音を立てて進むヘリの機内では、麻酔銃をいつでも発射出来るように構えていたコナンと、僅かに眉を寄せた白馬が優雅に宙を舞う怪盗を悔しそうに見下ろしていた。



card.60


｢あらら…見事に逃げられちゃって。ボウヤ達、残念だったわね｣

槍田が遠ざかっていく怪盗キッドを珍しそうに眺めたあとに、クスリと笑いながらコナンと白馬に声をかける。

｢………ま、仕方ないですね。今回彼は仕事もしていませんし…千間さんに免じて諦めましょう｣

白馬は肩をすくながら、ニコリと微笑む。一方千間は、そんな事を言われても素知らぬ顔で視線を逸らしているが、白馬はチラリと遥か彼方に飛び去る白い塊に視線を向けて、更に言葉を続ける。

｢…それに非常に面白い物を見れましたから。それだけで、十分な収穫と言えるしょう｣

そう呟く白馬をコナンは鋭い視線で見つめる。



｢…それよりバァさん、館を見てみろよ｣

茂木がヘリの中から館を見て驚いたように目を見開きながら千間に声をかけると、千間が首を傾げて館に目を向ける。

｢ーっ!!｣
そして館の姿を見て目を見開く。

｢か、壁が崩れて中から金が……｣

黄昏の館は、外壁が音を立ててガラガラと崩れ落ちて内側の壁は黄金に輝いている。

｢コナン君が外した時計が、外壁を崩すスイッチになっていたんですね｣

｢さすが烏丸の館。これ、千億は下らないわね｣

探偵達がヘリから黄金に輝く館を見てそんな会話をしている中、千間はようやく見つけた財宝の正体を涙を滲ませながら見つめている。


｢ねェ…そんな事より、私の本物のお父さんはどこにいるの～？｣

そんな中、蘭だけはいつの間にか自分の父親が怪盗キッドと入れ替わっていた事に不安気な表情を浮かべてた。