「ダーク・ナイト」編
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(さーて、じゃ遠慮せずに防犯設備のあたりから見させてもらうとするか)
快斗はニヤリと口角を上げて、今夜の獲物が展示されている秀峰美術館の館内をグルリと見渡す。
「おやおや……何がおかしいのかね?怪盗キッド君?」
「!!」
(え゙っ…!?)
しかし、そんな快斗の背後から思いもよらぬ言葉が聞こえて、快斗は顔を青くして振り返った。
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「なーんちって!快斗ったら、何でそんなに動揺してるのよ?」
「あ…青子!!オメー何なんだよ、その格好は!?」
しかし動揺した快斗の視線の先には、なぜか機動隊の制服に身を包んだ青子の姿があり、快斗は目を見開く。
「えへへ…機動隊の人にね、一度着てみたかったって言ったら予備のヤツ貸してくれたんだぁ!お父さんには内緒ね?」
「……そーかよ」
(……ったく、いくら警部の娘だからって甘すぎるだろ)
機動隊の制服に身を包み、楽しそうにくるくる回る青子の姿に、快斗は呆れたようにため息をつく。
「でも、本当は2人で一緒に見てもらいたかったのになぁー。……まだ来てないの?」
「……2人?誰の事だよ?」
「えー?快斗聞いてないの?青子、今日のことメールで……」
「青子ー!」
「!!」
(この声って…!?)
青子の言った言葉に快斗が不思議そうに首を傾げた事に、青子は意外そうに目を丸くしながら何かを快斗に言おうとする。しかし、それを遮るように快斗の後ろから青子の名前を呼ぶ声が聞こえてきて、快斗は聞き覚えのあるその声に小さく息を飲んで振り返る。
「あーっ!名前ちゃん遅いよー!!」
「ごめんね、電車乗り遅れちゃって。それにしても、そんな格好なのに青子が着ると可愛いわね」
「本当ー?ずっと着てみたかったから、名前ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいーっ!」
「ふふ…でも、それを着てるのが中森警部にバレたら…さすがに怒られちゃうんじゃないの?」
「…………。」
(なっ……何で、名前ちゃんがここに…!?)
快斗が振り返った先には、あの一件以降顔を合わせてなかった名前が青子に笑顔で近付いて来る姿があり、快斗は思わず目を見開く。しかし、当の名前はというと、普段と変わらない様子で楽しそうに青子と会話している。
「……それより快斗、名前ちゃんが来る事知らなかったの?」
「……え?」
そんな中、快斗は突然青子から話を振られて思わず言葉に詰まる。
「2人の事だから、青子に今日誘われた事をお互い伝えてるかと思って、何にも言わなかったんだけど……」
「「…………。」」
青子はそう言いながら、名前と快斗の顔を見比べる。
「あ…いや…」
(青子…今日、名前ちゃんの事も誘ってたのかよ…)
「ふふ…知ってたわよ。でも、その話をしてた時に…快斗ってば、ずーっと奇術雑誌を見てたから。私の話ちゃんと聞いてなかったんじゃない?」
青子の問いに戸惑う快斗の横で、名前が平然とそう答えるため、快斗は口をつぐんで名前に視線を向ける。
「そうでしょ…快斗?」
「あ…ああ。そういえば、そんな話したかもな」
しかし、そんな快斗に名前がニッコリと笑みを浮かべて同意を求めてくるため、快斗も戸惑いながら話を合わせる。
「なーんだ、良かった!てっきり、2人がまた喧嘩しちゃったのかと思ったよ」
青子は、その言葉に安堵したように息をつきながら笑顔を見せる。
「それにしても!!快斗ったら…また奇術?そんなに奇術オタクだと、そのうち本当に名前ちゃんに嫌われちゃうよー?」
「ばっ…バーロー!オメーは、いつも縁起でもねぇ事を!!」
(しかも、よりにもよってこんな気まずい状況の時にっ…!)
「……あら、大丈夫よ」
「「……え?」」
快斗は青子が冗談で言った言葉に慌てて反論するが、その横で名前が冷静に口を開く。
「私…快斗が大好きだから。そう簡単には快斗の事を嫌いになったりしないもの」
「え……っと、名前ちゃん…?」
青子は、名前らしからぬ素直な言葉に目を丸くするが、名前は構わずに快斗に視線を向けながら言葉を続ける。
「……だから安心して?」
「!」
自分を真っすぐ見つめながら告げられたその言葉に、快斗は目を見開きながら息をのんだ。