「ダーク・ナイト」編
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「これが、今回ナイトメアと怪盗キッドの2人が狙っている、ブラック・オパールが埋め込まれたイヤリング。暗黒の騎士(ダーク・ナイト)だ!」
中森の言葉に合わせて、警官の1人ケースをパカッと開ける。ケースの中には艶やかに光輝く、2つのイヤリングが収められている。
「わぁ、綺麗……さすがナイトメアに狙われるだけあるわね」
「…………。」
イヤリングを見た名前は、キラキラと輝く宝石を見て、思わず頬がゆるりと緩む。そんな横顔を、快斗は微笑まし気に優しく見つめていた。
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「そして、今回この宝石を収めるのが対キッド用に開発した防犯システムだ」
そんな2人であったが中森がそう言葉を続けたため、緩めた頬をキュッと引き戻して、中森が指し示す防犯システムに視線を向ける。
「あの全面硬質ガラスのケースのフタを開けるには、高圧電流の流れる鎖を外さなければならない。単純だが鉄壁だとは思わんか?」
「高圧電力ですか…凄いですね」
(でも…あのガラスのケース、どうして鎖で吊されているのかしら?)
中森の説明を受けながら、名前は視線の先にあるガラスの箱を見つめる。中森の言う高圧電流が流れる鎖に繋がったガラスケースは、天井から伸ばされた鎖に吊られて宙に浮いている状態である。
「なるほど…でも、何でわざわざケースが宙に浮いてるんですか?」
そんな名前の横で、宙に吊されてたケースを見た快斗が、名前が感じていたのと同じ疑問を中森に尋ねる。
「それはっ!奴がケースの土台自体に潜んで、お宝をかっさらって行くのを防ぐためだよ!!その手で何度もなーん度もやられているからなァ!!」
「……そ、そうですか」
(あーそういや、そんな手を使った事もあったっけな。それで今回は、土台がないってわけね)
額に青筋を浮かべてわなわなと怒りに震えながら告げられた中森の言葉に、快斗はどこか気まずそうに小さく頷く。名前は、そんな快斗の姿に苦笑しながらも、ゆっくりとガラスケースに近づいてケースの中を覗き込む。ガラスケースのちょうど真ん中に宝石を置くための台が設置されていて、その台を囲むようになみなみと液体が張られている。
「あの中森警部…このケースの中の液体は何か意味があるんですか?」
(この真ん中の台に宝石を置くのは、何となく分かるんだけど…)
「ああ、ただの水だよ!ブラック・オパールは乾燥に弱いからそうしようって…ですよね、近藤館長!」
中森は名前から聞かれた問いに答えながら、その案を提案した美術館の館長に同意を得ようとくるりと振り返って、後ろにいるはずの館長に声をかける。
「ああ…館長なら、腹は減っては戦が出来ぬと夕飯を食べに帰られましたけど…」
しかし、そこには当の館長の姿はなく変わりに警官の1人がそう答える。
「…ッチ。ったく、あのハゲ親父。やる気があるんだか、ないんだか」
そんな警官の言葉を聞いて、中森は半ば呆れたように肩を落としてため息をつく。
「……外は縦横48cm、内は直径16cmか」
快斗はと言うと、そんな中森達の会話には興味がないようで、顎に手をあててブツブツと呟きながら何かを考えるようにガラスケースを見つめている。
「………。」
(ふふ…きっと何か考えがあるのね)
そんな快斗の横顔を見つめながら、名前はどこか楽し気に口元に笑みを浮かべる。
「で、どうだね快斗君?このシステムは…」
そんな時、中森はふと思い出したように快斗に声をかける。
「………。」
「おーい、快斗君?」
「ちょっと!快斗…」
しかし考えに耽っている快斗は、中森に声をかけられた事に気づかない。そんな快斗に中森が不審そうに眉を寄せたため、名前が小さくため息をついて快斗の脇腹を肘でつつく。
「………え?」
その事でようやく顔をあげた快斗に、名前は視線で中森の方を見るように快斗に促す。快斗がそれに習って中森に視線を向けると、そこには不思議そうに自分を見つめる中森の姿。
「あー…いや、」
(やっべ、考えに没頭しちまった)
「……えーと、盗られないと思いますよ。そのケースのフタさえ開けなきゃね!」
快斗は言葉を選ぶように咳ばらいをすると、満面の笑顔でそう言葉を続けた。