に許さねーぞ!!」
ナイトメアの話を胡散臭そうに聞いていた快斗だったが、名前の話を持ち出されたとたん険しい表情に変わり、低い声でナイトメアに告げる。
『はっはっは、そう必死になることはない。君が予定通り宝石を盗み取ってくれれば、君の悪いようにはしないさ』
そんな快斗を嘲笑うかのように、ナイトメアは楽しそうに笑いながらそう言って通話を切った。
card.603
「中森警部、私は犯行時刻までここにいても良いんですか?」
「ああ!名前ちゃんは、ぜひこのまま現場にいてくれ」
「お力になれるかわかりませんが…」
「いやいや、君のような子が1人いてくれるだけで心強いよ」
ICPOを敵視している捨て身の中森警部から協力を仰がれた名前は、もうすぐ犯行時刻となっても、まだ現場にいることが許された。
「よーし、犯行時刻まで30分切ったぞ!者ども気合いを入れまくれ!」
「はいっ!」
かなり気合いの入っている中森警部に視線を向けたあと、名前はポケットに忍ばせた1枚のメモを確認する。
(私を信頼してくれている中森警部には申し訳ないけど、今回はナイトメアのこともあるし快斗に全面的に協力しよう。快斗に頼まれていたことも確認出来たし、あとはうまく"これ"を渡せるといいんだけど)
「警部、近藤館長が来られました」
「ったく、遅いですよ!館長!」
「いやー、申し訳ない。それで、調子はどうかね?」
名前がそんな事を考えていると、先ほどまで不在にしていた館長がようやく戻ってくる。
「これからあのケースにキッドとナイトメアが狙っているイヤリングを入れるところですよ。ブラックオパールが埋め込まれた、この"暗黒の騎士"をね!」
「おや、それなら念のためケースの最終チェックをさせてもらおうか」
そう言いながらまだ宝石の入っていないケースに近付いていく館長を、名前は黙ったまま見つめる。
「おやあ?水の上に何か浮いてますぞ、小さなゴミのような」
「ああ、ケースを吊るす鎖を天井に設置した時に落ちたんでしょう」
「しかし何でまた水に色までつけて…宝石を乾燥から守るためならもっと方法が…」
館長がケース内に張られた水にチャプチャプと触れながら尋ねると、中森は思いっきり顔をしかめる。
「はあ?そうした方がキッドがその水に警戒するってアンタが言い出したんでしょう?」
「あ、ああ…そうじゃったか。とにかく問題はなさそうだ」
「よし、宝石を台座へ!」
中森の指示で、捜査員がイヤリングをケースの台座に設置する。
「あとは、この硬質ガラスの蓋を乗せて高圧電流を流す鎖を取り付けるだけじゃな……おおっと、」
館長はそう言いながら蓋を閉めて立ち上がろうとすると、突然よろめいてケースにもたれかかる。
「いかんいかん、よろめいてしまった…歳かのう」
「ったく…よし、鎖を取り付けたら吊るすんだ!」
中森はそう言いながらケースから離れる館長に呆れたような視線を向けてから、最期の仕掛けを行うように捜査員に指示を出す。
「……なるほどね」
一連の流れを黙って見守っていた名前は小さく笑った後に、入り口のそばでイヤリングが入ったケースを見守っている館長の元へ足を進めていった。
『配置された機動隊は、表側・裏側・本館・屋上に472名、おまけにヘリ6機が上空で睨みをきかせている』
「ああ、わかってるさ」
快斗はトイレの個室で、トランシーバーで会話をしながらゴソゴソと変装を続ける。快斗のそばには、手足と口元を縛られている館長が眠っている。
「しかし、一体そんな詳しい情報どこから…」
『監視カメラだ、美術館に設置されたその映像を傍受し、たった今確認させてもらったのだよ。そう、私は警察のありとあらゆる情報を見通す力を備えていると言っておこうか』
「ホォー」
快斗がトランシーバーで会話している相手は、ナイトメアである。さすが"計画師ナイトメア"、犯行前に警察の警備態勢を事細かに伝えてくる。快斗は、ナイトメアの言葉に眉を寄せて何かを思案するようにしながら相槌をうっている。
『本来なら、その警戒を突破する方法を授け私が選択した逃走経路まで誘導するところだが……君には必要ないかな?月下の奇術師と謳われた怪盗キッドには…』
「ああ、ちゃんと盗み出してやるよ」
『ふ、それに今回は現場に彼女も来ているようだね。やはり君と彼女は共犯ということかな』
「おい、オメーの言うとおりご希望の獲物を盗んでやるんだ。名前に手を出してみろ、計画師だかなんだか知らねえが、絶対に許さねーぞ!!」
ナイトメアの話を胡散臭そうに聞いていた快斗だったが、名前の話を持ち出されたとたん険しい表情に変わり、低い声でナイトメアに告げる。
『はっはっは、そう必死になることはない。君が予定通り宝石を盗み取ってくれれば、君の悪いようにはしないさ』
そんな快斗を嘲笑うかのように、ナイトメアは楽しそうに笑いながらそう言って通話を切った。
card.603
「中森警部、私は犯行時刻までここにいても良いんですか?」
「ああ!名前ちゃんは、ぜひこのまま現場にいてくれ」
「お力になれるかわかりませんが…」
「いやいや、君のような子が1人いてくれるだけで心強いよ」
ICPOを敵視している捨て身の中森警部から協力を仰がれた名前は、もうすぐ犯行時刻となっても、まだ現場にいることが許された。
「よーし、犯行時刻まで30分切ったぞ!者ども気合いを入れまくれ!」
「はいっ!」
かなり気合いの入っている中森警部に視線を向けたあと、名前はポケットに忍ばせた1枚のメモを確認する。
(私を信頼してくれている中森警部には申し訳ないけど、今回はナイトメアのこともあるし快斗に全面的に協力しよう。快斗に頼まれていたことも確認出来たし、あとはうまく"これ"を渡せるといいんだけど)
「警部、近藤館長が来られました」
「ったく、遅いですよ!館長!」
「いやー、申し訳ない。それで、調子はどうかね?」
名前がそんな事を考えていると、先ほどまで不在にしていた館長がようやく戻ってくる。
「これからあのケースにキッドとナイトメアが狙っているイヤリングを入れるところですよ。ブラックオパールが埋め込まれた、この"暗黒の騎士"をね!」
「おや、それなら念のためケースの最終チェックをさせてもらおうか」
そう言いながらまだ宝石の入っていないケースに近付いていく館長を、名前は黙ったまま見つめる。
「おやあ?水の上に何か浮いてますぞ、小さなゴミのような」
「ああ、ケースを吊るす鎖を天井に設置した時に落ちたんでしょう」
「しかし何でまた水に色までつけて…宝石を乾燥から守るためならもっと方法が…」
館長がケース内に張られた水にチャプチャプと触れながら尋ねると、中森は思いっきり顔をしかめる。
「はあ?そうした方がキッドがその水に警戒するってアンタが言い出したんでしょう?」
「あ、ああ…そうじゃったか。とにかく問題はなさそうだ」
「よし、宝石を台座へ!」
中森の指示で、捜査員がイヤリングをケースの台座に設置する。
「あとは、この硬質ガラスの蓋を乗せて高圧電流を流す鎖を取り付けるだけじゃな……おおっと、」
館長はそう言いながら蓋を閉めて立ち上がろうとすると、突然よろめいてケースにもたれかかる。
「いかんいかん、よろめいてしまった…歳かのう」
「ったく…よし、鎖を取り付けたら吊るすんだ!」
中森はそう言いながらケースから離れる館長に呆れたような視線を向けてから、最期の仕掛けを行うように捜査員に指示を出す。
「……なるほどね」
一連の流れを黙って見守っていた名前は小さく笑った後に、入り口のそばでイヤリングが入ったケースを見守っている館長の元へ足を進めていった。