「ダーク・ナイト」編
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---バラバラバラ…
キッドの予告日である13日の金曜日。秀峰美術館の上空には多くの警察のヘリが飛びかっており、館内やその周辺にも大勢の警官が配置されている。
「表側136名…裏側103名!本館185名、屋上47名…ヘリ6機!!全て配置につきましたっ!」
「よーしっ!!時間まで各自その場で待機…警戒を怠るなよ!」
美術館周辺の警備状況を報告された中森は、大きく頷きながらそう言葉を返した。
card.593
中森はいつも以上に険しい顔で辺りを見渡しながら、グッと拳を握って言葉を続ける。
「あくびなんかして、これからやって来る国際なんちゃら機構の連中になめられんじゃないぞっ!!」
「「「ハッ!!」」」
そんな中森の掛け声に、警官達も大きく頷く。
「あのぉ……」
そんな警官達の気迫に気後れしながらも、1人の男が中森に控えめに声をかける。
「よく来たな、ICPO!!!」
するとグルンと中森が勢いよく振り返り、大声で声をあげながら、その男の手を握ってブンブンと振りながら言葉を続ける。
「ワシが、今回この現場を取り仕切る中森だァ!!!………って、何だ快斗君か…」
しかし中森はそこまで言葉を言い切ったところで、自分が手を握っている相手が自分の娘の友人である黒羽快斗である事に気がついて、拍子抜けしたように声量が小さくなっていく。
「……あ、はい。どうも」
(すっげェ迫力…ICPOが来るからって、いつも以上に気合い入ってんなー…中森警部)
一方、中森にICPOの人間だと間違われて敵意を剥き出しに自己紹介された男性…黒羽快斗はというと、中森の気合いの入り具合に内心苦笑しながらも、控えめに言葉を続ける。
「えーと……一応、俺呼ばれて来たんですけど…?」
すると、中森は自分が快斗を呼んだ理由を思い出して、先程とは一転してパッと瞳を輝かせる。
「ああ…そうそう!!後で、君に今回の防犯システムを見てほしくてな。青子の話だと、君もキッド同様手品がうまい!!手品師の目から見ての感想をきかせてくれ!!」
「……はぁ、構いませんけど」
(おいおい、まじかよ…)
快斗は、そんな中森の提案に目を丸くしながらも言葉を続ける。
「それだったら、僕なんかより有名な奇術師を呼んだ方が良いんじゃ……?」
「ハハハ…君だって、世界的奇術師だった父親に仕込まれていたそうじゃないか。それに、警視庁がキッドに困って奇術師に泣きついたと世間に知られたら、面目が立たんだろう?」
「は…はぁ。分かりました」
(中森警部が、俺を現場に呼ぶように青子に頼むなんて珍しいとは思ったが……こういう事か)
「じゃあ、ワシは今からもう1度監視カメラの確認に行ってくるから。そういう事でよろしく頼むよ!!また後でなっ!」
快斗が中森の気迫と勢いに押されて断る事も出来ずに小さく頷くと、中森は安心したような笑みを見せた後にくるりと踵を返す。
「…………。」
快斗は、再び現場の指揮をとるべく自分の元を離れていく中森の背中を見送りながら、小さくため息をついてガシガシと頭を掻く。
「………まぁ、良いか」
(驚きはしたが、こっちとしては願ったり叶ったり…か。この"怪盗キッド″に、犯行前から防犯システムを明かしてくれるんだからな)
そして中森の姿が見えなくなると、快斗は肩の力を抜いて口元にニヤリと笑みを浮かべた。