「ダーク・ナイト」編
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「……ま、私は快斗と一緒にいる以上…巻き込まれる可能性がある事くらいは覚悟してるつもりなんだけどね」
「勘弁してくれよ。オメーが巻き込まれたりなんかしたら、名前ちゃんが良くっても俺が困るって」
(名前ちゃんって……結構重大な事を平然と言うんだよなぁ…嬉しいけどさ)
快斗は当たり前のようにそう話す名前に、困ったように眉を寄せる。
「ま…それが理由ってわけじゃないけど。いつも快斗の仕事には口出さなかったけど……今回は別ね」
そんな快斗を尻目に、名前は悪戯っ子のように快斗を見上げながらそう告げる。
「………え?」
「正直…私だって勝手に巻き込まれた上に、快斗の弱みになってしまって黙ってるなんて嫌だもの。だからちょーっと調べてみたの」
「……何を?」
「"ナイトメア″の事」
「!」
(……名前ちゃんが、珍しく探偵の顔になってるじゃねーか)
快斗は不敵な笑みを浮かべる名前の横顔に、いつも自分を追い詰める小さな探偵と類似したものを感じて、ぞわりと胸がざわめいた。
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「それでね、1つの可能性に気付いたんだけど…」
そんな快斗には気付かずに、名前はスッと腕を組んで本題に入ろうとする。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん!!」
しかしそれを遮るように、ケンタが快斗と名前の元に笑顔で駆けて来る。それに気付いた名前は、表情を緩めて一旦口をつぐむ。
「さっき、このお兄ちゃん達とお話してたんだよ!」
ケンタは快斗と名前の足元で嬉しそうにそう言いながら、コネリーと中森達を手招きする。
「何だ…快斗君と名前ちゃんじゃないか」
「……中森警部、彼らは?」
ケンタに手招きされた2人は、名前達に近付いて来る。
「うちの娘の同級生ですよ。黒羽快斗君は、世界的に有名な奇術師の息子さんで…名字名前さんは、日本では割と名の知れた探偵ですよ」
首を傾げるコネリーに、中森は快斗と名前の事を簡単に紹介する。
「どうも…黒羽快斗です」
「初めまして。名字名前です。……探偵のつもりはないですけど」
快斗と名前はICPOの人間との突然の対面に戸惑いつつも、頭を下げて自己紹介する。
「ほー、奇術師と探偵……そうですか。私はジャック・コネリー。息子の相手をしていただいたようで…ありがとうございます」
コネリーは、中森の説明に僅かに目を見開きながらも、名前達に軽く頭を下げるとスッとケンタに視線を戻す。
「それにしても…ケンタ、どうしてここに?」
「パパが仕事で日本に帰って来るっていうから、施設を抜け出して来ちゃったんだー!!」
「……施設?」
2人の会話を聞いた中森は、ケンタの言葉に不思議そうに首を傾げる。
「ああ…妻を亡くしてからこの子を預けている養護施設です。私は仕事柄、世界中を飛び回っていて面倒を見れないので…」
「なるほど…」
中森は、コネリーの言葉に納得したように頷く。そんな中森の足元で、ケンタは得意気に口を開く。
「ボク、昨夜からこの美術館に入って、パパが来るまでずーっとトイレで隠れてたんだー!」
「お…おい、そんな事をして施設の人達が心配しているんじゃないのか!?」
「平気だよ!昨日は、パパのホテルに泊まるって言って来たもん!」
息子の言葉に驚いて目を見開くコネリーだが、ケンタの方はあっけらかんと言葉を返す。
「歩美ちゃん達もそうだけど…あのくらいの子って割とやんちゃなのね」
「ああ…でもあの年齢で、昨夜からトイレで一晩中隠れてたってすげぇよな」
「ふふ…そうね。でも、その反面キッドに予告状を出されている美術館の警備態勢がこれじゃ…少し不安だけど」
名前と快斗は、ケンタ達の会話を聞きながら小声で言葉を交わす。
「しかし弱ったな。この子を施設に送っている時間は、私には…」
「せっかく来たのに、ボクもう帰らなきゃ駄目なのー?」
「当たり前だろう。ここは遊び場じゃないんだぞ!!」
「えーっ!?ボク、もう少しパパとここにいたいのに!!」
腕時計を見て困ったように眉を寄せるコネリー言葉に、ケンタは不満そうに呟く。
「じゃあ、私が送りましょうか?」
そんな時、名前達の後ろから声が聞こえてコネリーが顔を上げる。
「えーっと、その子は…?」
「ああ…先程話した娘の青子です!たまに現場まで、ワシの弁当を届けさせていてね」
そこには、機動隊の制服から私服に着替えた来た青子が何食わぬ顔で立っている。
「…………。」
(着替え早ぇな、こいつ)
そんな青子の姿を見た快斗は、半ば呆れたような視線を向けた。